【案件番号:106年度民公上字第5号】

上訴人:The Hershey Company(米商華氏食品工場)(以下、「Hershey Co.」という) 被上訴人:甘百世食品工業股份有限公司(以下、「甘百世公司」という) 上記の当事者は、公平交易法(以下、公平法という)

に基づく損害賠償等の事件で、2017年9月22日に知的財産法院105(西暦2016)年度民公訴字第5号の第一審判決に対して上訴を提起した。知的財産法院は中間争点について2019年2月14日に口頭弁論の終結を宣言し、「被上訴人甘百世公司の添付資料2に示すチョコレートは、添付資料1に示す上訴人の登録第1643419号、登録第1643420号、登録第1433055号の商標権の侵害にあたるが、公平法第22条第1項第1号、第25条に規定する不正競争の事情は有しない」との中間判決を下した。

添付資料1:上訴人Hershey Co.の係争商標

添付資料2:被上訴人甘百世公司の係争商品

▓上訴人の主張:

1. 上訴人は添付資料1に示す3件の商標の商標権者であり、3件の商標は何れもチョコレート、飴等を指定商品とし、何れも商標権存続期間内である。被上訴人が上訴人の許諾を得ずに、生産・販売する添付資料2に示すチョコレート等の商品(以下、「係争商品」という)の外包装に上訴人の係争商標に類似する商標を使用したことは、関連消費者に混同誤認を生じさせる虞があり、商標法第68条第3号の規定に違反し、上訴人の商標権を侵害している。

2. 上訴人は世界的に有名な国際的チョコレートメーカーであり、1894年の創業以来、「HERSHEY」ブランドで販売を行っている。1969年に台湾でチョコレート商品の販売を開始し、係争商標に係る商品の販売促進を行ってきた。上訴人はフォーブスの2016年度世界で最も価値のあるブランドランキングで第99位を獲得し、その商標価値は67億米ドルで、米国のチョコレート市場の占有率は44.1%にも達し、その上2005年から2010年までの間でKISSES商品に1億米ドル以上の宣伝費用を費やした。上記のことから、上訴人の会社名称「HERSHEY」、水滴型のチョコレートを銀色のホイルで包んだ商品包装(添付資料4を参照)が台湾で高度な知名度を有し、著名な表徴(トレードドレス)であることは明らかである。

3. 被上訴人が生産及び販売する甲12~15号証の商品の包装に記載された「KAISER」、「KAISER'S」の文字は上訴人の会社名称「HERSHEY」に類似し、甲12~14号証は何れも水滴型のチョコレートを銀色のホイルで包んだ商品で、上訴人のKISSES水滴型チョコレートの商品包装に非常に類似しており、既に台湾の関連消費者に混同誤認を生じさせる実害をもたらしており、被上訴人の甲12~15号証の商品が市場の取引き秩序を乱して、上訴人に対し不正競争行為を行ったことは明らかであり、現行の公平法第22条第1項第1号、第25条の規定に違反する。

4. したがって、被上訴人の2014年8月5日から今までの商標権侵害行為、2015年2月4日から今までの公平法違反行為について、商標法第69条第1、3項、公平法第29、30、31、33条、公司法第23条第2項、民法第195条の規定により本件の訴訟を提起した。

▓被上訴人の主張

1. 被上訴人が係争商品を販売することは、商標法第68条第3号の規定に違反していない。

(1) 上訴人が係争商標を登録する前に、被上訴人は既に添付資料3の3件の商標を登録した。係争商品に使用される図案は、いずれも添付資料3の商標の合法的な使用であり、実際の使用方法が登録商標と多少異なっていても、一般の社会通念���よれば同一性は失われていないため、上訴人の商標権を侵害する事情はない。添付資料3の商標を実際に使用していないが、係争商品の包装に記載されている「KAISER」、「KAISER'S」の文字は、上訴人の甲3、4号証の「HERSHEY」商標、または甲6号証の「KISSES」商標と、外観、称呼又は意味において明らかに類似していない。

添付資料3:被上訴人の登録商標

(2) 上訴人が提出した会社ブランドランキングや米国チョコレート市場でのランキングなどの証拠は、明らかに台湾の消費市場と関係がなく、上訴人は係争商標が台湾の消費者に広く認識されていることを証明しておらず、上訴人が提出したインターネットの文章やコメントは、関連消費者に混同誤認を生じさせる虞があることを証明しがたい。それに被上訴人は1970年代には既に台湾でチョコレート商品を販売しており、国内の販売ルートには雑貨店、量販店、百貨店、スーパーなども含まれ、甘百世ブランドは既に台湾の関連消費者に熟知されていて、消費者は両者の商品の出所を区別することができるため、商標法第68条第3号の規定に違反していないと言える。

2.被上訴人が甲12~15号証の商品を販売することは、公平法に違反していない。

(1) 公平法第22条第1項第1号における著名な表彰とは、関連事業者又は消費者に広く認識されていると認定するに足る客観的な証拠があるものをいう。チョコレートや飴で水滴型というのは、よくある形状で、独創性を有さず、銀色のホイルはチョコレート商品によく使用される包装材料であり、機能性を有するため、公平法の保護対象ではない。また上訴人は、その会社名称及び商品包装が公平法の著名な表徴の程度に達していることも、被上訴人の商品がその表徴と同一又は類似であり、消費者に混同誤認を生じさせたことも証明していないため、上訴人の主張は認められるものではない。

(2) 添付資料2の商品への「KAISER」、「KAISER'S」の使用は、被上訴人の英語社名の特徴部分の合法的且つ善意による使用であり、しかも当該部分は上訴人の会社名称「HERSHEY」と全く異なり、上訴人を模倣し又はその信用にただ乗りする悪意はない。上訴人は、自社商品は世界で有名なチョコレート商品であると主張しているが、台湾市場での販売ルートは極めて少なく、台湾の消費者への長期的な販売促進もない。逆に、被上訴人は長期にわたり台湾で商品を販売し、昔から広く国内の消費者に熟知されている。上訴人は、被上訴人に上訴人の商品の信用にただ乗りした行為又は重要な取引き情報を積極的に偽り又は消極的に隠ぺいして消費者に誤った方法で取引きをさせる行為があることを証明する他の証拠資料を提出してもなく、被上訴人が上訴人にどの権益について損失を与えたのか又は上訴人の市場の競争地位にどんな影響を与えたのかも証明していない。したがって、被上訴人が公平法第25条の規定に違反するという上訴人の主張は成立しない。

▓法院が審理した結果、以下に掲げる事実については両当事者に争いがなく、何れも添付の証拠で証明することができる。

1.上訴人は、添付資料1に示す係争商標の商標権者であり、上記の商標は何れもチョコレート、飴などを指定商品とし、何れも商標権存続期間内である。

2.添付資料2に示す甲12~16号証のチョコレート商品は、被上訴人が生産販売するものである。

3.被上訴人は、1977年から添付資料3に示す商標の登録をしてきた。

▓中間争点のまとめ:

1.甲12~16号証の商品は、上訴人の係争商標に類似する商標を使用し、関連消費者に混同誤認を生じさせる虞があり、商標法第68条第3号の規定に違反するかどうか。

2.甲12~15号証の商品は、上訴人の著名な会社名称、商品包装を同一又は類似の商品において、同一又は類似の使用をし、取引き秩序に影響を与え得る欺瞞的な又は明らかに公平さを失する行為があり、公平法第22条第1項第1号、第25条の規定に違反するかどうか。

▓知的財産法院の判断:

1. 法律適用基準:本件は商標権侵害又は公平法違反に関するものであるため、現行の商標法及び公平法の規定を適用すべきである。

2. 商標法違反の部分:

(1) 商標法第68条第3号には「商標権者の許諾を得ずに、販売目的で次の情況を有する場合は、商標権の侵害となる。…三 同一又は類似の商品や役務に登録商標に類似する商標を使用し、関連消費者に混同誤認を生じさせる虞があるとき」と規定されている。いわゆる「関連消費者に混同誤認を生じさせる虞がある」とは、行為者の商標が関連消費者にそれが表わす商品の出所又は商品の製造主体について混同誤認を生じさせる虞があることをいう。2つの商標に混同誤認を生じさせる虞があるかどうかの判断については、 (1)商標の識別力の強弱、(2)商標が類似するかどうか及びその類似の程度、(3)商品、役務が類似するかどうか及びその類似の程度、(4)先行権利者の多角経営の情況、(5)実際の混同誤認の事情、(6)関連消費者の各商標に対する熟知程度、(7)侵害被疑商標の使用者が善意であるかどうか、(8)その他混同誤認を生じさせる要素などを参酌して、関連消費者に混同誤認を生じさせる虞があるレベルに達しているかどうかを総合的に判断する。

(2) 上記の要素の斟酌結果は下記の通りである。

A. 商標識別力の強弱:

甲16号証の商品包装には「72%COCOCA DARK CHOCOLATE」と、ほかに白い長方形のなかに「KAISER」の文字が記載されている。「72%COCOCA DARK CHOCOLATE」は商品の性質の描写に過ぎないので、「KAISER」を甲16号証に使用された商標図案とする。添付資料1の甲3、4、6号証の係争商標、添付資料2の甲12、13、14、15、16号証の商品に使用されている商標図案については、全体的な商標図案は何れも既存の語彙又は事物を援用したものではなく、出所を示し、区別する機能を有しているため、識別力があると認めるべきである。

B. 商標の類似程度

商標の類似とは、時と場所を異にした隔離的観察と全体観察をしたときに、商標の全体が、外観、観念又は呼称において類似するところがあって、それが同一又は類似の商品又は役務に表示された場合に、普通の知識経験を有する関連消費者が、購入時に普通の注意を払ったとき、二つの商品又は役務は出所が同じである又は出所は違うが両者の間になんらかの関係があると誤解する可能性があることをいう。次に、商標が類似かどうかを判断するときは、商標図案の全体を観察しなければならない。これは商標が、分割された部分ごとではなく、図案全体として商品・役務の提供を受ける消費者に提示されるからである(最高行政法院2015年度判字第15号判決の主旨を参照)。また、商品が異なれば、消費者の注意程度も異なる。例えば、専門的な商品の場合、消費者は当該分野の専門家であり、二つの商標の違いを比較的区別できる。単価が高い商品の場合、消費者は購入するときに、商品を購入し間違えて損をすることがないように、より高い注意を払う。

本件の係争商標はチョコレート、飴などの商品を指定し、係争商品も全てチョコレート商品であり、かつ両者の販売場所はよくみられるコンビニ、量販店で、単価も高くないため、両商標が類似に該当するかを判断するときには、これらの関連消費者の観点から観察しなければならない。

→甲12~14号証の商品に使用される商標図案は、甲6号証の商標と類似する。

→甲15~16号証の商品に使用される商標図案は、甲3、4号証の商標と類似する。

C. 商品が同一又は類似かどうか:

両商標は何れもチョコレート、飴商品に使用されるため、商品の区分は同一である。

1. 侵害被疑商標の使用者が善意かどうか:

上訴人は1894年に創業した。創業以来、甲3、4号証の「HERSHEY'S」の商標で商品を販売し、遅くとも1956年から、既に甲6号証又は甲6号証と同一性を失わない水滴型の商標で商品を販売してきた。一方、被上訴人は1971年から、フィリピン、アメリカ、香港、オーストラリア、中国、韓国、シンガポール、インドネシア、ベトナム、エジプト、サウジアラビア及び台湾などで、添付資料1に示す係争商標について商標登録を行っており、添付のメディア報道、ウェブページ資料、各国の商標登録資料などで照合できる。

上訴人は長年全世界で甲6号証の商標図案を使用し、その図案は一部多少の違いはあるが、それは単に水滴型の図案の下側にリボンがあるかないかの差に過ぎず、全体的には、甲6号証の商標との同一性は失われていない。上訴人は1974年から原証3、4の「HERSHEY'S」商標が付された商品について台湾の新聞雑誌にその平面広告を掲載して促進販売をしてきた。上訴人は創業以来、全世界で甲3、4、5号証の係争商標を使用して、商品を販売してきた。台湾では、遅くとも1974年、1975年から、係争商標を使用して商品を販売してきた等の事情は、認めるべきである。

被上訴人は創業が1977年であり、甲12~16号証の包装にある商標を使用して商品を販売した時期は、明らかに上訴人よりも遅い。被上訴人は上訴人と同じくチョコレートメーカーであり、競争相手に関する情報は一般の消費者よりも注意を払うだけでなく、上訴人が全世界で販売した時期と情況、また遅くとも1974年には台湾で商品を販売し始めた状況からみて、一般的に考えれば、上訴人が添付資料1の係争商標を使用して商品を販売している事実を明らかに詳しく知っているにもかかわらず、被上訴人が係争商標と類似程度が低くない商標を甲12~16号証の商品に使用したことは、善意によるものとは言いがたい。

2. 実際の混同誤認の情況:

関連のインターネットのプリント資料……消費者に実際に混同誤認を生じさせたという上訴人の主張を認めるべきである。

3. 関連消費者の各商標に対する熟知程度:

上訴人が提出した証拠は、甲3、4号証の商標での販売が100年以上であること、甲6号証の商標での販売が少なくとも60年以上であること、また上訴人が遅くとも1974年、1977年には台湾で係争商標を用いた商品を販売し始めたこと、1976年、2003年、2006年、2008年に台湾の新聞に商品が掲載されたことを証明できる。さらに、上訴人は2017年1月24日のCostcoの売り場の写真……などを提出した。以上のことから、上訴人の外国での係争商標を使った商品の販売が、60年以上であるだけでなく、1970年代から台湾でも係争商標を使って商品を販売し、今もその係争商標を使って商品を販売し続けていることを証明できるため、台湾の関連消費者は上訴人の係争商標をかなり熟知していると認めるべきである。被上訴人が提出した商品の販売資料は極めて少なく、今でも両者の商品の出所を区別できない消費者がいるため、両者が市場で併存している事実をもって、関連消費者に認識され混同誤認を生じる虞がないことを証明することはできない。本法院は、上訴人の係争商標の販売期間及び販売情況と比較した結果、関連消費者は上訴人の係争商標をより熟知しているため、係争商標に対しより大きな保護を与えるべきと考える。

4. 上記の要素を総合的に斟酌し、本法院は、添付資料2の係争商品が、添付資料1の係争商標の権利を侵害していると認める。

3. 公平法違反の部分

1.公平法第22条第1項1号に関する部分

(1) 事業者がその営業所において商品又は役務を提供する場合、著名な他人の氏名、商号又は会社名称、商標、商品容器、包装、外観又は他人の商品を示すその他の表徴をもって、同一又は類似の商品に、同一の又は類似する方法で使用することにより、他人の商品と混同を生じさせ、又は、これらの表徴を使用した商品を販売、輸送、輸出又は輸入してはならない。公平法第22条第1項1号に明文規定されている。

最高行政法院の2016年11月第1回裁判長・裁判官合同会議では、「本規定(商標法第30条第1項第11号)後段に記載の著名商標について、その著名程度は、『関連』消費者を超えて『一般』消費者にまで広く熟知されている程度に達すると解釈すべきであり、そうしてはじめて本規定の後段の規定の適用ができるのであって、本規定前段で『関連』消費者に限定されているのとは異なる。したがって、商標法施行細則の第31条の『著名』に関する定義は、目的論的縮小解釈すべきであり、本規定後段の『著名商標』には適用されない。」との決議がなされた。

しかしながら、前記の最高行政法院合同会議の決議は、商標法第30条第1項第11号の前段と後段の「著名商標」の著名程度は異なるべきかどうかに関する決議であり、公平法とは何の関係もなく、公平法第22条第1項第2号の「著名」に関する改正は1商標法の「著名」の規定を参酌したものであり、商標法施行細則第31条に既に商標法における「著名」とは、「関連」事業者又は消費者に広く認識されたことと規定されている以上、本法院は、公平法第22条の「著名」の解釈は上記の商標法施行細則の規定によって解釈すべきであり、最高行政法院2016年11月第1回裁判長・裁判官合同会議の決議を適用する余地はないと考える。

(2) 商標法における「著名商標」の認定��、個々の案件の情況に応じて、1.商標の識別力の強弱、2.関連事業者又は消費者の商標を認知又は認識する程度、3.商標の使用期間、範囲及び地域、4.商標の宣伝期間、範囲及び地域、5.商標の登録出願又は登録取の有無並びにその登録出願、登録取得の期間、範囲及び地域、6.商標の権利執行の成功記録、特に行政機関又は司法機関に著名と認定された状況、商標の価値、その他の著名商標と認定するに足る要素などを考慮し、総合的に判断しなければならない。改正前の公平法第20条における関連事業者又は消費者に広く認知されているとは、相当の知名度を有し、関連事業者又は消費者の大多数に周知されていることをいい、表徴が関連事業者又は消費者に広く認知されるかどうかは、1.アピールされた広告の量、2.市場での販売期間、販売量、占有率、3.関連事業又は消費者に当該表徴を印象付けるほどメディアで広く報道されたか、4. 表徴が施された商品又は役務の品質、5.口コミ、公正で客観的な市場調査資料、6.関連主務官庁の見解などを総合的に斟酌して判断しなければならない。これについては、2015年3月18日に廃止された「公平交易委員会の公平法第20条の案件に対する処理原則」を参考にすることができる。当該処理原則は廃止されてはいるが、その内容は商標法の「著名」商標の認定における斟酌要素と大体同じであるため、本件の斟酌の参考とすることができる。

(3) また、商標法の「著名」に関する認定は、司法院釈字第104号解釈によると、国内の消費者の認知を基準としなければならないため、商標が著名であることを主張する場合、原則的に、当該商標が台湾で使用された関連証拠を提出しなければならない。但し、商標が台湾で使用されたことがない又は台湾での実際の使用状況が広くないとしても、客観的な証拠から、当該商標が外国で広く使用されたことで確立した知名度が台湾にまで及んでいることが分かる場合には、当該商標を著名と認めることができる。本法院は公平法第22条第1項第1号「著名」の認定についても同じ基準を取るべきと考える。

公平法第22条第2項には「前項の氏名、商号又は会社名称、商標、商品容器、包装、外観又は他人の商品を示すその他の表徴は、法律により商標権を登録取得している場合、適用しない。」と規定されている。本件の上訴人が著名と主張する「HERSHEYという『会社名称』」と「水滴型のチョコレートを銀色のホイルで包んだ『商品包装』」は、何れも台湾で商標権を取得しておらず、また、商標の混同誤認を生じさせる虞の判断要素における「消費者の各商標に対する熟知程度」は、商標権者の商標と侵害被疑商標のどちらがより台湾の消費者に熟知されているかを比較することであるため、本件の係争商標が著名程度に達している必要はなく、添付資料2の商標がより台湾消費者に熟知されていれば、当該斟酌要素においてより有利な認定を得ることができる。これが商標法の適用情況である。

しかしながら、公平法においては、公平法第22条第1項第1号における「著名」な会社名称又は商品包装に合致するには、添付資料2の商品が消費者に熟知されていることだけではなく、「台湾」の「関連消費者」に広く認知される程度に達していなければならない。よって、本件の係争商標が添付資料2の商標より、台湾の関連消費者に熟知されていても、それは係争商標の会社名称の「HERSHEY」や、甲6号証の商標商品に使用される「水滴型のチョコレートを銀色のホイルで包んだ『商品包装』が、台湾の関連事業者又は消費者に広く認知されていることを意味しているのではない。両者には程度において違いがあるため、公平法第22条第2項を適用する余地はない。

公平法の「著名表徴」に合致するかどうかは、「台湾」の「関連」事業者又は消費者の認知に基づく必要がある。本件の「関連」消費者は、ほぼ「一般」消費者を含んでいるため、以下の上訴人の主張に係る会社名称又は商品包装が関連消費者の印象において著名程度に達しているかどうかは、小学生から高齢者までの範囲の年齢層の「関連」消費者の認知に基づいて認定しなければならない。

(4)「好時(HERSHEY)」ブランドがフォーブスの2016年度世界で最も価値のあるブランドランキングで第99位を獲得し、商標価値が67億ドルとの報道に関しては、「HERSHEY」ブランドが極めて高い価値を有することを証明できるだけで、台湾の関連消費者が「HERSHEY」の会社名称又はその代表的ブランドを広く知っていることを意味しているのではない。下記のメディアの報道や映像は、アメリカ市場での調査や当該商品の欧米での人気の程度を示すものであって、台湾の国内市場又は消費者を反映したものではない。台湾のHERSHEY'Sの商品に関する報道、広告、売り場の写真やウェブサイト、関連ブログなどは、上訴人が1970年代から台湾でチョコレート等の商品を販売し始めたことを証明できるだけであり、上訴人は台湾での商品販売データを何ら提出しなかったため、上訴人の商品が、台湾の関連消費者にその商品包装及び会社名称が知られる程度までに普及しているかどうかといった台湾での販売状況を知ることができない。上訴人が挙げた関連する外国語の報道や資料が、外国で広く使用されたことで確立した知名度が既に台湾にも及ぶことを証明できるものである場合、著名と認定することもできるが、上訴人はこの部分について何の証拠も提出しておらず、提出した台湾における関連資料も多くないため、本法院は上訴人に有利な心証を形成することができない。

(5) 以上により、上訴人は、「HERSHEYの『会社名称』」及び「水滴型のチョコレートを銀色のホイルで包んだ『商品包装』」が既に台湾の関連事業者又は関連消費者に広く認知された著名程度に達したことを証明していないため、被上訴人の添付資料2の甲12~15号証の商品が公平法第22条第1項第1号の規定に違反するという上訴人の主張は、認められない。

2.公平法第25条に関連する部分:

(1) 公平法第25条の「本法に別途規定がある場合を除き、事業者はその他取引き秩序に影響を与え得る欺瞞的な又は明らかに公平さを失する行為を行ってはならない」との規定は、不正競争行為の概括的規定であり、公平法のその他の条文の規定に含まれていない行為においてのみ適用され、公平法のその他の条文の規定に、ある違法行為がほぼ含まれている場合、本条により規範を補充する余地はない。当該条文における取引き秩序とは、生産販売段階の水平競争秩序、垂直取引き関係における市場秩序及び公平な競争の精神に合致する取引き秩序を含む、全ての商品又は役務取引の市場経済の秩序をいう。また、「取引き秩序に影響を与え得る」かどうかを判断するときは、被害者の数、損害の量と程度、その他の事業者に警戒を生じさせるかどうか、将来の潜在的な多数の被害者に影響を与えるかどうか、行為において取った方法手段、行為の発生頻度と規模、行為者と相手側の情報が同じであるかどうか、市場での勢力の大きさ、依存的存在の有無などの項目のほかに、取引き習慣と産業の特性も考慮しなければならない。事業者が他人の有名な商品の外観又は表徴を高度に剽窃し、積極的に他人の有名な広告又は信用に便乗する等の方法で、他人の努力成果を搾取する又は重要な取引き情報を積極的に偽り又は消極的に隠ぺいして、誤った方法で取引きに従事させる行為については、全体な取引秩序を総合的に考慮して、当事者間の私法上の利益配分又は危険負担で極端な不均衡の情況が生じた場合、上記の条文の規定に合致すると認定することができる。しかしながら、事業者の行為が欺瞞的な又は明らかに公平さを失する行為でない場合、又は市場の競争を妨害しない又は取引き秩序に影響を与え得るものでない場合、当該条文の適用はない(最高法院2018年度台上字第1976号判決主旨を参照)

(2) 上訴人は、被上訴人が添付資料2の甲12~15号証の商品を生産・販売する行為について、市場の取引き秩序(水平競争秩序又は垂直取引関係における市場秩序)にどんな影響があるか、被害者の数、損害の量と程度など、被上訴人の行為が取引き秩序に影響を及ぼし得る欺瞞的な又は明らかに公平さを失する行為かどうか及びその程度を判断する事項を上訴人は証明しなかったため、被上訴人に公平法第25条の違反行為があるなどの上訴人の主張は認められない。

(3) 以上により、本法院は上記の中間争点について、被上訴人の添付資料2に示すチョコレートは、上訴人の登録第1643419号、登録第1643420号、登録第1433055号の商標権の侵害にあたるが、被上訴人は公平法第22条第1項第1号、第25条に規定する不正競争の事情を有しないと判断する。