大阪地方裁判所第26民事部(高松宏之裁判長)は、平成31年3月14日、図形部分と文字部分からなる結合商標について、文字部分のみでは自他商品識別力を欠くものとして、当該文字部分だけを抽出して類否判断することを否定し、文字部分を共通するだけの被告標章は類似するものいうことはできない、と判断をしました。

ポイント

骨子

  • 「TeaCoffee」の語は、被告が使用する標章の使用時点において、原告商標の指定商品である「茶、コーヒー、茶入りコーヒー、コーヒー豆」に使用されるときには、茶とコーヒーを組み合わせた飲料等の商品の品質(内容)又はその原材料を記述的に表示しているものとして、取引者、需要者によって一般に認識されるものであって、自他商品識別力を欠くものというべきである。
  • したがって、原告商標の構成中、「TeaCoffee」の文字部分については、原告商標の要部ということはできないから、原告商標については、「TeaCoffee」の文字部分と図形部分から成る全体の構成が一体となって、初めて自他商品識別力を有するに至っているものというべきである。
  • 原告商標中の「TeaCoffee」の文字部分は、<中略>自他商品識別力が認められない部分であるから、その部分を共通するだけで、他に共通する部分がない原告商標と被告が使用する標章が類似するものということはできない。

判決概要(審決概要など)

大阪地方裁判所第26民事部
平成31年3月14日
平成30年(ワ)第4954号 損害賠償請求事件
第30類 茶、コーヒー、茶入りコーヒー、コーヒー豆
アサヒ飲料株式会社(被告)
裁判長裁判官 高 松 宏 之 裁判官 野 上 誠 一 裁判官 大 門 宏一郎

解説

商標の類否判断

商標の類否判断の基準

商標の類否は、出願商標及び引用商標がその外観、称呼又は観念等によって需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に観察し、出願商標を指定商品又は指定役務に使用した場合に引用商標と出所混同のおそれがあるか否かにより判断するものとされています(特許庁商標審査基準)。

商標の類否判断の基準について、過去の最高裁判例においては、以下のような判断基準が示されています。

最高裁昭和43年2月27日第三小法廷判決(氷山印事件) 商標の類否は、対比される両商標が同一または類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、それには、そのような商品に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべく、しかもその商品の取引の実情を明らかにしうるかぎり、その具体的な取引状況に基づいて判断するのを相当とする。

結合商標の類否判断

結合商標の分離観察の可否

複数の文字や図形、記号等を結合して構成される商標を「結合商標」といいます。

結合商標においては、商標の各構成部分の結合の強弱の程度を考慮し、各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど強く結合しているものと認められない場合には、その一部だけから称呼、観念が生じ得るものとされています(特許庁商標審査基準)。

結合商標の類否判断における分離観察の可否について、過去の最高裁判例においては、以下のような判断基準が示されています。

最高裁昭和38年12月5日第一小法廷判決(リラ宝塚事件) 商標はその構成部分全体によつて他人の商標と識別すべく考案されているものであるから、みだりに、商標構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判定するがごときことが許されない(中略)。

しかし、簡易、迅速をたつとぶ取引の実際においては、各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない商標は、常に必らずしもその構成部分全体の名称によつて称呼、観念されず、しばしば、その一部だけによつて簡略に称呼、観念され、一個の商標から二個以上の称呼、観念の生ずることがあるのは、経験則の教えるところである(昭和三六年六月二三日第二小法廷判決、民集一五巻六号一六八九頁参照)。

しかしてこの場合、一つの称呼、観念が他人の商標の称呼、観念と同一または類似であるとはいえないとしても、他の称呼、観念が他人の商標のそれと類似するときは、両商標はなお類似するものと解するのが相当である。

最高裁平成20年9月8日第二小法廷判決(つつみのおひなっこや事件) (商標)法4条1項11号に係る商標の類否は、同一又は類似の商品又は役務に使用された商標が、その外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して、その商品又は役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すべきものであり(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁参照)、

複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについて、商標の構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは、その部分が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合などを除き、許されないというべきである(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁、最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁参照)。

これら最高裁判決を引用した知的財産高等裁判所判決もあります(知財高裁平成27年11月5日判決、平成27年(ネ)第10037号)。

結合商標の類否判断

結合商標の類否判断の基準について、特許庁の商標審査基準は、以下の通り、定めています。

商標審査基準 結合商標の類否は、例えば、次のように判断するものとする。ただし、著しく異なった外観、称呼又は観念を生ずることが明らかなときは、この限りでない。

① 識別力を有しない文字を構成中に含む場合

指定商品又は指定役務との関係から、普通に使用される文字、慣用される文字又は商品の品質、原材料等を表示する文字、若しくは役務の提供の場所、質等を表示する識別力を有しない文字を有する結合商標は、原則として、それが付加結合されていない商標と類似する。

② 需要者の間に広く認識された商標を構成中に含む場合

指定商品又は指定役務について需要者の間に広く認識された他人の登録商標と他の文字又は図形等と結合した商標は、その外観構成がまとまりよく一体に表されているもの又は観念上の繋がりがあるものを含め、原則として、その他人の登録商標と類似するものとする。ただし、その他人の登録商標の部分が既成の語の一部となっているもの等を除く。

③ 商標の構成部分中識別力のある部分が識別力のない部分に比較して著しく小さく表示された場合であっても、識別力のある部分から称呼、観念を生ずるものとする。

④ 商標の一部が、それ自体は自他商品・役務の識別力を有しないものであっても、使用により識別力を有するに至った場合は、その識別力を有するに至った部分から称呼、観念を生ずるものとする。

事案の概要

本件は、商標権を有する原告が、被告標章を付したペットボトル飲料(被告商品)を販売等した被告の行為が原告商標権を侵害するとして、被告に対し、不法行為に基づく損害賠償を求めた事案です。

原告は、以下の商標(以下「原告商標」という。)の商標権者です。

<原告商標>

被告は、以下の標章(以下「被告標章」という。紹介は一部のみ)を付した被告商品を販売等しました。

<被告標章 一例>

判旨

分離観察の可否について

本判決は、先ず原告商標について、「図形部分と、その右隣に配置された『TeaCoffee』の文字部分とで構成される結合商標である」との見解を示しました。

そして、本判決は、原告商標と被告標章等の類否判断について、原告商標のうち「TeaCoffee」の文字部分が取引者、需要者の注意を特に引く部分であることを根拠に、当該文字部分だけを抽出して被告標章と比較することが許されるという原告主張に鑑み、当該文字部分の自他商品識別力について検討しました。

本判決は、以下の通り、先ず、「TeaCoffee」の語について、取引者、需要者は「Tea」と「Coffee」の2語を接続した語と認識すると判断しました。

(「TeaCoffee」の語の構成の認識) 原告商標の文字部分、すなわち「TeaCoffee」の語は、頭文字の「T」の文字だけでなく、「C」の文字も大文字で表記されており(甲2)、「Tea」は「茶、紅茶」を、「Coffee」は「コーヒー」を意味する英単語としていずれも日本社会においてよく知られていることに照らせば、取引者、需要者は、これを「Tea」と「Coffee」の2語を接続した語と認識すると認められる。

次に、複数の原材料を組み合わせた飲料の商品名を多数存在するものとして、以下の通り、ある物とある物を掛け合わせるといった際に用いられる文字や記号(「と」、「+」、「×」など)が使用されていなくても、それらの飲料がそれらの原材料を組み合わせた飲料であると取引者、需要者が認識すると推認される、と判断しました。

(複数の原材料を組み合わせた商品名の認識) これらの多数の例において、各原材料の語自体は、食用又は飲用に供される物の名前として一般に認識されている語であるから、上記の各商品名等に接した取引者、需要者は、それらの語の間に、「と」、「+」、「×」などといった、ある物にある物を加えるとか、ある物とある物を掛け合わせるといった際に用いられる文字や記号が使用されていなくても、それらの飲料がそれらの原材料を組み合わせた飲料であると認識すると推認される。

そのうえで、本判決は、以下の通り、原告商品と同様の茶(日本茶、紅茶)とコーヒーを組み合わせた飲料等について、飲料等の販売形態を細分化して見れば業界を異にする、それぞれの業界において著名な業者等から、販売されていたものとして、

茶(日本茶、紅茶)とコーヒーを組み合わせた飲料等については、別紙「茶とコーヒーを組み合わせた飲料等の販売開始時期や商品名等一覧表」記載のとおり、原告商品が販売される以前からそのような商品やメニューが少なからず存在し、<中略> 飲料等の販売形態を細分化して見れば業界を異にする、それぞれの業界において著名な業者等から、販売されていた<中略>。

「TeaCoffee」との表記に接した需要者、取引者は、「Tea」と「Coffee」を組み合わせた飲料等を意味すると認識すると判断しました。

(本判決の判断 ~ 「TeaCoffee」の語の意味の認識) 「TeaCoffee」との表記に接した需要者、取引者が、それが複数の原材料を組み合わせた他の飲料の商品名等と同様に、「Tea」と「Coffee」を組み合わせた飲料等を意味すると認識することに妨げはなく、そのように認識すると認めるのが相当である。

他方、本判決は、お茶入りコーヒーについて「TeaCoffee」というネーミングはされておらず、取引者、需要者に「Tea」のような「Coffee」であるのか、「Tea」と「Coffee」を融合させたものであるのかなどという想像を膨らませるものであるから、自他商品識別力を有するとの原告主張に対して、以下の通り述べ、原告主張を排斥しました。

(取引者の認識) これまでに著名な業者等が茶とコーヒーを組み合わせた飲料等を販売してきたという取引の実情に照らせば、そのような飲料等は、少なくとも茶やコーヒーの取引者にとってはなじみのある飲料等であると推認される。

(取引者、需要者の認識) また、茶とコーヒーを組み合わせた飲料等自体になじみがなくとも、上記(イ)bのとおり複数の原材料を組み合わせた飲料について、それらのよく知られた原材料名を接続した商品名等とすることが一般によく見られるものであることからすると、取引者、需要者がそのような商品名等に接した場合には、そのような原材料の組合せが飲料等として想定し得ないものでない限り、その飲料等がそれらの原材料を組み合わせたものであると認識することは自然なことである。

そして、茶とコーヒーの組合せが飲料等として想定し得ないものとはいえない上、それらを組み合わせた飲料等において、その組合せの新規さをうたいつつ、その商品名等として「茶」を表す語と「コーヒー」を表す語を接続したものが多数見られてきたのも、その商品名等によってその飲料等がそれらの原材料を組み合わせたものであると認識されることを多くの業者が前提としてきたことによるものと解される。

このように、取引者や需要者においては、「茶」と「コーヒー」を表す語を接続した商品名の飲料は、それらの原材料を組み合わせたものと認識すると判断しました。

(原告主張に対する本判決の判断 ~ 「TeaCoffee」の語の自他商品識別力の有無) したがって、お茶入りコーヒーのネーミングとして「TeaCoffee」が一般的でないという原告の主張を前提としても、「TeaCoffee」との語は、原告商標の指定商品について使用するときには、商品の品質(内容)又は原材料を直接的に示すにすぎないものとして、自他商品識別力を有しないと認めるのが相当である。

そのうえで、「TeaCoffee」との語は、原告商標の指定商品について使用するときには、商品の品質(内容)又は原材料を直接的に示すにすぎないものとして、自他商品識別力を有しないと判断しました。

また、本判決は、「TeaCoffee」の語が原告商品の販売に伴って原告商品を指すものとして自他商品識別力を獲得したとの原告主張に対して、以下の通り述べ、原告主張を排斥しました。

(原告商品のパッケージ表示) 確かに、原告商品には、商品パッケージの表面に商品の種類に応じて 「Roasted green teacoffee」、「Green teacoffee」、「Coarse teacoffee」などといった文字が表示され(乙46)、包装箱の表面にも同様の表示がされ、その裏面には「△△teacoffee」の文字が表示されている(甲8)。

しかし、商品パッケージには、その表面に上記表示(△△teacoffee)より大きく、別紙原告使用標章目録記載2の原告使用標章2が、裏面には同記載1の原告使用標章1がそれぞれ表示され(乙46)、包装箱には、その表面に上記表示(Teacoffee)より大きく2つの原告使用標章2が、裏面には上記表示(Tea coffee)より大きく原告使用標章1がそれぞれ表示されている(甲8)。

そして、原告使用標章1については、その構成態様からして、自他商品識別標識であると認識される表示である。

また、原告使用標章2については、「京茶珈琲」の文字が含まれ、それに接した者に原告商品の商品名が「京茶珈琲」であると認識される表示である上、目立つ形で「TEA×COFFEE」の文字部分が存しており、その「TEA」と「COFFEE」の間にはある物とある物を掛け合わせることを意味する際に用いられる記号(「×」)が使用されているため、「TeaCoffee」の語に比して、原告商品が「茶」と「コーヒー」を組み合わせたものであることをより一層直接的に表示するものとなっている。

(原告商品の販売広告状況) 原告商品の販売広告状況については、証拠及び弁論の全趣旨によれば、別紙「原告商品と被告商品をめぐる事情」のとおり認められるところ、まず、原告自身による宣伝について見ると、 原告の投稿に付されたインスタグラムには「teacoffee」というハッシュタグが付されたり、原告が主張する損害賠償請求対象期間後ではあるものの、原告が開店した店舗の窓ガラスには「TEACOFFEE」という表示がされたりしている。しかし、前者については「京茶珈琲」等のハッシュタグも付されており、後者についてはすぐ上部に「京茶珈琲」の表示もされている(同別紙の番号18及び41)。

また、原告のウェブサイトでは、原告商標の文字部分(TeaCoffee)が原告商標が表示される中で表示される(甲3)とともに、本文やヘッダー部分で「新しい『tea coffee』の世界へ」(同別紙の番号35)と表示されている。しかし、原告のウェブサイトには、原告使用標章2が複数表示されており、上記のパッケージ等と同様のことが指摘できるだけでなく、至る所に原告商品の商品名が「京茶珈琲」であると認識される形で「京茶珈琲」の文字が表示されている(甲3)。

また、原告商品の催事における出展の際に、「TeaCoffee誕生」との表示がされたことがある。しかし、ここでも、そのすぐ上に原告使用標章2が表示され、陳列されている商品パッケージには原告使用標章2が目立つ形で表示されている(同別紙の番号36)。

さらに、原告は、同別紙記載のとおり、上記で指摘した以外の多くの局面においても、原告商品を「京茶珈琲」と称し、その「京茶珈琲」の文字部分や「TEA×COFFEE」の文字部分が目立つ形になっている原告使用標章2を使用してきたことが認められる。

(各種媒体による原告商品の紹介) 各種媒体による原告商品の紹介について見ると、原告商品を紹介するテレビ番組の中には、原告商品を「ティーコーヒー」ないし「TeaCoffee」と表示して紹介するもの(同別紙の番号9、21、39)や「TEA×COFFEE」の文字が含まれた原告使用標章2を映したもの(同別紙の番号28)もあった。しかし、同別紙の9の番組では、カフェの取材時に「ティーコーヒー」との呼び名で紹介されたとは認められるものの、それが原告商品の商品名と認識される態様で紹介されたのかは明らかでない。また、同別紙の番号21の番組では、京都のカフェで提供する飲料について、「ティーコーヒー焙」とのメニュー表示や原告使用標章2が描かれたグラスを映した上で、「ティーコーヒー ほうじ茶とコーヒーをブレンド」と表示されているから、前記の原告使用標章2と同様のことが指摘でき、同別紙の番号28の番組でも同様である。さらに、同別紙の番号39の番組(ただし原告が主張する損害賠償請求対象期間後である)は、「日本茶とコーヒー ブレンドティーコーヒ-」、「京茶珈琲 TeaCoffee」、「スイカ団子 ティーコーヒー 炭酸水届くのはどれ?」と表示され、「ティーコーヒー」ないし「TeaCoffee」が原告商品の商品名とは認識されにくいものとなっている。

また、原告商品を紹介する雑誌記事については、同別紙の番号23、30、34及び44において「TEA×COFFEE」の文字が含まれた原告使用標章2が表示されているほか、同別紙の番号30の雑誌記事ではそれと並んで「Nagi KyotoTea×Coffee」との表示があるにとどまり、同別紙の番号23の雑誌記事では原告商品の商品名が「京茶珈琲」であると認識される形で「京茶珈琲」の文字が表示され、同別紙の番号44の雑誌では、原告商品の使った飲料が「ほうじ茶コーヒーラテ」と表示されている。

そして、これら以外に、原告商品について「TeaCoffee」の表記がされたものがあるとは証拠上認められない。

このように、原告商品のパッケージ表示や販売広告状況、各種媒体での紹介状況において、「TeaCoffee」の文字部分が自他商品識別標識として常に使用されてきたものではないと判断しました。

(原告商標のうち「TeaCoffee」部分の使用態様) このように原告商標の文字部分(「TeaCoffee」)は、それと同じ称呼がされ得る「teacoffee」、「TEACOFFEE」及び「ティーコーヒー」を含めて見ても、そもそも使用されている頻度が低い上に、使用されても、自他商品識別標識であると認識され得る別の表示(京茶珈琲)とともに使用されていたり、記述的表示であると認識され得ることにつながりかねない表示(TEA×COFFEE)とともに使用されていたりするなど、自他商品識別標識であるとは認識されにくい形で使用されてきたことが多いといえる。

(原告主張に対する本判決の判断 ~ 「TeaCoffee」の語の自他商品識別力獲得の有無) 以上の点を踏まえると、「TeaCoffee」の語が、原告による原告商品の販売に伴って原告商品を指すものとして自他商品識別力を獲得するに至ったとは認められない。

このように、本判決は、原告主張をいずれも排斥して、「TeaCoffee」の語について、自他商品識別力を欠くものと判断しました。

(本判決の判断 ~ 自他商品識別力の有無) 以上からすると、「TeaCoffee」の語は、被告が使用する標章の使用時点において、原告商標の指定商品である「茶、コーヒー、茶入りコーヒー、コーヒー豆」に使用されるときには、茶とコーヒーを組み合わせた飲料等の商品の品質(内容)又はその原材料を記述的に表示しているものとして、取引者、需要者によって一般に認識されるものであって、自他商品識別力を欠くものというべきである。

そのうえで、本判決は、以下の通り、「TeaCoffee」の文字部分については、原告商標の要部ということはできないから、原告商標については、「TeaCoffee」の文字部分と図形部分から成る全体の構成が一体となって、初めて自他商品識別力を有するに至っているとして、分離観察を認めませんでした。

(本判決の判断 ~ 分離観察の可否) したがって、原告商標の構成中、「TeaCoffee」の文字部分については、原告商標の要部ということはできないから、原告商標については、「TeaCoffee」の文字部分と図形部分から成る全体の構成が一体となって、初めて自他商品識別力を有するに至っているものというべきである。

原告商標と被告標章の類似について

本判決は、原告商標の図形部分を備えていない被告標章について、以下の通り述べ、原告商標との類似を否定しました。

原告商標と被告が使用する標章とは、「TeaCoffee」の文字部分と「TEACOFFEE」ないし「ティーコーヒー」の文字部分が類似するのみであり、その他に共通する部分はない

そして、原告商標中の「TeaCoffee」の文字部分は、前記(1)で認定判断したとおり、自他商品識別力が認められない部分であるから、その部分を共通するだけで、他に共通する部分がない原告商標と被告が使用する標章が類似するものということはできない。

本判決の結論

本判決は、以上を踏まえて、被告標章が原告商標と類似するものではないことから、原告からの商標権侵害を理由とする損害賠償請求を棄却しました。

コメント

本判決は、結合商標について、自他商品識別力を欠く一部分を抽出して分離観察し、他の標章との類否判断をすることを否定するとともに、自他商品識別力を有しない一部分のみが類似するだけで、他に共通する部分がない場合には、類似商標とは認められない、との判断を示したものであり、類似事案に当たる際に参考になります。

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