【平成30年(行ケ)第10102号(知財高裁H30・12・20)】

【判旨】 原告が、本件商標につき商標登録取消審判を不成立とした審決(取消2016-300709号事件)の取消訴訟を提起したものであり、当該訴訟の請求は棄却されたものである。

【キーワード】 ブロマガ,BlogMaga,商標法第50条,不使用取消審判

手続の概要

原告は,下記本件商標の商標権者である。 被告は,本件商標の登録取消審判請求をし,特許庁は,これを取消2016-300709号事件として審理した。取消審判請求の登録日は平成28年10月21日である。 (3) 特許庁は,平成30年3月22日,「登録第5621414号商標の指定役務中,第42類「インターネットにおけるブログのためのサーバーの記憶領域の貸与,ウェブログ上の電子掲示板用サーバの記憶領域の貸与及びこれに関する情報の提供,インターネットホームページを閲覧するための電子計算機の貸与,インターネット上で利用者が交流するためのソーシャルネットワーキング用サーバコンピュータの記憶領域の貸与,インターネット等の通信ネットワークにおいて利用可能な記憶装置の記憶領域の貸与」についての商標登録を取り消す。」旨の審決(以下「本件審決」という。また,取消しに係る役務を「取消対象役務」という。)をし,出訴期間として90日を附加した。その謄本は,同月30日,原告に送達された。 (4) 原告は,平成30年7月23日,本件審決の取消しを求めて本件訴訟を提起した。

本件商標

指定商品:第42類 インターネット等の通信ネットワークにおけるホームページの設計・作成又は保守,インターネット等の通信ネットワークにおけるホームページの設計・作成又は保守に関するコンサルティング,インターネット等の通信ネットワークにおけるホームページの設計・作成又は保守に関する情報の提供,インターネット等の通信ネットワークにおける情報・サイト検索用の検索エンジンの提供,インターネット等の通信ネ ットワークを利用するためのコンピュータシステムの設計・作成又は保守に関するコンサルティング,インターネット等の通信ネットワークを利用するプログラムの設計・作成又は保守,コンピュータにおけるウィルスの検出・排除及び感染の防止・パスワードに基づく��ンターネット情報及びオンライン情報の盗用の防止並びにコンピュータにおけるハッカーの侵入の防止等の安全確保のためのコンピュータプログラムによる監視,インターネットサイトにおけるブログ検索用の検索エンジンの提供,インターネットにおけるブログのためのサーバーの記憶領域の貸与,ウェブログの運用管理のための電子計算機用プログラムの提供,ウェブログ上の電子掲示板用サーバの記憶領域の貸与及びこれに関する情報の提供,オンラインによるブログ作成用コンピュータプログラムの提供又はこれに関する情報の提供,インターネットホームページを閲覧するための電子計算機の貸与,インターネット上で利用者が交流するためのソーシャルネットワーキング用サーバコンピュータの記憶領域の貸与,インターネット上の情報を閲覧するためのコンピュータプログラムの提供,インターネット等の通信ネットワークにおいて利用可能な記憶装置の記憶領域の貸与(なお,平成28年7月11日に,上記指定役務中,「ウェブログの運用管理のための電子計算機用プログラムの提供,オンラインによるブログ作成用コンピュータプログラムの提供,インターネット上の情報を閲覧するためのコンピュータプログラムの提供」についての登録を無効とする旨の審決の確定登録がされた。)

争点

争点は,商標法第50条所定の使用の有無である。

【判旨抜粋】(証拠番号等は適宜省略する。)

1 後掲各証拠及び弁論の全趣旨を総合すれば,次の事実を認めることができる。 (1) 原告は,「FC2ブログ」という名称のブログサービスを提供している。原告は,平成21年1月20日,FC2ブログにおいて,ユーザーがブログ記事に課金設定をして投稿することで,月額購読ポイントを支払った読者だけが当該ブログ記事を閲覧できる「ブロマガ」というサービスの提供を開始した。 (2) 原告のウェブサイトには次のとおりの記載がある。 ア 平成28年4月7日当時,原告のウェブサイト(「FC2ヘルプ>FC2ブログ>マニュアル>ブロマガ®(ブログマガジン)って何」のページ)において,「FC2ブログ マニュアル」の下に,「ブロマガ®(ブログマガジン)って何?」,「ブロマガとは,雑誌の「袋とじ」のようにブログ記事に価格を設定し,料金をお支払いいただいた訪問者だけが閲覧できる機能です。」,「お支払いはFC2ポイントまたはクレジットカードで決裁され,販売価格の内,システム手数料30%を差し引いて,販売者へ支払われます。」と表示されていた。 イ 平成28年4月30日当時,原告のウェブサイト(「FC2ブログ>ブロマガランキング」のページ)において,上部に,馬のようなマークの横に太字のゴシック体風の文字で「FC2」,「ブロマガ」の文字が並べて表示されていた。また,本文の最上部に「ブロマガランキング」と表示されていた。このウェブサイトのURLには「blomaga」という文字が含まれていた。 ウ 平成28年4月1日当時,原告のウェブサイト(「FC2 VideoAdulto」のページ(ポルトガル語表記のページ))の下方の動画リスト部分には,動画の名称の前に「【ブロマガ限定】」の文字の表示,2行目には長方形の背景の中に「BlogMaga」の文字の表示があった。 エ 平成28年4月8日当時,原告のウェブサイト(「FC2ヘルプ>FC2ブログ>Q&A>ブロマガの設定に関して」のページ)には,本文の上に「ブロマガの設定に関して」と表示され,「ブロマガ」に関する質問,質問と回答が記載されていた。 オ 原告は,平成28年4月当時,原告が運営するFC2ブログにおいて,ブログ記事の閲覧に課金機能を設け,課金した利用者にのみブログ記事が表示されるシステムにより,ブログ記事を有料で提供したい者がブログ記事を有料で提供し,ブログ記事を有料で閲覧したい者がブログ記事を有料で閲覧できるサービスを提供していた。 (中略) 2 商標の使用について 上記1に認定した事実によれば,原告は,平成28年4月当時,電磁的方法により行う映像面を介した役務の提供に当たり,その映像面に「ブロマガ」の文字からなる商標(以下「本件使用商標1」という。)及び「BlogMaga」の文字からなる商標(以下「本件使用商標2」という。)を表示して役務を提供していたものであるから,原告は要証期間内に本件使用商標1及び本件使用商標2を使用していたものと認められる。 3 商標の同一性について (1)ア 本件商標は,前記第2の1(1)のとおり,ゴシック体風の「ブロマガ」の片仮名とセンチュリー体風の「BlogMaga」の欧文字を上下2段に配置した商標であり,上段と下段の間は文字の高さの半分程度の間隔があり,上段と下段のフォントの大きさは概ね同じで,上段より下段の方がやや横幅が大きく構成されている。上段の「ブロマガ」部分からは,「ブロマガ」という称呼が生じる。 また,下段の「BlogMaga」部分は,「Maga」が大文字の「M」で始まること,「dog」,「frog」のような「og」の語尾を持つ一般的な英語で「g」の発音を省略することはないこと,「Blog」はウェブログの省略語として浸透している「ブログ」を想起させることから,全体として「ブログマガ」という称呼が生じるものと認められる。そうすると,本件商標からは,「ブロマガブログマガ」という称呼が生じるといえる。 また,「ブロマガ」及び「BlogMaga」はいずれも造語であり,特段の観念を生じるとは認め難く,本件商標からは特段の観念を生じない。 イ 他方,本件使用商標1は「ブロマガ」の文字のみからなり,本件使用商標2は「BlogMaga」の文字からなるものであるから,本件商標とは使用する文字の一部が共通するものの,外観,観念及び称呼のいずれについても同一とはいえない。 ウ 以上に照らせば,本件使用商標1及び本件使用商標2について,本件商標の「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標,平仮名,片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標,外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標(本件商標)と社会通念上同一と認められる商標」ということはできない。 エ また,原告は,原告のウェブサイトのURL中の「blomaga」の文字の使用について,本件商標と「社会通念上同一の商標」の「使用」に当たると主張するが,仮にURLにおける「blomaga」の使用が商標法50条1項所定の「商標」の「使用」に当たるとしても,「blomaga」は本件商標と外観,観念及び称呼のいずれにおいても同一とはいえないことは,本件使用商標1,2と同様であるから,本件商標と「blomaga」の文字からなる「商標」が「社会通念上同一」であるとは認められない。 (3) よって,その余の点を判断するまでもなく,原告が,要証期間中に,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたとは認められない。

解説

本件は,商標登録取消審判¹を不成立とした審決に対する取消訴訟である。 商標法第50条における「使用」が商標権者等によってなされたのかが問題となった。 本件において,原告は,本件使用商標1(ブロマガ)及び本件使用商標2(BlogMaga)からは,同一の称呼,観念を生じさせる等の主張を行った。 しかし,裁判所は,「BlogMaga」の下線部「g」を発音しない場合に,本件は該当せず,称呼は別のものであり,また,原告のサービスが,「ブロマガ」と「BlogMaga」と同じであると需用者に認識されていたという証拠等もないから,観念としても同一ではなかった等と認定し,原告の主張を排斥した。 商標法第50条の不使用取消審判においては,あくまでも登録された商標の使用が問題となるのであって,本件では,「ブロマガ」及び「BlogMaga」を別々に使用してしまったために,取り消されてしまったものである。実務上は,「ブロマガ」及び「BlogMaga」を別々に商標登録するなど,将来の使用形態を十分に考慮しておく必要がある。この点で,本件は参考になると思われる。