今年は、米国食品医薬品局(「FDA」)への登録を義務づけられたすべての食品施設が、登録を更新しなければならない年である。従って、該当する食品会社は、今年末までに更新手続きを行う必要がある。ここで注意すべきことは、今年初めて登録したばかりの食料施設も登録更新義務の対象となることから、年末までに当初の登録を「更新」しなければならない点である。登録更新は、FDAウェブサイトのオンラインシステム(FDA Industry Systems: https://www.access.fda.gov/)から行うことができる。

ご存知の通り、米国内の人または動物の飲食用に食品を製造、加工、梱包または貯蔵する施設は、その所在地(米国内か米国外か)にかかわらず、FDAへの登録が義務づけられている。これらすべての食品施設は、各偶数年の10月1日から12月31日までの期間中にFDA登録の更新を行うことになっている。また、登録済みの情報に変更がある場合には、適時FDAに通知し、情報を更新しなくてはならない。なお、登録・更新・変更手続きに料金が発生することはない。

登録を怠ったり、登録後に更新・変更手続きを行わなかったりする食品施設は、(1) 新たに登録を完了するまで、米国で消費される食品の製造・処理・貯蔵を禁じられるほか、(2) 連邦政府により民事罰および刑事罰の両方またはいずれか一方を科される可能性がある。登録が一旦無効になってしまうと回復不可能となるため、新たに登録し直す必要性が生じることは特記すべき点かと思う。

当該登録義務は、非常に広範囲にわたるもので、食品産業に携わる多数のビジネスに関わるものである。ここで言う「食品(Food)」だが、連邦食品・医薬品・化粧品法(Federal Food, Drug, and Cosmetic)(「本法」)の下では、(1) 人間や他の動物の飲食物に使用されるもの、(2) チューインガム、および(3) これら品目の成分として使用されるもの、と定義されている。FDAガイドラインが「食品(food)」として規定する品目の一例には、ダイエット・サプリメント、ダイエット食品に含まれる成分、乳児用調整粉乳、(アルコール飲料やボトル入り飲料水を含む)飲料、フルーツ、野菜、魚介類(米国農務省により規制されているアメリカナマズ、チャー、スワイ、バサなどのナマズ目は除く)、乳製品、殻付き卵、食品やその成分に使われる生の農作物、缶詰製品、冷凍製品、菓子類(ベーカリー製品)、スナック/キャンディー類、食用動物、ペットフード、ペット用スナックおよび家畜飼料などがある。ちなみに、食品接触物質(Food Contact Substances)および殺虫剤は「食品」ではないため、こうした品目を製造、処理、梱包または処理する施設は、FDA登録が不要とされている。

また、「施設」という言葉には、「食品を製造・処理・梱包・貯蔵するための工場、倉庫または建物(工場、倉庫、輸入業者の建物なども含む)」が含まれるが、農場、レストラン、他の食品小売店舗、非営利食品施設および漁船は、当該「施設」の定義から明白に除外されている。FDA登録が不要とされる施設としては、前述の例以外に、個人住宅、給水施設(瓶詰めされていない水を扱う施設を含む)、および通常のビジネス取引上食品輸送目的だけに使用される輸送車が、FDAガイドラインに列挙されている。食品産業の分野で言うならば、本法は、米国内外の製造業者、(製造)加工業者、梱包業者および倉庫業者に影響を与えるものと言えるだろう。

FDAは、米国政府がこれら食品施設がバイオテロ(生物兵器テロ)の標的になり得ると懸念していること、また標的となり得る場所をすべて把握することは、米国政府がバイオテロに備え対処する上での一助となることから、FDAへの登録を義務づけている。さらに、登録された情報は、FDAが、食品媒介病が発生し得る施設にそのようなリスクがあることを知らせる上でも役立っている。家畜や��作物を標的としたテロリズムまたは公衆衛生上の緊急事態は、米国の社会的・経済的・政治的安定性のほか、農業基盤までも破壊しかねない。FDAが食品施設に対して課す登録義務は、米国政府がテロリズムなどの大惨事から国民を守るために講じている数多くの対策のうちの一つと言える。