ev3, Inc. v. Lesh, No. 515, 2013 (Del. Sept. 30, 2014)におい て、デラウェア州最高裁判所は、ev3社が買収した会 社の元株主を勝訴させる陪審評決を覆し、「存続によ り転換が発生するわけではない」との原則に基づき新 たなトライアルを行うことを命じた。本件は、ev3社 によるアプリバ社のクロージング時の支払額5000万ド ル、アプリバ社が開発した医療機器であるPLAATOに 関する規制の適時完了時の支払額1億7500万ドルでの 買収に関するものであった。本件取引が終了した 後、ev3社は、規制機関からの許可を求めるのに要し た費用が利益を上回ったと主張して、PLAATOの開発 に資金を提供することを中止した。アプリバ社の元株 主は、ev3社を契約違反で提訴した。

両当事者は、交渉過程において、「パフォーマンス・ マイルストーンを成就するのに十分な資金があること を確保するため」の資金提供を必要とする条項が含ま れた基本合意書に署名していた。基本合意書の一部の 条項は明確に拘束力を持つものとされていたが、当該 資金提供条項を含むその他の部分は、拘束力を持たな いものとされていた。アプリバ社は、交渉が進むにつ れて、買収契約においても同様の強制資金提供条項を 記載することを求めた。ev3社はこれを拒否し、アプ リバ社はこの点を強く主張しなかった。最終契約の 第9.6条は、「本契約に反するいかなる条項にもかかわ らず」ev3社は自身の誠実な裁量によりマイルストー ンの達成に向けて資金提供を行う、と規定していた。 また、最終買収契約において、当該契約は、基本合意 書を除く全ての従前の契約書及び理解に優先する、と の条項が加えられていた。

トライアルにおいて、アプリバ社は、基本合意書は完 全合意条項から除外されているため、当事者間の完全 合意の一部として認められるべきである、と主張し た。最高裁判所は、アプリバ社が、基本合意書におけ る「約束」(拘束力のない資金提供条項)を引用し、 独立した約束又は第9.6条におけるev3社の裁量に制限 を加えるものであることを理由に、基本合意書の資金 提供条項が事実上は拘束力のあるものである、と主張 することを認めた。しかし、裁判所は、交渉過程にお いてev3社が強制資金提供条項を拒否したことを示す 証拠を同社が提出することは認めなかった。最終的 に、陪審員は、ev3社は契約上の義務に違反したとし て、アプリバ社に対する1億7500万ドル(マイルス トーンが全て適時に終了していた場合の金額)の損害 賠償を認めた。

控訴審において、デラウェア州最高裁判所は、基本合 意書の存続により、従前は拘束力がなかった条項が拘 束力を有するものに転換するわけではなく、機密保持 を含む明確に拘束力を有するとされた条項が保持され るものである、と判示した。また、同裁判所は、当該 条項が当事者間の契約の一部であったとしても、 第9.6条における資金提供条項と矛盾するものである、 と指摘した。そして、第9.6条は「にもかかわらず」と の文言を有するため、これと矛盾する資金提供条項は 有効とはなり得ない、とされた。同裁判所は、拘束力 のない条項について拘束力を有するとアプリバ社が主 張することを認めた点で原審は誤ったと判示し、原審 を破棄して新たなトライアルを命じた。合併契約の完 全合意条項の例外とされたとしても、拘束力のない条 項が拘束力を有するものになるわけではなく、拘束力 を持たせることが当事者の意図であったのであればそ のように明示するか、最終契約の中に当該条項を含め るべきであった、ということが明確にされると予想さ れる。