[概要]

雇用主が提供する団体健康保険においては、加入要件である週25-30時間の勤務時間を満たさないパートタイマーが加入資格を有する可能性は低い。一方、401(k)プラン(確定拠出年金)においては、12ヵ月の期間に少なくとも週19時間勤務するパートタイマー(つまりは、年間勤務時間が1,000時間に相当するパートタイマー)でも加入資格を有する可能性がある。パートタイマーが401(k)プランから不適切に除外されている場合、同パートタイマーに対して、給与天引により自主的に401(k)プランに拠出する機会や、雇用主によるマッチング拠出(matching contribution)を受領する機会が与えられていないことになる。

こうしたよく起こり得る問題が生じた場合、雇用主は、401(k)プランから不適切に除外された各パートタイマーのために同プランへの拠出を行うとともに、「従業員プランにおける瑕疵治癒システム(Employee Plans Compliance Resolution System(EPCRS))」を介して米国財務省にコンプライアンス料を支払うことで瑕疵を是正することができる。このような是正目的の拠出は、通常、通年またはそれ以下の部分的な期間における不適切な除外に対する是正措置としてEPCRSで承認されている方法に従って行われる。雇用主は、EPCRSに沿った是正措置を講じることで、内国歳入庁(IRS)がかかる是正措置を認めた旨を記す「コンプライアンス証明書(compliance statement)」をIRSから受け取ることができる。これにより、雇用主は、IRSによる従業員プランの将来的な監査に対する不安(ストレス)や制裁への恐怖を緩和することができることとなる。

多くの雇用主は、一般的に週25-30時間勤務するフルタイム従業員に対して団体健康保険を提供する一方で、パートタイマーについてはかかる保険への加入から除外していることがよくある。しかしながら、団体健康保険における加入除外とは対照的に、団体健康保険に加入できないパートタイマーであっても、401(k)プランに加入し、給与天引による401(k)プランへの拠出を行ったり、雇用主によるマッチング拠出を受領したりする資格を有する場合がある。

この背景には、401(k)プランが「フルタイム」か「パートタイム」かに基づく区別をしていないことがある。つまり、401(k)プランでは、従業員の加入資格について最低加入年齢と勤務要件に基づいた判断を行う。なお、勤務要件については、「12ヵ月の期間における勤務時間が1,000時間」を基準として設定していることから、週の勤務時間が平均19時間(1000時間÷52週)のパートタイマーであれば、401(k)プラン加入資格における同要件を満たしていることになる。適格のパートタイマーをプランへの加入から除外する場合、同プランは成文化された規定に従って運営されていないことになり、その結果、IRSによる監査が入った際に同プランが金銭的制裁の対象となったり、あるいはプラン自体が不適格となったりする可能性がある。

今後の対策:各雇用主においては、自社の401(k)プランの加入資格を見直し、最低加入年齢、勤務要件およびプラン加入日を確認されることをお勧めする。加入資格を構成するこれらの事項は、プランのプロバイダーが発行したプラン導入契約(adoption agreement)に記載されている。雇用主は、加入資格とパートタイマーの実情を照らし合わせることにより、適格なパートタイマーがプランへの加入から不適切に除外されているか否か、迅速に確認することができるであろう。そして、不適切に除外されているパートタイマーの存在が確認された場合には、EPCRSに沿った是正措置を講じることをアドバイスする。ちなみに、EPCRSは、雇用主がプランにおける瑕疵を自発的に是正することを目的に設置されたものであるため、IRSがサポートするシステムだからといってEPCRSの利用を躊躇する必要はない。

当事務所は、EPCRSを利用しての是正申請において数々のクライアントを代理しており、是正措置にかかわる質問および申請について全面的なアシストを提供している。