前回では、弊所(上海恒峰弁護士事務所)は中国で商標が先駆け登録された後の取 れる対応措置を紹介した。又、各種の措置の中で、商標知名度の証拠及び商標冒認 者の悪意に関する証拠の提供の重要性を紹介した。そこで、商標冒認者の悪意等そ の他に関する証拠の収集は、案件のポイントであり難関でもある。

本文は案件を通じて、主に商標使用の調査を紹介する。

商標使用状況の調査が商標案件における重要な位置付け

商標使用状況の調査とは、権利者の合法的な権益を守るため、商標の行政プロセス(商標異議申立て、 拒絶査定不服裁判、三年不使用取消裁判、無効裁判等その他の段階を含む)或いは商標権侵害訴訟の 段階において、ある特定の商標出願の過程及び現状を調査することで、客観的事実の把握、証拠の収集 により、権利者に関連証拠の収集に役立ち、その権利を保護していく準備をしておくことを指す。

成功な商標調査は案件の切口とする事実を発見することができ、更には案件の結果を逆転させる効果 もありうる。

以下、弊所はいくつかの案件を通じて、商標使用状況の調査の役割に対する説明と分析を行う。

案件1:調査で行政訴訟中の異議申立商標の出願者は既に経営資格を無くしたとの事実を判明

常州のある木業有限会社(以下「第三者」と言う)は2004年、第19類(材木、床板等)商品項目に商 標登録の出願をした。が、アメリカ会社(以下「原告」と言う)の第3類(化粧品)商品に登録された商標( 以下「引用商標」と言う)と完全一致していた。当該アメリカ会社は1991年から中国市場に進出し、引用商標は2011年に中国商標局より馳名商標と認定された。

当該アメリカ会社は商標の出願に対して異議を申立て、そして異議申立不服裁判を請求したが、商標局 及び商標評審委員会はその主張と異議申立理由を認めなかった。それで、弊所は当該アメリカ会社の依 頼を受け、行政訴訟の代理人として案件を遂行した。

弊所はこの案件を検討した結果、難関とポイントは、原告は2004年以前の3年連続の資料を提出 し、第3類の引用商標が2004年前から既に馳名商標の状態に達した事実を証明しなければならな い、ことだと認めた。又、原告は第3類化粧品の商品項目と第19類木材等の商品項目との間で、一定 の関連性があり、区分を越えて保護すべきことを証明しなければならない。しかし、関連証拠が全て12 年前に形成されたものであったため、原告は引用商標が2002年から既に馳名商標の状態に達した ことを証明することができなかった。これが異議申立て及び異議申立不服裁判の段階で、主張が商標局 及び商標評価委員会から却下された原因であった。

弊所は第三者に対する簡単な工商検索を行った結果、2006年3月3日から、当該第三者の営業許 可証が既に「取り上げられた」状態になっていることが確認された。

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全国企業信用情報公示システムから は、第三者の営業許可証を既に取り 上げられていた、と示している。

『会社法』の規定により、会社は違法経営、又は継続的営業停止、又は年次検査の手続が遅れた場合、 工商行政管理機関より営業許可証を取り上げられる。営業許可証を取り上げられた後、会社の主体資格 は依然として存在するが、業務の展開は不可能になる。

また、北京市高級人民法院が2014年1月に公布した『商標の権利付与・権利確定に係わる行政案 件の審理に関するマニュアル』第24条では、「被異議商標を出願した企業は営業許可証を取り上げられ た後、まだ抹消手続きをしていない場合、同時に以下の条件を満たす場合、商標法第4条の規定に基 づき、被異議商標を登録させないことができる。

  1. 行政裁決を下すとき、被異議商標を出願した企業の営業許可証を既に取り上げられてから3年を 超えている;
  2. 被異議商標が既に譲渡、又は他人に使用許諾していた証拠がない;
  3. 被異議商標を出願した企業が商標評審及びその後の訴訟に参加していなく、また企業の状況及び 被異議商標の状況に関する説明或いは関連主張を行わなかった;
  4. 被異議商標は引用商標に対する複製·模倣であり、かつ両者の指定商品に一定の関連性が存在す る。」と明確に規定されている。

よって、弊所は上述の状況に基づき、第三者に対���、詳しい調査を始めた。 弊所はまず当該第三人に対する現場調査を行った。調査結果により、当該第三人は実質的な経営行為 がなく、更には当該会社も既にいなくなったことがわかった。

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調査現場で撮影した関連企業の 名簿

同時に、弊所は第三人に対してホームレコードの検索を行った。その結果、第三者は2004年から年 次検査を行っていなかったことが確認された。

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第三者のホームレコード資料に記録された最 後の年検記録(2003年)

最後に、弊所は更なる検索と証拠収集を行い、当該係争商標は譲渡或いは使用許諾された記録がなか ったことを確認した。

前述の状況から、当該係争商標は使用の主観的な意図及び客観的な条件が存在しないことを十分に証 明できる。当該係争商標が登録されると、長期的に使われない状態及び帰属不明な状態になり兼ねな い。これは、商標資源の浪費を招き、商標制度の主旨を違背することになる。

従って、この調査結果は案件の結論に決定的な効果をもたらし、かかる訴訟全体の戦略に重大な変化 を与えたと言えよう。

当該案件は2014年に北京市第一中級人民法院に行政訴訟を提起し、2014年末頃に証拠を補 充し、2015年に開廷を迎えた。

弊所がこの案件を代理した。 次回では、弊所の事前の商標調査によって第三者の反論を封じて、案件の最終的な勝利を導いた案件

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