当事務所発行の2021年3月26日付クライアント・アドバイザリーおよび2021年9月3日付クライアント・アドバイザリーの最新情報として、米国環境保護庁(「EPA」)は、2021年9月3日、2023年春に新たな規則の制定を開始し、リン酸トリス(イソプロピルフェニル)(3:1)(「PIP(3:1)」)を含む、難分解性、生体内蓄積性および毒性物質とみなされる5種類の化学物質(「PBT物質」)に関わる新規則を提案することを計画している旨発表しました。後述のPIP(3:1)に関する例外を除き、PBT物質に関する現行の2021年1月付最終規則は、EPAが2023年春の新規則制定に向けて取り組む期間中、引き続き有効となります。

PIP(3:1)規則遵守日の延長

2021年9月3日、EPAは、2021年1月21日付のPIP(3:1)最終規則(「本最終規則」)によるPIP(3:1)およびPIP(3:1)含有物品の処理および流通・販売の禁止、ならびにPIP(3:1)含有製品の製造業者、処理業者および流通・販売業者に課された記録保持義務の遵守日を2022年3月8日まで延長しました。さらに、EPAは、特定のPIP(3:1)含有製品、かかる製品の製造に使用されるPIP(3:1)、およびPIP(3:1)含有製品に係る記録保持に関し、更なる遵守日の延長について意見を募るため、60日間のパブリック・コメント期間を新たに設ける規則案を近日中に公示すると述べました。

PIP(3:1)に関する意見においてEPAが期待すること

2023年に計画されている5種類のPBT物質それぞれに対するEPAの規則制定の一環として、EPAは、PIP(3:1)および他のPBT物質に関する現行規則を再評価する意向であることを発表するとともに、遵守日の追加延長を支持するコメントに対してEPAが求める具体的な情報に関して、EPAが期待することを示しました。特に、EPAは、意見提出者が、「サプライチェーン全体を通じた、製品におけるPIP(3:1)の具体的な用途に関する文書、PIP(3:1)の代替品の特定、試験および適格化のための具体的な手順に関する文書、更新を必要とする具体的な認証に関する文書、ならびに予想される必要時間」を提供することを期待しています。また、EPAは、意見提供者からこのような具体的な情報の提供がないのであれば、「遵守日が再延長される可能性は低い」と述べました。

次のステップ

2022年3月8日までとPIP(3:1)規則の遵守日の延長が比較的短期間であることや、更なる延長に関しては不確実性が伴うことを踏まえると、PIP(3:1)含有製品の製造業者、処理業者、および流通・販売業者はサプライチェーン・パートナーと協力の上で、製品におけるPIP(3:1)の用途を特定し、PIP(3:1)含有製品の一部においてどのような代替品が利用可能かについて判断する必要があります。