2019年2月に、上海知識産権局法院は、原告瓦莱奥清洗系統公司(VALEO SYSTEMS D’ESSUYAGE、以下「ヴァレオ社」という)と、被告廈門盧卡斯汽車配件有限公司(XIAMEN LUKASI CAR ACCESSORIES CO.,LTD.、以下「盧卡斯社」という)、被告廈門富可汽車配件有限公司(XIAMEN FUKE CAR ACCESSORIES CO.,LTD.、以下「富可社」という)及び被告陳某との特許権侵害紛争事件について、侵害疑義製品は原告特許の保護範囲に含まれていると認定し、被告である盧卡斯社、富可社に対し「自動車のワイパーの連結器及びそれに対応する連結装置」特許に対する侵害行為を直ちに停止することを命じる一審の中間判決を下し、賠償等の問題については判決を下さなかった。これは上海法院が知的財産権分野で初めて下した中間判決である。

知的財産権侵害紛争事件は、侵害と賠償の事実の究明が難しく審理時間が長くなることが往々にしてあり、裁判が終わらないことで権利者の損失が拡大するだけでなく、事件の審理効率と司法の信頼性の向上の妨げとなっているため、権利侵害行為を即時に制止し、権利者の合法的な権益を守るために、当該事件において上海知識産権局法院は革新的な方法として中間判決制度を導入し、既に究明した侵害事実の部分について中間判決を下した。

原告は、「自動車のワイパーの連結器及びそれに対応する連結装置」の特許権者であり、当該特許は現在も有効である。原告は、3被告が許可を得ず製造、販売、販売の申出をしているワイパー製品は原告の特許の特許請求の保護範囲に含まれており、原告特許を侵害していることを発見したため、3被告に対して侵害行為の即時停止と経済損失の賠償及び合理的支出の計600万人民元の支払いを求めて、上海知識産権局法院に訴訟を提起した。

被告の盧卡斯社、富可社及び陳某は共に、「侵害疑義製品は、原告の特許の保護範囲内に含まれていないため、権利侵害に該当しない。侵害疑義製品が権利侵害に該当するかどうかには争いがある。」と主張した。

原告は、事件が審理されている間、当該権利侵害行為が続けば原告の特許製品の売上に深刻な影響が出ることや、訴訟が終了しなければ原告の市場業務に支障をきたすことを考慮して、法院に、侵害疑義製品が原告特許の請求項1-10に含まれていることを認定して、3被告に対し直ちに権利侵害行為を停止することを命じる中間判決を下すよう求めた。

これに対し、3被告は、原告には権利侵害行為が継続していることを証明する証拠もなく、原告の請求には事実や法律的根拠もないと主張して、法院に原告の中間判決の申立を却下するよう求めた。

▓法院が中間判決を下す

上海知識産権局法院は、「侵害疑義製品が原告特許の請求項1-10に含まれているかどうかについて双方当事者に争いがある。この争いは本件の核心的な問題であり、侵害疑義製品が権利侵害にあたるかどうかや民事責任などの問題に直接関係している。原告がこの問題について法院に中間判決を下すよう求めたことは、法律に抵触せず、かつ当該事件の賠償に係る大量の証拠をさらに審理する必要性を判断するのに有益であり、司法資源の節約にもなるため、民事訴訟法第153条の規定により認められる」との見解を示した。

上海知識産権局法院は、事件の審理過程において、合議廷を設置して双方当事者の事件の基本的な事実、原告の特許技術、侵害疑義製品に係る技術方案・技術の対比について、充分に立証、尋問、弁論を実施し、また、上海知識産権局法院が招聘した技術専門家と技術調査官が共同で侵害疑義製品について検証を行って、最終的に、侵害疑義製品が、原告特許の請求項1-3、6-10の範囲に含まれていると認定した。これにより、法院は法律に基づき、盧卡斯社と富可社の両被告に直ちに上記権利侵害行為を停止することを命じる判決を下した。