北京知的財産法院は、5名の裁判官で合議体を構成し、宿遅法院長が自ら裁判長として、西安西電捷通無線ネット通信股フン有限公司(以下は、「IWNComm社」)がソニー移動通信製品(中国)有限公司(以下は、「ソニー中国社」)を訴えた、スマートフォンに関するSEP(standard-essential patent、標準必須特許)侵害案件を審理した。

当該案件が国内外のメディアに大きく報道され、注目されていた。その理由は、法院が永久的な差止命令を下すかどうかを焦点としたからである。

昨日(2017年3月22日)、法院は、一審判決を言い渡し、ソニー中国社の権利侵害を認め、ソニー中国社の過失によりライセンス契約の合意ができなくなったことを理由にし、永久的な差止命令を下した。更に、法院は、IWNComm社が提出したロイヤルティレートの3倍をベースに損害賠償額として約863万人民元(約1.4億日本円)を算出した。

そのうち、永久的な差止命令を下した理由は次の通りである。

1)FRAND実施許諾宣言は、SEP保有者がライセンスを許諾したことを意味するものではないため、FRAND実施許諾宣言の元で、当事者がライセンス契約を締結したと認定されることができない。従って、特許が国家強制標準にリストアップされたことと、FRAND実施許諾宣言は、非侵害の抗弁理由とはならない。

2)差止命令を認めるかを決定する際に、法院は、事前のライセンス交渉で当事者には過失があったかどうかを考慮すべきである。係争特許はWAPI技術に関するコアな特許であり、国家強制標準に不可欠なものである。ライセンス交渉において、IWNComm社は関連特許技術を説明し、特許リストとライセンス契約のドラフトをソニー中国社に提示した。これらの情報に基づいて、ソニー中国社は、IWNComm社にクレームチャートの提示を求める必要がなく、その携帯電話に搭載されたWAPIソフトウェアが係争特許の保護範囲にカバーされているかどうかを判断することができる。従って、ソニー中国社がクレームチャートの提示を求めることは合理的ではない。一方、クレームチャートには特許権者の意見と主張が記載されるため、IWNComm社がクレームチャートを提示する前に秘密保持契約の締結を求めることは合理的である。

一方、損害賠償額を算出するため、IWNComm社は、第三者との4つのライセンス契約を証拠として提出した。 法院���、工業・情報化部のデータに基づいて、ソニー(中国)社の販売台数を取得し、更に、ライセンス契約に記載されたロイヤルティレート(1人民元/件)を参考することで、IWNComm社の請求により、その販売台数に前記ロイヤルティレートの3倍のレートを乗じて損害賠償額を算出した。

また、IWNComm社が主張した合理的な支出(弁護士費用、製品購入費、公証費など)約47万人民元(約758万日本円)も法院に全額支持された。

最近、SEP関連の特許訴訟が中国で多発しており、当該案件の今後の動きも引き続き注目されると思う。