「進化したいなら、「我要学習去」(私が勉強しに行きます)で学ぼう。もっと楽に学習できる」。「インターネット+」教育プラットフォームの「我要学習去」の運営者である快歩(廈門)網路科技有限公司(以下、「快歩公司」という)は、「我要学習去」を商標として登録出願したが、北京市知識産権法院に顕著な特徴に欠けると判断され拒絶査定された。法院は、「関連公衆は、第20689817号商標「我要学習去」(以下、「係争商標」という)を容易にキャッチフレーズとして認識するため、顕著な特徴を備えておらず、しかも快歩公司が提供した証拠も当該係争商標が指定役務に使用したことで顕著な特徴を獲得したことを証明するに足るものでない」と認定した。上訴後、北京市高級人民法院は、快歩公司の上訴を棄却し、商標評審委員会(以下、「商評委」という)による係争商標の登録を認めないとした復審決定を維持する判決を下した。

 快歩公司は、2013年10月に登録、設立した。同社には「我要学習去」、「快学幇」と「愛青苗」の三つのブランドがある。2016年7月に、快歩公司は、訓練、教授、学校(教育)、補習(訓練)など第41類の役務を指定して、係争商標の登録出願をした。

 中国商標法第11条第1項第3号の規定によると、顕著な特徴に欠ける標識は商標として登録することができない。また、『商標審査と審理基準』の規定によると、商品と役務の特徴を示すフレーズ又は文、一般的な広告宣伝用語は、顕著な特徴に欠けるものに当たる。当該事件の主な争点は、係争商標の「我要学習去」を指定役務において登録出願した場合に、よく使われるキャッチフレーズ又はスローガンに該当し、識別力に欠けるかということである。

 関連するフレーズ又は文が独創的かどうか或いは流行しているかどうかは、商標登録に必要とされる顕著な特徴を有するかどうかの判断基準ではない。関連するフレーズ自体の内容が既に関連公衆にキャッチフレーズ、スローガンとして見られている場合、商標登録の基本条件を満たしていないことになる。当該事件では、法院は、「我要学習去」は客観的事実であって奇抜な文言ではないと判断した。

 キャッチフレーズ、スローガンが商標として識別力に欠けるかどうかは、係争商標と指定商品又は指定役務の関係を考慮する必要があり、具体的に係争商標のフレーズ又は文が、指定商品又は指定役務の分野でよく使用されている用語かどうかを調べなければならない。もし、あるキャッチフレーズが、事業活動でよく見られるもので、関連公衆が容易にそれをスローガン又は経営理念を表すキャッチフレーズと認識し、商品又は役務の出所を識別する標識と見なさない場合、識別力に欠けるため商標として登録することができない。当該事件の場合、係争商標の「我要学習去」が表す意味は、指定した訓練、教育など第41類の役務と明らかに密接に関連しているため、係争商標をこの分野で使用した場合、関連公衆にキャッチフレーズであると容易に認識され、役務の出所識別機能を果たすための役務提供主体との対応関係を形成することができない。

 宣伝効果があるキャッチフレーズ、スローガンは、特定の主体により長期に亘り、大量に使用されることで商標の備えるべき顕著な特性を形成できた場合、関連公衆に商標の標識として認識され、商標として登録し使用することができる。しかしながら、実務では、この種の証拠資料に対する審査が比較的厳しく、一定の数量が求められるだけでなく、係争商標が比較的高い知名度を有するかどうか、既に出願主体と唯一の対応関係を形成しているかどうかも特に審査される。

 本件は審理の結果、商標局が係争商標は顕著な特徴に欠ける標識にあたるため、商標として使用してはならないとの理由で係争商標の登録を認めないとする決定を下した。快歩公司はこれを不服として、商評委に復審(拒絶査定不服審判に相当)を請求したが、商標評審委員会は拒絶査定を維持する審決を下した。その後、快歩公司は北京知識産権法院に行政訴訟を提起した。

 快歩公司は、「係争商標は使用により比較的高い知名度を有し、既に当社と唯一対応する関係を形成している。「我要学習去」はよく使用されるフレーズではなく、識別力を有しており、「我要学習去」に類似したフレーズも既に登録されている。係争商標の登録が認められない場合、プラットフォームのユーザーの利益を害し、更には公共の利益を害することになる」と主張した。

 北京知識産権法院は、審理した結果、「係争商標の「我要学習去」は、既存の一般的な文言であり、関連公衆はそれを商標として認識することが難しい。係争商標は、指定役務において使用した場合に役務の出所を識別する機能がなく、顕著な特徴に欠ける標識に当たるため、商標として登録及び使用することができない。同時に、快歩公司が提出した証拠は、係争商標が使用により比較的に高い知名度を有し、それにより顕著な特徴を備えたことを証明するに足るものでなく、しかも、係争商標の登録を認めるかどうかは公共の利益の範疇にない。また、商標審査と審理は個別事件審査原則に則っており、他の商標の登録状況を、当該事件の係争商標の登録を認めるかどうかの根拠とすることはできない。」との見解を示し、快歩公司の請求を棄却する一審判決を下した。

快歩公司は、一審判決を不服として、北京市高級人民法院に上訴を提起した。審理の結果、北京市高級人民法院は、快歩公司の上訴を棄却し、一審判決を維持する判決を下した。