中国 実際の考案者の認定要件

【判決番号:(2018)粵03民初270号】

原告:深圳徳康威爾科技有限公司

被告:深圳安格鋭電気有限公司

▓ 事実の要約

原告と被告の権利の帰属に関わる紛争事件について、広東省深圳市中級人民法院は2018年1月12日に受理した後、法律により一般の手続きを適用し、公開審理を行った。

原告は、中国の実用新案第ZL201620358309.2号、名称「はめ込み式H字型コイルのコアレスリニアモータ」(以下、「係争実用新案」という)の実用新案権が原告に帰属することの確認を求める訴訟を提起した。係争実用新案の出願書類には8名の考案者が記載されており、そのうちの6名はかつて原告に在籍していた。被告は、その6名の考案者のうち2名が原告を退職後に、設立した会社である。残りの4名も次々と原告を退職して、被告に就職した。

原告は、「係争実用新案の構造、機能、構成部分は考案者が原告に在籍中に参加した「H字型コアレスリニアモータ」のデザイン技術に非常に類似しており、しかも考案者が退職してから係争実用新案の登録出願日までの期間は1年未満であるため、当該実用新案は職務考案に属し、実用新案権は原告に帰属するべきである」と主張した。

被告は、「原告に在籍していた一部の考案者は、研究開発能力を備えておらず、研究開発作業にも参加しなかった名だけの考案者である。その他の考案者が原告に在籍していた期間の業務は、リニアモータの研究開発とは関係がなく、関連する技術資料に接触したこともなかった。係争実用新案は考案者が原告を退職した後、従来技術を基に改良を行った技術成果であり、原告が主張する職務考案ではなく、実用新案権の帰属は原告と何の関係もない」と主張した。

▓ 法院の審理結果:

1. 現在の実用新案権の権利付与手続きにおいては、国家専利行政管理部門は出願書類に記載された考案者に対し実質的な審査を行っていないため、実用新案証書にある考案者の記載は、絶対的な証明効力を有しているわけではなく、実用新案証書に記載されている考案者を、登録が認められた係争実用新案の実際の考案者であると認定することもできない。

2. 係争実用新案が、考案者が原告の任務を執行する上で完成させた職務考案に属すると認定されるには、以下の3つの構成要件を満たさなければならない。

(1) 当該考案者と原告との間に労働、人事関係が存在する。

(2) 係争実用新案は、当該考案者と原告との間の労働、人事関係の終了後1年以内になされた考案である。

(3) 当該考案者が係争実用新案について創出した考案は、原告に在籍した期間に担当した業務又は割り当てられた任務と関連がある。

3. 係争考案が職務考案であるかの判断は、主に、当該係争考案と、考案者が原告に在籍中に従事した業務・任務とが関連するかどうかで判断するのであって、係争実用新案の技術的特徴と、考案者が原告に在籍中に従事した業務内容とが完全に同一であるかどうかで判断するのではない。

4. 係争実用新案が従来技術を基にした改良技術かどうかは、係争実用新案が職務考案であるかどうか、さらには係争実用新案権が原告に帰属するかどうかとは、必ずしも関係があるわけではない。

Ø最終的に、法院は実用新案権が原告に帰属するとの判決を下した。