2022年11月17日、台湾行政院(内閣に相当)は、産業イノベーション条例の改正草案を閣議決定した。改正草案の第10条の2は、先日発効した米国のCHIPS and Science Act 2022と類似しているため、「台湾版チップ法案」とも呼ばれている。その趣旨は、税制優遇措置により、台湾に投資するハイテク関連企業の競争力を強化することである。

混迷を深める世界情勢のなかで、各国は半導体産業を中心に基幹産業の国産化を目指し、様々な優遇策を打ち出している。例えば、米国政府はサプライチェーンの国内生産能力の強化を図っており、日本政府は法改正により外国半導体企業の日本での工場増設に補助金を出して支援し、韓国政府は研究開発費に対する最大40%の税額控除と半導体関連の特許出願の優先審査制度を設けている。このような背景で生まれたのが、台湾版チップ法案である。

具体的には、当該草案では、台湾国内で「技術革新」を行い、かつグローバルサプライチェーンにおいて「重要な地位」を占める企業に対して、①研究開発費及び売上高に対する研究開発費の割合が一定規模に達していること、②適用される実効税率が15%を下回っていないこと、③環境保護、労働、または食品安全衛生関連の法律に対する重大違反がないことという3つの条件を満たす場合、「先端技術の研究開発活動への投資支出」の25%、または「先端の製造プロセスに用いる新規機器や設備への投資支出」の5%を当年度の納付すべき法人税額から控除できることが規定されている。上記2つの控除額は、それぞれ法人税額の30%を上限とし、そして、他の既存税制優遇措置と合わせて、当年度の法人税額の50%を上限とすることが規定されている。

この税制優遇草案は、台湾企業に限らず、台湾で研究開発センターを設置し、かつ上記の条件を満たす外資系企業にも適用される。 そして、主務官庁である経済部は、半導体産業はもちろん、法案に定められた要件を満たす5G通信や電気自動車や低軌道衛星などのその他のハイテク産業にも適用されると強調した。

当該草案は行政院で閣議決定された後、立法院(国会に相当)で審議され、早ければ2023年1月1日に施行され、そして、2029年12月31日までの施行期間を定めた条項が設けられる。ただし、研究開発費の基準額や適用範囲などの認定に係る詳細な事項については、主務官庁が財政機関と連携してさらに詳しく定める必要がある。