出典:知識力】

北京知産宝網絡科技発展有限会社の中国知的財産権判決文書データベース(www.iphouse.cn)に収録された2013年1月1日~2016年11月の中国の法院の専利権(特許、実用新案、意匠)侵害事件の判決文書を分析サンプルとして、分析結果をこの報告にまとめた。このサンプルには、第一審の判決書3,795通、第二審の判決書1,754通、再審の判決書23通が含まれ、計5,122件の事件に関している。これらの事件において、法院が原告を支持又は一部支持する事件は計4,063件で、すなわち原告の勝率は79.32%である。

 報告の中で、引用された2つの重要なデータの定義は下記の通りである。

ü   平均認容額:原告が損害賠償を請求し、かつ原告が勝訴した事件における最終的な損害賠償額の平均値。

ü   請求額に対する認容額の割合:上記の事件における平均認容額と原告が主張する請求額の割合。

 そのため、当事者が損害賠償を請求していない事件は統計に入っていない。また、13件の事件は複数の専利(特許、実用新案、意匠)に関わるもののため、異なる専利の認容額統計の比較研究の便宜上、この種類の事件も統計に入ってない。したがって、正式に分析サンプルに入れた事件の件数は計4,037件で、そのうち特許は480件、実用新案は837件、意匠は2,720件である。  

一、全体的な認容額状況の分析  

 下記の図1を見ると、特許の平均認容額が一番高く、これは実用新案の2.5倍、意匠の5.3倍である。しかしながら、請求額に対する認容額の割合(図2参照)を見ると、実用新案の請求額に対する認容額の割合は29.99%で一番高く、特許より4.75%も高く、意匠より14.69%も高い。

 年度で専利の種類別の平均認容額(図3参照)を見ると、2013年~2016年の成長は直線上昇ではなく、波状となっていることが分かる。認容額が一番高いのは特許で、次が実用新案、一番低いのは意匠である。請求額に対する認容額の割合(図4参照)を見ると、一番高いのは実用新案で、次は特許、一番低いのは意匠である。

二、法院別の認容額の分析

北京、上海、広州の3つの知識産権法院の認容額(図5参照)の分析:北京知識産権法院の特許と意匠の平均認容額はいずれも上海知識産権法院や広東知識産権法院より高く、特に、北京知識産権法院の特許の平均認容額は、上海知識産権法院の6.6倍で、広州知識産権法院の6.9倍である。また、広州知識産権法院の実用新案の認容額が一番高く、その額は北京知識産権法院の1.1倍で、上海知識産権法院の1.8倍である。各専利の紛争の認容額は、地域によってそれぞれ大きく異なっていることが分かる。

 請求額に対する認容額の割合(図6参照)を見ると、一番割合が高いのは北京知識産権法院で、次が広州知識産権法院、一番低いのは上海知識産権法院である。実際、上海知識産権法院の専利の種類別の請求額に対する認容額の割合は全国の平均値より低いことにも注目したい。(全国平均値:特許25.24%、実用新案29.99%、意匠15.3%)

三、IPC分類に基づく認容額状況

IPC分類に基づいた特許及び実用新案の請求額に対する認容額の割合について、北京/上海/広州知識産権法院と全国のデータ分布は一致しており、いずれも請求額に対する認容額の割合ではAセクション(生活必需品)が一番高く、Dセクション(繊維、製紙)が一番低い。また、平均認容額では、Cセクション(化学、冶金)が一番高く、Eセクション(固定構造物)が一番低い。

 意匠はLOC分類によると、請求額に対する認容額の割合では、第28類(医療用品、化粧品、化粧用品及び化粧器具)が一番高く、第12類(輸送又は昇降の手段)が一番低いが、平均認容額が一番高いのは第12類で、一番低いのは第5類(紡績用繊維、人工及び天然のシート材料)である。

四、行政区に基づいた販売業者の権利侵害に係る認容額の分析

沿岸地域と経済が発達した地域において販売業者の権利侵害事件が比較的集中している。その中で、広東省の権利侵害事件の件数が一番多く、2位の浙江省の2.3倍にもなる。平均認容額を見ると、北京地区の販売業者の平均認容額が一番高く、唯一平均認容額が10万人民元を超えた地区でもある。