ブロックチェーン(Blockchain)技術は世界経済成長の主要な原動力の一つになりつつあり、また金融業界を根本から変革するものであり、特に、フィンテック(FinTech、Financial Technology)の発展の上で重要な地位を占めている。ブロックチェーン(Blockchain)技術の活用により、金融機関はクロスボーダー決済、証券取引及びコンプライアンスの各方面においてコストの大幅な削減、また、その複雑さの軽減を図ることができる。今後、この技術が他の伝統産業分野で活用されると、これらの産業活動の革新に寄与することも期待され、その重要性は自明である。専門家や学者はさらに、ブロックチェーン技術が将来的に商業、政府及び社会の仕組みに広大で深遠な影響を与える可能性があると絶えず予測しているため、それに関連する法律問題も当然生じるだろう。

ブロックチェーンの最も重要な仕組みは、分散型台帳技術(Distributed Ledger Technology、DLT)によりグローバルに分散された巨大な台帳(取引情報)又はデータベースをすべての人にオープン化して複数の装置で作動し、安全かつ密かな記録方法で、各類型に価値ある情報が大規模なコラボレーション(mass collaboration)や巧妙なコード(clever code)を通して作成されることにより、見知らぬ者同士の間での信義則や信用を確保するとともに、多種多様な取引コストを大幅に削減できるという点である。例えば、ブロックチェーン技術を活用したスマートコントラクト(Smart contractとは、プログラムコードを使って特定の契約条件を、ブロックチェーン技術を用いたスマートコントラクト内に記入するものを指す)は、契約の締結、その履行及び支払いに係るコストを大幅に削減できると思われる。

よって、ブロックチェーン技術の活用によって、必然的に多くの既存及び新たな法的課題が伴うことになる。詳しく言えば、ブロックチェーンの特性の一つはその匿名性であり、これはユーザーの身元確認と開示の問題、及び情報公開と保存の合法性に関係しており、例えば、その具体的なアプリケーションでユーザーに身元情報の提出を強制すべきか、それに関連する業務へのアプリケーションについて明確な法規制が存在しているか、ユーザーの個人情報の開示が必要とされるときに個人情報保護法が適用されるか、その関連法令を改正すべきかなどの問題が存在している。このほかに、ブロックチェーンは、デジタル署名に用いる公開鍵暗号アルゴリズム(非対称鍵)方式によって情報の安全性と否認不可性を確保するが、その技術は「電子署名法」(中国語「電子簽章法」)にいうデジタル署名の定義を満たすかどうかについても疑問がある。さらに、前述のスマートコントラクトの作成、署名、応用及び契約違反の責任のコントロールは従来の契約とは若干異なる可能性があるため、どのように適用されるかについて疑問が生じる可能性もある。

このほかに、ブロックチェーン自体の技術内容や運用方法は、知的財産分野においても、まだ解決が待たれる問題がいくつかある。特許を例にすると、関連する法律問題はブロックチェーン技術の発明の属性(性質)がソフトウェア又はビジネス方法に係る発明などであるか否かを含むが、これらの属性の技術もまだ特許法上の発明としての適格性を満たすか否かという論争がある。この問題に関して、たとえ現在、各国の特許実務は徐々に開放的な態度を取るようになってきたとしても、審査面における判断基準の厳しさには依然として違いがある。特許出願人にとって、各国の審査基準における特許の適格性に関する規定を満たし、その権利保護の実質的な範囲を確立するとともに、新規性、進歩性及び十分な開示と明確性などの特許要件を備えるよう、明細書をどのように作成すべきか、及び請求項をどのように適切に記載すべきかということは、依然として容易なことではない。

ブロックチェーン技術の活用は今日の社会にとって重大な課題となっており、その発展も政府、産業及び一般大衆に対して大きな影響を与えつつあり、その進展過程で生じた関連する法的課題を全面的かつ合法的に解決することにより、消費者の利益及び取引の安全性の確保を図ることは、我々が対応すべき重要な課題となっている。