1 2017 年 9 月 newsletter 1.2017 年中国国際商標ブランドフェスティバルが盛大に開催され、三友知 識産権が三大賞を獲得 2.【2017 年優秀商標代理事例】コラディオール服飾有限公司とディオール社 の間で争われた商標係争事件 3.注目されていた 2017 年特許年会が盛大に開催され、三友が代表的な知的 財産代理機関としてCCTVニュースで全国報道される 4.三友が代理した商標無効審判事件で口頭審理の最初の先駆けに 三友知識産権が優秀商標代理機関、優秀商標代理事例、卓越貢献賞 の三大賞を獲得 2017 年中国国際商標ブランドフェスティバルが中華商標協会、広西壮族自 治区工商行政管理局の主催で 9 月 1 日~4 日に桂林市で盛大に開催された。今 回の商標ブランドフェスティバルには、政府の関係部・委員会、国家工商行政 管理総局、各省市の工商行政管理部門、市場監督管理部門の高官、世界知的所 有権機関(WIPO)や外国政府知的財産部門の職員、国内外の著名な知的財 産専門家、ブランド経済学者、企業家、商標代理機関、有名メディアなど関係 者数千名の参加があった。 中華商標協会の副会長団体である北京三友知識産権代理有限公司は、「2016 ~2017 年度優秀商標代理機関」の称号を獲得している。また、中華商標協会 から「2017 年度商標ブランド建設卓越賞」も授与された。 2016~2017 年度優秀商標代理機関 2 2017 年度商標ブランド建設卓越賞 また、商標ブランドフェスティバルの重要事項の一つとして、「2016~2017 年優秀商標代理事例」の選考結果が、9 月 3 日に開催された「商標典型事例評 価フォーラムで正式に発表された。 今回、中華商標協会によって企画された「2016~2017 年優秀商標代理事例」 の選考活動では、選考に参加した事例として計 100 件余が集められ、人民法院、 大学、商標主務官庁の専門家、学者からなる審査委員会により精選された結果、 最終的に 21 件の事例が選ばれた。三友知識産権が代理した「クリスチャン・ ディオール・クチュール社が応訴した、コラディオール服飾有限公司とディ オール社の間の商標係争第二審行政訴訟事件」も「2016~2017 年優秀商標代 理事例」に入れられている。 3 【2017 年優秀商標代理事例】コラディオール服飾有限公司とディ オール社の間で争われた商標係争事件 事例の概要 深圳市コラディオール服飾有限公司(以下、「コラディオール社」という) の商標「koradior」は、出願日が 2006 年 7 月 11 日で、その指定商品は第 18 類のハンドバッグ、家具用革製装飾、毛皮、傘、犬の首輪、愛玩動物用被服、 人工皮革、ベルト(非服飾用)、つえ、財布である。 2012 年 3 月 6 日、中華人民共和国国家工商行政管理総局商標局は、被異議 商標の商標登録を認める旨の決定を下した。 これに対し、ディオール社は、不服審判を請求した。 2013 年 10 月 28 日、商標審判委員会から審決書が発送され、被異議商標 「Koradior」は、引用商標中の「Dior」、「Christian Dior」と対比したところ、 アルファベットの構成、配列順及び視覚的効果において一定の差異があるので、 類似商標に該当しないと認定された。 しかしながら、北京市第一中級人民法院は、被異議商標の商標登録がディオ ール社の先の商号に係る権利利益を害しないと認定した本件審決は不当なも のであるので、是正をすべきであると認定した。 そして、判決で本件審決を取り消し、ディオール社の審判請求に改めて審決 を下すよう商標審判委員会に命令した。 コラディオール社は、この商標異議不服審判行政紛争事件で中華人民共和国 4 北京市第一中級人民法院の行政判決を不服として上訴を提起し、原審判決の取 消しと本件審決の維持を請求した。 最終的に、コラディオール社の上訴は北京市高級人民法院に棄却され、原判 決が維持された。 一.主な手法と経験 「Dior」と「Christian Dior」は、ディオール社の独自の商標で、世界中で 広く商標登録を受けており、第 25 類、第 18 類、第 14 類の商品についていず れも高い知名度を有している。 長期間の宣伝、使用がされた結果、ディオール社が各区分で商標登録を受け ていた複数の商標は、既に高い知名度を有していて、非常に高い信用を確立し ており、世界的な著名商標となっている。 商標審判委員会から発送された審決書において、双方の商標がアルファベッ トの構成、配列順及び視覚的効果に一定の差異があるため、類似商標に該当し ないと認定されている事情の下で、弊所の商標チームは、論理的に争い、証拠 を収集する際にも、ディオール社が世界各地で宣伝してきた広告、販売量を 勘案して、商標が高い知名度を有することの証拠の収集を重視することで、 商標の群衆の中での影響力、商標の知名度を証明した。また、被異議商標の 商標登録は、明らかに引用商標の知名度を利用するもので、購入する商品が ディオール社のものであると消費者に誤認させるおそれがあることを証明し た。 二.典型的意義 本件では、コラディオール社も、被異議商標の指定商品と引用商標の指定商 品が類似の商品を構成することに異議がなかったので、商標の類否を認定する にあたっては、商標・標章の構成要素とその全体としての類似の程度を検討し た上で、関係商標の顕著性と知名度、使用する商品との関連の程度などの要素 を検討し、容易に混同を生じるか否かを判断基準とすることになる。 本件では、被異議商標と引用商標のいずれにも「dior」の文字が含まれてい 5 て、被異議商標には「kora」の文字が含まれているが、引用商標が第 18 類の 商品について一定の知名度を有する事情の下では、被異議商標と引用商標の差 異によっても、関係公衆が両者を混同することは免れ難い。また、人民法院の その前の効力を生じた判決においても既に標章「koradior」と標章「dior」は 類似商標を構成すると認定されているので、裁判の基準は同じであるべきとす る原則からすれば、被異議商標と引用商標は類似商標を構成していることにな る。被異議商標の指定商品と引用商標の指定商品が類似の商品を構成する事情 の下では、被異議商標の登録出願によって、関係公衆は、両者��同じ主体を出 所とするもの、又はそれらの提供者の間に特別な関係があるものと考えること で、商品の出所について容易に誤認、混同を生じることになる。 注目されていた 2017 年特許年会が盛大に開催され、三友が代表的 な知的財産代理機関としてCCTVニュースで全国報道される 第 8 回中国特許情報年会及び中国特許年会が 2017 年 9 月 5 日から 6 日まで 北京で開催された。今回の年会のテーマは、「特許で実体経済の成長を推進す る」である。今回の年会では、世界中の最も権威ある思想指導者を集めて、新 しい情勢下で特許が実体経済とイノベーションの促進に対して発揮する役割 について共に議論がされた。今年のキーワードは、一帯一路と人工知能である。 中国国家知識産権局の申長雨局長の話によれば、より高いレベルの外資導入 と海外進出を促進するため、中国国家知識産権局は、既に数ヵ国と協力協定を 締結しているとのことである。「中国国家知識産権局は、現在、既に世界知的 所有権機関(WIPO)及び関係国・地域と 195 もの多国間・二国間の協力協 定を締結しており、また、23 ヵ国・地域と「特許審査ハイウェイ」(PPH) プログラムを開通させて、中国企業の海外での知的財産権取得と外国企業の中 国での知的財産権取得に多大な利便を提供しており、中国と世界各国の間の経 済貿易・科学技術文化交流を促進するために有力な支援を提供している」。 概算統計によれば、2016 年の全国における技術契約の成立総額は、初めて 1 兆元の大台を突破し、前年同期比で約 16%増加している。知的財産の価値の 実現が加速されて、「メイド・イン・チャイナ」から「クリエイテッド・イン・ 6 チャイナ」への転換、「中国のスピード」から「中国の品質」への転換、「中国 製品」から「中国ブランド」への転換が推進されているところである。中国政 府工業情報化部の羅文副部長の話では、近年、中国メーカーの知的財産運用能 力には明らかな向上が見られるという。「工業情報化部は、工業企業知的財産 管理指南と工業企業知的財産運用能力評価指標を相次いで制定しているが、こ れに基づいて、2016 年までに知的財産のモデル企業 1,425 社、ベンチマーク 企業 60 社が選ばれ、よいデモンストレーション効果が発揮されている。モデ ル企業のうち、企業の知的財産管理制度が確立されたところの割合は 90%を 超えている。2014~2015 年に保有特許件数の年平均増加率は 18%を超え、特 許新製品販売収入の年平均増加率は 22%となった」。 この近年、中国政府は、イノベーション主導をより重要な位置に掲げており、 中国は、特許件数においても著しい成績を収めている。2016 年に国家知識産 権局で受理された発明特許出願は計 133 万 9000 件で、前年同期比で 21.5%増 加しており、6 年連続で世界一となっている。また、中国国内の発明特許保有 件数も 100 万件を突破しており、米国と日本に次いで国内の発明特許保有件数 が 100 万件を超える世界第三の国となっている。 今回の中国特許年会までに、北京三友知識産権代理有限公司も同年会には既 に 6 年連続で出展しており、8 年連続で参加している。 31 年の歴史を有する知的財産代理機関として、三友のブランド確立とブラ ンド創意には独自の特色があり、中国中央テレビ(CCTV)のニュースで報 道されている。 7 (三友ブランドがCCTVの全国ネットニュースで報道された) 三友が代理した商標無効審判事件で口頭審理の最初の先駆けに 2017 年 8 月 25 日、国家工商行政管理総局商標審判委員会は、中国商標大楼 421 会議室で第 11444427 号商標「BOLIMO」と第 11444613 号商標「搏力謀」の 無効事件の口頭審理を実施した。 これは、新しい商標法、商標法実施条例、『商標審判規則』及び『商標審判 事件口頭審理規則』が公布、施行されてから、商標審判委員会が商標の異議・ 8 無効事件で口頭審理を決定した初の事件である。 口頭審理は、事情が複雑で、事実についての争いが大きく、証拠の調査が困 難な少数の事件に適用される。商標審判委員会は、その公式サイトに 3 日前に は口頭審理公告を掲載している。 北京三友グループ・万瑞律師事務所の陳堅弁護士と石亜凱弁護士が、請求人 「ボリモ株式会社」の代理人として今回の口頭審理に出頭した。瀋蘭英弁護士 と趙明珠弁護士も本件の分析と手続に共に参与した。 ボリモ株式会社は、1975 年 7 月 1 日にスイスのチューリッヒで設立されて、 小企業から現在の上場企業まで成長しており、世界各地に支社や事業拠点を設 けて、世界の暖房空調分野の先導者となっている。ボリモ株式会社の信用状況 から、三友の商標代理チームと弁護士チームは、積極的に関係証拠を収集して 用意し、32 部、合計千頁余の証拠を本件で提出した。 一.模擬審理によって口頭審理の順調な進行を期する 今回の商標審判委員会の口頭審理は、『商標審判事件口頭審理規則』が公布、 施行された後、初の商標無効事件の口頭審理で、事件の双方当事者が初めて在 廷で証拠調べをするものであるので、参考にできる先例がない。本番の口頭審 理の順調な進行を期するため、三友の商標代理人と弁護士は、事務所内で模擬 審理を何度も繰り返して、口頭審理の争点を精確に把握し、事件における証拠 調べのリスクを十分に評価した。 二.可視化したデータを提示して事件の効率的な審理に資する 代理人弁護士チームは、事件における各種の関係情報、関係データの収集、 分類、分析、整理を行って、「審判請求」、「証拠調べ」、「争点」、「最終意見陳 述」の順序で事件を整理し、「重要な証拠」、「証拠の連鎖」と「争点」を可視 化したマルチメディア提示方式で口頭審理の合議体の面前に示して、合議体と 傍聴者がすべて事件の事実と争点をはっきりと理解できるようにすることで、 口頭審理の順調な進行を期した。 口頭審理制度の決定と実施は、商標審判制度の建設において得られた重大な 進展であり、審判事件の当事者の法的な権利利益を保障して、商標審判事件の 審理手続を規律し、商標審判便利化改革を推進する上で積極的な効果を生じて 9 いる。 代理人弁護士:陳堅、石亜凱、趙明珠、瀋蘭英