ドメインネーム争議申立は、ドメインネーム争議案件における特有の手続きである。ドメインネーム争議申立で最も一般的なのはトップレベルドメイン争議申立である。トップレベルドメインは、ジェネリックトップレベルドメイン(TLD, Top-Level Domains、通用トップレベルドメインとも呼ばれる)と国コードトップレベルドメイン(ccTLD, country code top-level Domains、国家トップレベルドメインとも呼ばれる)という2種類に分類される。

ドメインネームに含まれるトップレベルドメインの種類に応じて、それぞれのドメインネーム争議解決機関に申立てる。

一、ジェネリックトップレベルドメイン争議の申立

「.com」, 「.net」, 「.info」, 「.org」, 「.edu」などジェネリックトップレベルドメインネーム争議については、アジアドメインネーム仲裁解決センター(ADNDRC)、世界知的産権機関仲裁調停センター、アラブドメインネーム争議解決センター、カナダ国際インターネット争議解決センター、チェコ仲裁裁判所インターネット争議解決センター、米国国家仲裁フォーラムに申立を行うことが可能である。上記6機関は、いずれもICANNに認定されたジェネリックトップレベルドメイン争議解決機関である。『統一ドメインネーム争議解決政策(UDRP)』に基づき、申立人はジェネリックトップレベルドメインネーム(gTLD)の取り消し、移転、変更を求めることができる。

ジェネリックトップレベルドメインネーム争議の申立が支持されるには3つの条件がある。第1に、争議ドメインネームは申立人が権利を有する商標と同一か、または混同を招くほど相似していること;第2に、被申立人は争議ドメインネームについて権利を有していないこと;第3に、被申立人は当該ドメインネームの登録、使用に悪意があること。この3つの条件がすべて揃っていることを申立人は挙証しなければならない。

被申立人の悪意には4つの状況が含まれる:第1に、争議ドメインネームは、申立人(商標またはサービスマークの所有者)またはその申立人の競争相手にドメインネームを販売、貸出または譲渡し、ドメインネームに直接関連する記録された被申立人の現金支払費用相当額よりも高い収益を得ようとする;第2に、被申立人が次のような行為に関与している限り、商標またはサービスマークの所有者が商標またはマークに対応するドメインネームを取得することを防止する目的でドメインネームを登録した。第3に、被申立人は、主に競合他社の通常の事業を妨害するためにドメインネームを登録した;第4に、被申立人は、商業的利益のために、被申立人のウェブサイトもしくはアドレスにアクセスするよう、故意にインターネットユーザーを誘引しようとする。その方法は、被申立人のウェブサイトもしくはアドレス、またはそのウェブサイトもしくはアドレス上の製品またはサービスの出所、スポンサー、所属もしくは許可が申立人の標識と相似することで、混同を生じさせる。申立人が上記4種類の悪意のいずれかを証明できる場合、被申立人には悪意があることが認定される。

二、国コードトップレベルドメイン争議の申立

国コードトップレベルドメイン争議は、中国で具体的言えば、「.cn」と「.中国」のドメインネームをめぐる争議であり、中国国際経済貿易仲裁委員会(CIETAC)ドメインネーム争議解決センター(DNDRC)に申し立てる必要がある。『国家トップレベルドメインネーム争議解決方法』第14条の規定により、申立人は争議ドメインネームの取り消し、移転を求めることができる。

『国家トップレベルドメインネーム争議解決方法』第8条に申立が支持されるための3つの条件が規定された。第1に、申し立てられたドメインネームは、申立人が民事権益を持つ名称または標識と同一か、または混同を招くほど相似していること;第2に、被申立人はそのドメインネームについて権利を有していないこと;第3に、被申立人はそのドメインネームの登録、使用に悪意があること。申し立てが支持されるには、この3つの条件がすべて揃わなければならない。その中で、第1に規定された申立人が民事権益を持つ名称または標識について、実務で主に登録商標権、企業名称権(商号権)、姓名権、著作権、ドメインネーム権などの先行権利が含まれる。

『国家トップレベルドメインネーム争議解決方法』第9条に被申立人に悪意がある4つの状況が規定された。すなわち、被申立人が次の状況のいずれかに当てはまった場合、その行為はドメインネームの登録、使用に悪意があると認められる。第1に、ドメインネームの登録または譲渡を受ける目的は民事権利の所有者である申立人またはその競争相手に当該ドメインネームを販売、貸出またはその他の方法で譲渡し、不当な利益を得ることにある。第2に、他人が合法的な権益を持つ名称または標識を自らのドメインネームとして登録し、他人がドメインネームの形でインターネット上で合法的な権益を持つ名称または標識を使用することを妨げる。第3に、ドメインネームの登録または譲渡を受けるのは、申立人の名誉を損ない、申立人の通常の業務活動を妨害し、または申立人との区別を混同させ大衆を誤解させるためである。第4に、その他の悪意の状況。

このうち、最初の3つの悪意については明確に規定されており、4番目の悪意はその他の悪意である。ドメインネーム申立の実務でよく見られる4番目の悪意には、争議中のドメインネームをギャンブル、サッカーベッティング、巨額奨励付きの売買という別の形のギャンブル、ポルノ、高利貸しなどの違法サイトの運営に使用するなど公序良俗の原則に著しく反する各種行為が含まれる。ドメインネーム申立の実務で申立人は上述の規定をめぐり証拠を収集しなければならない。

三、ドメインネーム争議申立の特徴

ドメインネーム管理機構の授権及び登録サービスプロバイダーの協力により、ドメインネーム争議解決機関は被申立人を精確に特定することができ、被申立人がみつからない状況はほぼない。争議ドメインネームはすべて登録サービスプロバイダーの制御の下にあり、登録サービスプロバイダーはドメインネーム裁決の執行を保障するため、ドメインネーム争議の裁決書が発効後に、争議ドメインネームは直ちに執行されることができ、制御可能で「執行しやすい」という特徴がある。ドメインネーム争議はすべてオンライン提出、オンライン立件、オンライン証拠交換、オンライン答弁、オンライン送達を実施し、効率的で迅速な特徴を備えている。海外の申立人が中国国内の代理人に申立を依頼する時、申立人の真実の意思表示である限り、その委任状は所在国の公証機関で公証する必要がなく、中国大使館または領事館の認証も必要がない。これで経済と時間コストが大幅に減少し、コロナ禍にある今日では、リスクも大きく減少し、低コストという特徴がある。

無論、ドメインネーム争議申立はドメインネームの権利所属争議を解決するだけで、裁決の結果は争議ドメインネームを抹消するか取り消すか、あるいは争議ドメインネームを申立人に譲渡することに限られ、その他の権利侵害責任は関与しない。申立人が影響の除去、名誉回復、損害賠償などの一般的な権利侵害行為の救済を受けるためには、訴訟、仲裁などの手続きをしなければならない。

総じて言えば、ドメインネーム争議申立には、ドメインネーム争議案件における特有の手続きであり、制御可能で、「執行しやすい」、効率的で迅速、コストが低くて、操作しやすいなどの特徴がある。