近時のTerkel対CDC (Terkel et al. v. Center for Disease Control and Prevention et al. No. 6:20 -cv- 00564 (2021))訴訟事件で、米国連邦地方裁判所(テキサス州東部地区)(「本裁判所」)は、合衆国憲法第1条に基づき、通商規制に関する連邦政府の権限の適用範囲において、CDC(米国疾病予防管理センター)には住居からの強制退去を禁止する権利はないという判決を下しました。本裁判所は、かかる権力は、州政府、すなわち州に委ねられた規制権限であると決定しました。本件の主要問題は、合衆国憲法第1条により、連邦議会に付与された立法権の下で、住居からの強制退去を禁ずるCDC命令を執行できるか否か、およびかかる立法権の行使を連邦行政機関であるCDCに委ねることができるか否かという点でした。

 

本件の主要論点の1つは、州・地方自治体における活動に対する規制が、州際通商に関わる連邦政府のより広範な規制にどのような影響を及ぼすかということでした。本裁判所は、不動産は本質的に地方自治体の利益であるため、強制退去を命じる権利は、不動産所有者の占有権の基盤であるとみなしました。したがって、(州レベルかまたは連邦レベルかを問われた場合)かかる権利は、地方自治体レベルでより適切に規制されるべきであると判示しました。さらに、本裁判所は、連邦政府が全国で強制退去禁止令を実施するためにその通商条項に基づく権限の行使を試みたのは今回が初めてであったことも指摘しています。

 

要するに、本裁判所は、連邦政府が州政府の救済に対してもその広範囲の権限を行使できるようになれば、連邦政府が州政府に留保された規制権限を脅かすことになり得ると判断したわけです。(注記:本CDC命令には、住居者に既存以上の公衆衛生保護を提供するために強制退去禁止令を出している州、地方自治体、連邦統治地域または部族地域では、本命令は適用されないと定められていました。しかし、かかる規定が違憲である可能性もあります。テキサス州の本訴訟事件が上訴されるかどうかはまだわかりません。)

 

多くのテナントが、家主の強制退去措置を未然に防ぐ手段としてCDC命令に救いを求めているように見受けられるため、現在、強制退去禁止令を発令している州では、より慎重な検討が必要です。(注記:CDC命令は、商業用物件ではなく、居住用物件のテナントだけを対象としていますが、コロナ禍におけるすべての連邦政府規制を考慮した場合、連邦政府が州・地方自治体レベルの通商規制をどのように制限できるかを判断することは重要です。)

 

本件判決の影響についてご質問等ございましたら、不動産部門の弁護士までお気軽にご連絡ください。