基幹技術の流出を防ぐため、経済部投資審議委員会(以下「投資審議会」という)は2022年4月21日に「中国での投資または技術協力への従事に関する許可規定」(以下「許可規定」という)第5条および第10条を改正・公布・施行した[1]。当該許可規定は1993年に公布された後、台湾と中国の間のビジネス活動の活発化に伴い、数回の改正を経て現在に至る。現在の台湾と中国の間の政治関係に鑑み、台湾政府はこのような投資または技術協力をさらに制限する必要があると判断した。前回の許可規定の改正は2020年12月30日であり[2]、今回は、中国への技術輸出をさらに制限するものとして近年で2回目の改正となる。

許可規定第7条の第1項によると、台湾の公民、法人、組織、またはその他の機関が中国で投資または技術協力を行う場合、投資審議会の許可を受けなければならない。ただし、一つのプロジェクトでの累積投資額が主務官庁の公表する限度額を下回る場合、申告方式ですることができる。改正前の許可規定第10条の第1項によると、申告したまたは許可を受けた中国での投資または技術協力の譲渡について、台湾の譲渡人は譲渡後2ヶ月以内に投資審議会に届出なければならない。その技術協力の定義は、許可規定第5条に規定されており、2020年の改正時に専門技術または知的財産権の「直接」の譲渡または実施許諾という定義から、専門技術または知的財産権の「直接・間接」の譲渡または実施許諾へとさらに制限された。

今回の法改正において、投資審議会は許可規定第5条の第2項を追加して、法改正前の技術協力の定義を拡大し、コンピュータープログラム著作権の譲渡・実施許諾のほかに、主務官庁が招集した基幹技術委員会の審査・承認を受け投資審議会が許可した投資の中国人民・法人への株式譲渡も技術協力の一形態とみなすこととした。すなわち、このような投資の株式譲渡は、特に半導体及びディスプレイ分野で、技術協力とみなされれば、台湾の譲渡人は法改正前の第10条の第1項による事後的な申告ではなく、許可規定第7条の第1項に従って投資委員会の事前許可を受ける必要がある。その立法目的は、専門技術または知的財産権の移転または実施許諾に等しい、株式譲渡による基幹技術の実質的な中国による使用という結果を回避することにある。

1980年代後半から、台湾企業は中国での投資を始め、多くの工場を設立した。海峡両岸関係の緊張が高まる中、投資審議会はハイテク業界における台湾の競争力を維持するため、基幹技術の流出リスクをさらに抑制することを決定した。この許可規則に加え、2022年5月20日、台湾の立法院は、「経済スパイ罪」と「国家の基幹技術の営業秘密の域外使用罪」を創設する国家安全法の改正も可決した。したがって、関係投資家は、このような専門技術の将来的な株式譲渡に伴う事前審査要件およびその潜在的なリスクに注意する必要がある。