中国国家知識産権局は2017年3月1日に「特許審査指南」改正の決定を公表した。改正後の「審査指南」は2017年4月1日より実施される。2016年10月28日に公表された意見募集稿に比べると、第五部分は二箇所だけ略調整して、第四部分第三章第4.6.2節は表現の方を変えたということで、実質的な内容に対する調整がほぼ見られない。以下、改正部分を解説する。

一、特許権を付与しない主題における改正

「特許審査指南」第二部分第一章「特許権を付与しない出願」第4.2節(2)「知的活動の法則と方法の内容を含むとともに、技術的特徴も含む請求項」に、新しい例を一つ追加して、「ビジネスモデルの請求項に関し、ビジネス規則及び方法の内容を含み、かつ更に技術的特徴を含む場合、特許法第二十五条の規定に基づき特許権取得の可能性を排除すべきではない」ということを明確に規定した。当該改正は、中国国家知識産権局が時代の流れに応じて、ビジネスモデルイノベーションにおける技術方案を積極的に励まして、適宜に保護しようとする態度を反映している。

二、コンピュータプログラムに係わる発明における改正

「審査指南」第二部分第九章「コンピュータプログラムに係わる発明特許出願の審査に関する若干の規定」について、下記の幾つかの点で改正した。1.同章第2節に、「コンピュータプログラム自体」は、「コンピュータプログラムに係わる発明」と相違していることを明確にした上で、「媒質+コンピュータプログラム工程」の方式を採用する請求項の記載を認めた。

2.同章第5.2節に、技術の本質を明確に反映して、[機能的クレーム]という表現と区別するために、「プログラム」は装置請求項の組成部分となることを明確したとともに、同節第2段落の「機能モジュール」を「プログラムモジュール」と表現を改めた。

3.同章第3節第(3)項に、【例9】は実務上指導的意義がないため削除した。当該改正は、コンピュータプログラムに係わる特許の保護について、中国国家知識産権局の更なる包容的な態度を反映した。

三、補足実験データの提出における改正

「特許審査指南」第二部分第十章第3節「化学方法発明の充分な開示」について、出願日以降に補足提出された実験データに関する規定を整えた。現行指南で規定された「出願日以降に補足提出された実施例や実験データは考慮しないものとする」は廃止されて、「出願日以降に補足提出された実験データに関し、審査官は審査しなければならない」と明確に規定されている。ただし、「補足実験データが証明する技術効果は、当業者が特許出願公開の内容から得られるものでなければならない」と明確にした。当該改正は、補足提出された実験データに対する中国国家知識産権局の更なる柔軟な態度を反映したが、審査実務上の「先願主義」の支配地位を明示した。

四、無効宣告における改正

「特許審査指南」第四部分第三章「無効宣告請求の審査」の規定について、下記の幾つかの点で改正した。

1.特許後の補正方式の制限を緩めた。請求項の削除と技術方案の削除に加えて、請求項中にその他の請求項中に記載された一または複数の技術的特徴を補充し、保護範囲を縮小すること(即ち、請求項の更なる限定)を認めながら、請求項の明らかな誤りの補正(即ち、明らかな誤りの補正)を認めた。

2.特許権者が削除以外の方式で請求項の補正を行った場合、請求人には、更なる無効理由の追加が認められた。ただし、「補正内容」に対して行うべきである。

3.手続き上に不合理な延長を避けるために、現行の「特許権者が合併の方法で補正した請求項」に対して、請求人が指定した期限までに証拠の追加を認める規定を削除した。

総じて、無効宣告の改正は特許権者に有利である。

五、審査書類の公開における改正

今回の改正は、審査書類の公開についての制限を緩めた。「審査指南」第五部分第四章第5.2節に、以下の変更が行われた。

1.「公開済みで、まだ特許権の査定公告が成されていない発明特許出願の包袋について」、実体出願手続きまでの書類は閲覧、複製してよいという現行の指南で規定された内容に加えて、「実体審査過程中に出願人に通知した通知書、検索報告及び決定書」を閲覧、複製してよいという規定を追加した。

2.特許権の査定公告が成された特許出願の包袋について閲覧、複製できる内容に、優先権書類、特許復審委員会が発行した通知書、検索報告と決定書や、関連当事者の通知書に対する応答意見(意見募集稿で提出された「応答意見の正文」に限らない)」となった。当該改正で、公衆が審査書類をより便利に獲得できるようになり、特許審査過程の監督面も有利になる。

六、中止手続きにおける改正

2013年1月1日より実行された「民事訴訟法」に応じて、「特許審査指南」第五部分第七章第7節に、中止期限の規定について改正した。人民法院が特許局に財産の保全を執行するため手続きを中止するよう要求する場合、中止の期限は、現行の固定期限を廃止して、一律に、民事裁定書及び協力執行通知書に明記された財産保全期限により計算する。

以上で、今回の「特許審査指南」の改正は、中国国家知識産権局が時代の流れに応じて、経済の革新に寄与する態度を反映している。