米国商務省産業安全保障局(BIS)は、今後数週間以内に、米国の「国家の安全保障において重要 (essential to the national security)」な「先端技術 (emerging technologies)」を定義するとともに、該当する技術をリストアップする新たな規制案を発表すると予想されている。当該新規制は、諸外国への先端技術の輸出にライセンス(輸出許可)取得を義務付けるものである。2018年輸出管理法(Export Controls Act of 2018)のセクション1758は今年8月に施行となり、米国からの「先端かつ基盤的技術(emerging and foundational technologies)」の輸出に関して、BISによる規制開始を規定している。BISは、まず最初に「先端技術」の定義とそれに関するルールを提案する考えである。

BISによる新規制は、現行の米国輸出規制の対象範囲を大幅に拡大する可能性がある。現在、BISにおいては、「軍事転用可能な民生品(dual-use items)」に分類されるか、あるいは規制品目リスト(Commerce Control List)に記載されている特定の製品の開発、生産、使用、運転、メンテナンス、修理、整備、および改修に「不可欠な (necessary)」技術に限って、規制を実施している。また、BISによるこうした機密情報に対する規制とは別に、米国国務省防衛取引管理局(DDTC)でも、米国軍需品リスト(U.S. Munition List)の下で「防衛物品(defense articles)」と分類される特定の製品の同様の側面(開発、生産、使用等)に「不可欠な」技術に限り、別途規制を行っている。しかしながら、このような現行規制上の対象技術とは対照的に、近々BISが規制する予定の「先端かつ基盤的技術」は、既存の製品に関する技術情報だけにとどまらない可能性がある。

ハイテク企業の多くは、商業的利用と軍事的利用の両方が十分に可能な先進的製品を製造しており、これら製品はBISの管轄下で「軍事転用可能な民生品」と位置づけられる。従って、多数のハイテク企業は、すでに現行の米国輸出規制への遵守を義務付けられている状態にある。2018年輸出管理法は、製品・技術を米国外に物理的に輸出する場合、および所在地を問わない外国人に対して関連技術情報を移転する場合の双方において、ライセンス取得を義務付ける製品・技術の対象範囲を今以上に広げるものである。つまり、米国製品の米国外への実質的な輸出はもちろん、製品に関連する技術が米国製とされる場合の技術移転(米国内外を問わず)についても、より幅広く規制されることになり、その結果、企業における技術プロジェクトの人員選定・配置にさらなる制限をもたらすことになるかもしれない。

米国の輸出規制を遵守しない場合の罰則は、極めて高額で深刻なものとなり得る。各企業のコンプライアンス担当者においては、今後数週間または数ヵ月以内にBIS が発表する新規制案に十分な注意を払っていただきたいと思う。