【出典:中国知識産権報】

ここ数年、国家知識産権局は、行政復議(行政不服審査)関連部署の規定を完備し、行政復議事件の審理メカニズムを整備し、法律に基づいた知的財産権紛争解決のために多く経験を蓄積してきた。したがって、これより国家知識産権局は特許行政紛争の解決に取り掛かる。

一、複数の措置を実施し、行政復議ルートを構築

1991年に、中国特許局(1998年、国家知識産権局に名称変更)は、特許行政復議制度を構築し、『中華人民共和国特許局行政復議規程(試行)』(以下、試行『規程』と称す)を公布し、「行政復議処」を設置した。1995年に、試行『規程』を改正して、『中華人民共和国特許局行政復議規程』を公布した。2002年に国家知識産権局は、『国家知識産権局行政復議規程』(以下、『規程』と称す)を制定公布して、その後何回か改正を行った。ここ数年、国家知識産権局は、『行政復議案件審理規範』、『法律事務処行政復議案件処理ガイドライン』を制定して、『行政訴訟事件処理規範』など内部の作業規範文書を起草した。

このほか、国家知識産権局は、行政復議事件審理メカニズムの整備を強化し、行政復議案件の受理範囲、審理手続きなどについて明確に規定した。『規程』には、行政復議機関は行政復議申請書を受け取った日から5日以内に、状況に応じて処理をしなければならないと記載されている。

2016年、国家知識産権局は『行政復議典型案例集』を編纂した。この案例集は、行政復議事件の統一した処理に対する指導的役割を持ち、これによって、行政復議の専門性、透明性及び信頼性が強化された。

2016年、国家知識産権局は6回の集中勉強会を開催するとともに、専門能力をさらに向上させるために、行政復議の担当職員1名を北京知識産権法院の交流勉強に派遣した。

二、手続きが簡単で、紛争解決において優位性がある

行政復議は行政訴訟を提起するための必須ステップではない。中国行政訴訟法第44条には、「国家知識産権局のなした人民法院の受理範囲に属する具体的な行政行為に対し不服がある場合、公民、法人又はその他の組織は、まず国家知識産権局に復議を申請することができる。復議の結果に不服がある場合は、更に人民法院に訴訟を提起することができ、又は直接人民法院に訴訟を提起することもできる」と規定されている。

行政復議は行政機関内部の再審手続きである。手続きは簡単で、担当者が特許の法律知識及び審査の経験が豊富である場合、もとの処分を下した行政部門と効果的に協調やコミュニケーションを図ることができ、問題解決に役に立ち、しかも費用がかからない。そのため、国家知識産権局は当事者に法院に直接訴訟を提起するのではなく、まずは積極的に行政復議の手続きを取ることを推奨している。

行政訴訟に比べて、国家知識産権局に行政復議を提起するメリットは下記のとおりである。

1.高効率:『規程』には、「国家知識産権局は、行政復議申請書を受け取ってから5日以内に、状況に応じて受理するかどうかを決定しなければならない。行政復議申請を受理した日から60日以内に行政復議の決定をしなければならない。状況が複雑で、定められた期間内に行政復議の決定を下すことができない案件について、その期限の延長は最長30日を超えてはならない」と規定されている。

2.より専門的:国家知識産権局の行政復議の業務は、審査業務管理部の法律事務処が担当する。特許審査業務の政策方針及び最新動向を適時に把握しやすいと同時に、その部門の職員は全員技術と法律両方の知識を有し、国家司法試験に合格した経験豊富な特許審査官であるため、行政復議業務の専門性が確保される。

三、成果が顕著で、効果的に行政紛争を解決する

国家知識産権局が受理した行政復議の案件数を見ると、2016年は2015年に比べて激増して、165件に達し、129%の増加となった。受理数と結審数も、なされた行政行為の数を明らかに超え、それぞれ163%及び115%の増加となった。このことは、行政の相手方が行政復議の紛争解決の役割を益々重視し、行政復議を自身の合法的権益を守る主要な手段の一つとして捉えていることを示している。行政復議の目的は、行政の相手方に救済ルートを提供するだけではなく、行政機関にも違法又は不当な行政行為を是正する機会を与えることにある。

統計によると、2016年国家知識産権局が下した行政行為維持決定は74件で、行政復議終了は34件で、行政行為の維持率は63%である。大半の行政復議の案件終了は、行政復議の決定がなされる前に、行政行為を行ったもとの部門が、調査の結果、行政復議申請者の申請理由が成立し、もとの行政行為に確かに瑕疵があることを発見して、自己治癒手続きを直ちに開始し、行政復議申請者の問題が適時・適切に解決されたことで、申請者が自ら行政復議の申請を取り下げて、行政復議が終了したものである。

国家知識産権局の次の目標は、『法治政府建設実施綱要(2015-2020年)』を実行することである。内部の審理及び監督の規範の完備化、公聴会の審理力の向上、行政復議人員の研修・育成の強化、行政復議人員の任命条件及び交流メカニズムの整備などを実施して、行政復議案件の処理品質を高める。