Espinoza v. Zuckerberg, 2015 WL 6516691 (Del. Ch. Oct. 28, 2015)において、デラウェア州衡平法裁判所 は、利害関係を有する取締役が承認した取引を、利害関係のない支配株主が承認するにあたっては、 取引についての同意を非正式に明確化しただけでは不十分であり、株主総会における投票又は書面決 議が必要である、と判示した。本件は、デラウェア州法により要求される会社手続の重要性を強調す るものである。

フェイスブック社の取締役会は、外部取締役(当該取締役会を構成する8人のうち6人がこれに該当し ていた)の報酬につき承認した。フェイスブック社の株主であるアーネスト・エスピノーザ氏は、取 締役会による当該承認は自己取引に該当し、比較的緩やかなビジネス・ジャッジメントの基準ではな く、完全な公平性の基準により裁判所が判断する必要のあるものである、と主張して、株主代表訴訟 を提起した。当該訴訟が提起された後、フェイスブック社の投票権のうち61.6%を保有するマーク・ ザッカーバーグ氏は、供述録取(デポジション)及び宣誓供述書により、取締役による承認を承認し ようとした。

デラウェア州法では、十分な情報を与えられた利害関係のない支配株主が自己取引を承認する場合、 完全な公平性の基準ではなく、ビジネス・ジャッジメントの基準が適用される。そして、デラウェア 州会社法第228条において、株主によるこのような承認は、株主総会における投票又は書面決議の実施 により実現され得る、とされている。第228条では、書面決議での同意による承認が認められているも のの、同条(e)項では、そのような書面決議が行われた後、同意しなかった株主に対する通知を直ちに 行わなければならない、とされている。ザッカーバーグ氏は、非正式な承認も有効であるかのように 主張し、宣誓供述書及び供述録取により承認を行ったと主張した。

しかし、デラウェア州衡平法裁判所はこれに同意しなかった。同裁判所は、自己取引を有効なものと するためには、第228条の要件は厳格に満たされなければならない、と判示した。そのため、ザッカー バーグ氏は、取締役会で投票を行うか、又は、書面決議を実施する必要があった、とされた。同裁判 所は、第228条の要件を無視することにより、同社のフェイスブックページで「いいね!」をクリック すること等も非正式な承認として認められることになりかねない、との懸念を示した。また、同裁判 所は、正式な手続により、同意しなかった株主に対する透明性も促進され、会社及び株主が保護され る、という点を強調した。

Espinoza v. Zuckerberg事件は、支配株主はデラウェア州法における正式な手続に従わなければならない ことを強調したものといえる。(裁判所が指摘するように)本件のような株主による提訴を受けるこ とよりも、そのような正式な手続を実践するほうがはるかに費用も安く済み、正式な手続を取ること は投資に値する。