中東欧

中東欧8ヵ国(ポーランド、チェコ、スロバキア、ハンガリー、ブルガリア、ルーマニア、ベラルーシ、ウクライナ)の知的財産制度は、既に『知的所有権の貿易関連の側面に関する協定』(TRIPs協定)の要求を満たしており、これら8ヵ国のうちでもポーランド、チェコ、スロバキア、ハンガリー、ブルガリア、ルーマニアなどは、既に欧州連合(EU)加盟も果たしている。

ポーランドでは、警察と税関の内部に特許等の知的財産権に関する取締サービスが設けられているが、知的財産権侵害の水際取締措置が重視されている。税関当局には知的財産権専門の部門が設置されて、周辺諸国と連携して3ヵ月ごとに合同検査が実施されており、税関当局により自発的に又は権利者の申立てに応じて侵害貨物が摘発されている。

チェコでは、税関における水際措置、消費者権利の保護、刑事的取締りや民事手続がともに効果を上げられている。

ハンガリーでは、税関が最も効果的な知的財産権侵害の取締手段となっている。知的財産権に関するすべての単行法で税関による水際救済措置が設けられている。

ブルガリアでは、警察と税関の内部に特許等の知的財産権に関する取締サービスが設けられている。

ルーマニアでは、税関による水際措置が比較的有効な措置となっている。税関では、登録が申請されたすべての知的財産権に関する製品が保護される。権利者は、税関に措置を申し立てた後で必ず民事手続又は刑事手続を開始しなければならないが、要件に適合するときは、税関によって摘発された貨物の廃棄もされる。

ベラルーシは、ロシア、カザフスタンと関税同盟を締結しており、「知的財産権単一登録届出システム」を採用している。

東南アジア

立法面から見ると、東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国のうち、シンガポールなどの国では特許法、商標法及び著作権法が制定、施行され、フィリピンなどの国では総合的な知的財産法典が制定されているが、一部には、知的財産法が民法典の中に取り込まれている国もある。ミャンマーでは商標法が制定されていないが、現在、世界知的所有権機関(WIPO)などの協力で、ミャンマーでも新たに商標法の導入が試みられているところである。

特許法の立法形態から見ると、シンガポールでは、発明のみが保護されて、実用新案は保護されず、意匠は別の法律により保護される。フィリピンとベトナムでは、特許権保護の原則が統一的な知的財産法典に定められ、発明、実用新案及び意匠が保護される。インドネシアとマレーシアの特許法では、発明と実用新案のみが保護対象とされ、意匠は別個の法律により保護される。カンボジアとラオスの特許法では、発明、実用新案及び意匠が保護対象とされている。ブルネイには、かつては独自の特許登録制度がなく、英国、マレーシア又はシンガポールで登録された特許の拡張登録がされていた。

シンガポール特許法が最初に公布されたのは1994年で、1995年5月23日に発効しているが、2002年、2005年、2008年、2012年にそれぞれ改正がされている。2014年2月11日にシンガポール特許法はまた改正されているが、2014年4月1日からシンガポール知的財産庁は、WIPO仲裁調停センターの協力で、その受理する特許紛争のために新しい解決方法を提供している。

マレーシアでは、特許権者は、他人の侵害行為、又は急迫不正の侵害行為、すなわち、他人が行うおそれのある侵害行為について訴えを提起する権利を有する。

タイでは、特許を所管する国家特許委員会が設けられているが、委員会の主席は商標部副部長が務め、資格のある12名以内の委員会は、タイの科学、工学、工業などの分野から内閣によって任命される。

ベトナムでは、各級法院、調査局、市場管理事務局、税関事務局、警察機関及び人民委員会に知的財産権侵害行為を処理する責任があるとされている。

ロシア

2014年3月12日、ロシア大統領が連邦法第35号に署名して、『ロシア連邦民法典』第4部に多くの重大な改正が行われた。これは、ロシア連邦の領域内における特許権、実用新案、工業的意匠、ノウハウ、商標、ライセンス及び侵害責任など多くの種類を含む知的財産権に適用される。

ロシア連邦知的財産庁は、ロシアの知的財産行政主務官庁として、ロシア国内における特許出願の審査と知的財産権のライセンス、譲渡、抵当契約登録などの具体的な職務を所管している。また、その下部機関である特許紛争評議会は、知的財産紛争に関する行政審判手続も所管している。2004年の組織再編後の連邦知的財産・特許・商標庁には、財務管理局、国際協力・情報保障局、知的財産法的保護管理局、知的活動成果利用検査・監督局の4つの局が置かれ、さらに、連邦工業所有権機関、特許紛争評議会、ロシア国家知的財産教育研究所の3つの付属機関が設けられている。

ロシア連邦内務省は、ロシア政府の中でも強力な権限を有する部門の一つで、中国の公安部に相当し、ロシア国内の治安維持を主な任務としている。ロシア連邦内務省は、1999年に、知的財産犯罪を撲滅するための専門部門を設置しており、連邦を構成する各共和国の内務部門にも類似の機関が設置されている。この近年でロシア連邦内務省は、数回に渡って取締活動を実施し、市場における模倣品、海賊版、その他の知的財産権侵害行為を取り締まっている。

インド

インドでは、1990年代から知的財産法の大幅な改正が開始されている。国際基準に合わせるため、インドでは、2005年の特許法改正でコンピュータソフトウェアと医薬品製品を特許権で保護するという条項が新設され、インド国内外からの投資を強力に刺激し惹きつけている。インドでは、知的財産の保護が「必要に応じて保護する」という原則に則って、知的財産制度が政策的な手段とされており、自国の必要と実際の利用に即したものとなっている。また、インドでは、知的財産に関連する他の法制度の基礎としての役割も重視されていて、例えば、専ら情報産業のために『情報技術法』が制定されて、法律の形でそれが保護されており、情報産業が重視されていることが示されている。このほか、インドでは、サービス貿易立法も重視されていて、従来から優位である情報技術、バイオテクノロジーから始まって電信などの多くのサービス貿易の分野に拡大されており、現在では、インドは、電信分野において最も人気のある投資先となっている。

インドにおける知的財産保護は、立法により保障され、司法、行政及び民間の3者の積極的な協働と緊密な協力によって独自の知的財産保護体制が構築されている。法律が不断に更新、改善され、国際条約にも適合するようになっていることは、インドが知的財産保護を実現する上での主な特徴となっている。インドでは、知的財産権の権利者が侵害にあったときは、民事的救済、刑事的救済及び行政的救済の計3通りの救済手段から選択することができる。

インド政府は、『輸入貨物に関する知的財産権実施規則』を通告、公布して、輸入される貨物により知的財産権、特に商標権、特許権、著作権、意匠権などが侵害されることを防止している。知的財産権の権利者は、税関に監視公告を申し立てることで侵害商品がインドに入ってくることを効果的に防止することができるが、インドで税関に監視公告を申し立てるには、各知的財産権ごとにその監視公告の申立てを個別に提出しなければならない。監視公告の申立ては、電子的方法で提出することができ、関係税関税務局に提出することもできるが、2,000インドルピー(約198人民元相当)の手数料が徴収される。