FDAの規制により、ジェネリック医薬品は、ブランド 医薬品と化学的に同等であり、同じ有効成分を有し、 かつ、生物学的に同等であることが求められる。しか し、ブランド医薬品製造業者が製薬のラベルの正確性 につき責任を有する一方、ジェネリック医薬品製造業 者は、当該ジェネリック医薬品が依拠するブランド医 薬品(RLD)のラベルと同一の警告ラベルを貼付する 責任を負っている。新医薬品の安全性に関する問題 は、公衆に販売されるまでは発見できず、ブランド医 薬品が市場からなくなった後であっても発見されない こともあるため、「同一性」の要件により却って消費 者の健康が危険にさらされる、と主張する人もいる。 しかし、米国の規制及び法は、技術革新に完全に追い ついていないのが現状である。

連邦最高裁判所、安全性に関する不適切なラベルに基 づくジェネリック医薬品製造業者に対する州法に基づ く請求を退ける

連邦法による「同一性」の要件にもかかわらず、消費 者は、ジェネリック医薬品の製造業者を州法の請求原 因に基づき提訴してきた。しかし、連邦最高裁判所 は、連邦法が州法に優先する、と判示し た。2011年、PLIVA v. Mensing において、連邦最高裁判 所は、FDA(連邦法)によるジェネリック医薬品のラ ベル変更禁止要請は、警告不備に関する州法に優先す る、と判示した。連邦最高裁判所は、(ブランド医薬 品製造業者に対する同様の訴訟は認めつつ)ジェネ リック医薬品製造業者に対する州法に基づく請求を禁 止することには「あまり理由がない」と認めつつも、 連邦最高裁判所の役割は「議会が決定した制定法ス キームが一般的でない又は奇妙であるか否かを判断す ること」ではない、と付け加えた。PLIVA判決の2年 後、連邦最高裁判所は、ジェネリック医薬品の不適切 なラベルに関する別の訴訟においても判断を出した。 連邦最高裁判所は、原告が、ジェネリック医薬品を利 用したことにより甚大な被害を被ったと主張していた ところ、これは「痛ましく深い同情を感じるものであ る」としつつも、「ミューチュアル社が、スリンダク のラベルにおける警告をより強めなければならないと の州法上の義務と、スリンダクのレベルを変更しては ならないとの連邦法上の義務の双方に従うことは、不 可能である」と判示して、州法に基づく請求を認め て2100万ドルの損害賠償を認めた陪審評決を覆した。

ジェネリック医薬品製造業者とブランド医薬品製造業 者の間に「等価性を保とう」とするFDAの取り組みに は反対が多く、遅延している

2013年11月、連邦最高裁判所によるPLIVA判決及び Bartlett判決に主に対応する形で、FDAは、ジェネリッ ク医薬品製造業者も、ブランド医薬品製造業者と同 様、ジェネリック医薬品のラベルを変更するためには 「変更届」(CBE-0)を提出することを求めることを 提案した。これは、変更後のラベルがRLDのラベルと 異なるか否かを問わず、FDAがラベルの変更について 検討する前の段階で、安全性に関する新たな情報を反 映・配布するものである。

FDAの提案には、直ちに反応が寄せられた。ジェネ リック医薬品のラベルは「ブランド医薬品のラベルと 同一」でなければならないとの法の要請に矛盾するも のである、と主張する人もいる。また、ジェネリック 医薬品の警告ラベルが、生物学的に同一であるブラン ド医薬品のものと実質的に異なることになり得る、と 主張する人もいる。さらに、ジェネリック製薬協会 (GPHA)は、FDAの提案により、消費者によるジェ ネリック医薬品の購入が40億ドル増加し、製造物責任 訴訟が増加することになり得る、との見解を述べてい る。FDAは、新規則の確定を2015年6月まで延期し た。

消費者への影響 このような状況のもと、ジェネリック

医薬品の安全性

に関するラベルが不適切であったことにより被害を 被った消費者には、どのような対応が考えられるか。

  • 第1に、連邦法は、ジェネリック医薬品製造業者に対 し、ブランド医薬品製造業者のラベルを模倣するよ う求めていることから、消費者のジェネリック医薬 品製造業者に対する償還請求は限定的なものであ る。
  • 第2に、ジェネリック医薬品を利用した消費者による ブランド医薬品製造業者に対する訴訟は、成功する こともあるが、稀である。
  • 第3に、ジェネリック医薬品のラベルに関するFDAが 提案する新規則は、実質的及び費用に関する批判を 受けている。そのため、消費者保護のための規制は 依然として困難かつ不確実なままである。