2016年3月28日、マサシューセッツ州連邦地方裁判所は、サン・キャピタル社が買収した2つのプライ ベート・エクイティ・ファンド(「サン・ファンド社」)は、サン・ファンド社のポートフォリオ会 社のひとつであるスコット・ブラス社に関連して、それぞれが有していたスコット・ブラス社の株式 が、従業員退職所得保障法(「ERISA法」)における責任を負うのに十分な程度でなかったものの、 スコット・ブラス社による多数従業員年金からの退会について連帯責任を負う、と判示した。

スコット・ブラス社が倒産して、多数従業員の年金プランからの退会の義務を履行しなかった際、当 該年金プランは、(1)サン・ファンド社は「取引又は事業」に関与しており、かつ、(2)スコット・ブラ ス社とともにERISA法の適用を受ける、との理論に基づき、サン・ファンド社も連帯責任を負うと主 張して、同社を提訴した。伝統的に、プライベート・エクイティ・ファンドは、自社のポートフォリ オ会社の年金資金調達に責任を負わない。しかし、第1巡回区控訴裁判所が最近採用した「投資プラ ス」の基準によると、受動的な投資であっても、他の追加的な活動と合わせ鑑みて、ERISA法の適用 を受ける(いわゆる「支配グループ」の)取引又は事業のレベルに該当し得る。第1巡回区控訴裁判所 は、どのような追加的な活動が「プラス」部分に該当するかについての具体的な基準は提示しなかっ たが、サン・ファンド社に関する従前の控訴において、同控訴裁判所は、スコット・ブラス社のため に行われた管理サービスと相殺されたマネージメント・フィーを受領していた場合には、これは、純 粋な受動的投資家が受け取るべきものを超えた経済的便益に該当する、と強調していた。

第1巡回区控訴裁判所による判断の後、連邦地方裁判所は、サン・ファンド社によるスコット・ブラス 社の管理と合わせ鑑みると、マネージメント・フィーの相殺は、第1巡回区控訴裁判所による「投資プ ラス」の基準において、サン・ファンド社が取引又は事業に従事していたと判断するのに十分であ る、と判示した。次に、連邦地方裁判所は、支配グループの検討を行った。そして、組織構造等の会 社としての形式に注目する「伝統的な」支配グループの検討ではなく、1980年にERISA法を改正した 多数従業員年金プラン修正法により、「そのような形式を無視することができ、かつ、特定の場面で はそのような無視が必須であり」、よって、サン・ファンド社はスコット・ブラス社の投資の目的 でLLCを形成し、サン・ファンド社は異なるパートナーシップであることが関連文書において記載さ れていた、との事実にかかわらず、スコット・ブラス社に対するサン・ファンド社の投資が「事実上 のパートナーシップ」と見做されるか否かが問題となる、とした。裁判所は、多数の要素(サン・ ファンド社による同一組織構造を通じての他の5社に対する共同投資、及び、共同投資以前に関与して いた共同での活動等)を考慮した後、スコット・ブラス社に対するサン・ファンド社の投資は、事実 上のパートナーシップに該当するものであり、その投資はERISA法の支配グループの検討にあたって は合算されるものである、と判断した。よって、裁判所は、サン・ファンド社は、スコット・ブラス 社による年金からの退会について連帯責任を負う、と判示した。

Sun Capital判断は控訴され、現在第1巡回区控訴裁判所に係属している。最終判断が出されるまでは、 米国のプライベート・エクイティ・ファンドは、大きな年金責任を有するポートフォリオ会社の株式 を、関連ファンドを通じて合計で80%以上保有する場合には、各ファンドは少数株式しか有さないよう な場合であっても、特にマネージメント・フィーの相殺が関与している場合には注意が必要である。