2015年5月14日、デラウェア州最高裁判所は、免責条項 で保護される取締役に対して損害賠償のみを認める原 告が、取締役が提起した却下申立てにより請求が却下 されることを回避するためには、原因となる取引の検  討に利用される基準にかかわらず、免責されない請求 を主張しなければならない、と判示した。In  re Cornerstone Therapeutics Inc. Stockholder Litigation, Nos. 564, 2014 & 706, 2014 (Del. May 14, 2015)  今回の裁判所の判断 により、In re Cornerstone Therapeutics Inc. Stockholder Litigation, C.A. No. 8922-VCG (Del. Ch. Sep. 9, 2014) 及びIn re Zhongpin Inc. Stockholders Litigation, C.A. No. 7393-VCN (Del. Ch. Nov. 26, 2014)が覆されて2件の中間控訴が解決 し、利益相反取引に基づく株主訴訟に直面した独立取 締役に安堵を与えた。

Cornerstone事件とZhongpin  事件は、いずれも支配株主 の合併について争われたもので、損害賠償が求められ たものであった。いずれにおいても、被告となった取 締役は、デラウェア州法(8 Del. C. § 102(b)(7))を採用 した免責条項により善管注意義務違反に基づく責任を 負わないものであった。両事件の取締役会は、特別委 員会を設置し、市場価格を超える相当額のプレミアム を確保するため交渉したが、当該取引においてビジネ ス・ジャッジメントのルールによる保護を受けるため のKahn v. M&F Worldwideに記載された手続1を踏むもの ではなく、そのため、当該取引については完全な公平 性の基準で判断されるものであった。各事件の取締役 は、免責とされない請求について原告は主張していな いとして、請求却下を申し立てた。デラウェア州衡平 法裁判所は、デラウェア州最高裁判所の不明確な判例 を解釈し、Cornerstone事件とZhongpin  事件において却 下申立てを退けたが、デラウェア州最高裁判所に中間 控訴することを勧告した。

デラウェア州最高裁判所は、デラウェア州衡平法裁判 所の判断を覆し、原告は、免責条項で保護される取締 役が提起した却下申立てにより請求却下を受けないた めには、デラウェア州法で免責とされ得ない請求を立 証する事実を主張しなければならない、と判示した。 すなわち、原告は、「取締役が、株主の利益ではなく 自身の利益を優先し、利害関係を有する当事者の利益 を優先する者(取締役が彼らから独立して行動してい るとは推定し得ない者)のために行動した、又は、悪 意により行動した、との合理的な推定を立証する事 実」を主張しなければならない、とされた。完全な公 平性の基準により、利害関係を有する取締役が忠実で ないことが推定されるが、独立取締役についてはその ような推定は働かない。

裁判所は、このように解釈しないと、各取締役は個別 に行動することができ善意と推定される、とのデラ ウェア州法の基本原則と矛盾するだけではなく、株主 にも悪影響が生じる、と協調した。独立取締役は、有 責となることへの恐れから、支配株主取引において株 主を代理して交渉しかつ特別委員会の委員を務めるこ とを回避するようになる可能性がある。よって、この 判断は、交渉及び売却過程における独立取締役の重要 性を再確認し、取締役に対し有責条項で保護されると の安堵を与えるものである。