最近の事件 (In re  KKR Financial Holdings LLC Shareholder  Litigation)において、デラウェア州衡平法 裁判所は、非過半数株主に対して信認義務を軽々しく 課すべきではないという判断を再確認した。Consol.

C.A. No.9210-CB (Del. Ch. October 14, 2014) KKR社によ るKKR    ファイナンス・ホールディングス社(以下

「ホールディングス社」)買収を争う株主らによって 提起された訴訟において、裁判所は、(1)  KKR社が支 配株主としての忠実義務に違反した、(2)    ホールディ ングス社の取締役会は、合併に同意したことで受託者 の信認義務に違反した、及び、 (3) KKR社はホール ディングス社の取締役会の上記違反行為を幇助した、 という株主らの主張を退けた。

KKR社は、2004年に、ホールディングス社の前身を設 立した。同社のマネージメン契約の条件による と、KKR社の関連会社がホールディングス社の日常業 務を運営することになっていた。KKR社自体は、ホー ルディングス社株式の1%以下しか保有していなかっ た。2013年に、KKR社がホールディングス社を買収す る旨の合併契約について交渉が行われ、契約が締結さ れた。当該合併は、利害関係を有しないホールディン グ社の株主の過半数によって承認された。

ホールディングス社の株主は、上記取引を差し止める ために訴えを提起した。訴状では、主に同社のマネー ジメント契約に基づいて、KKR社は支配株主であり他 の株主に対して信認義務を負う、との主張がなされ た。デラウェア州衡平法裁判所は、かかる主張を認め ず、Kahn v. Lynch Communications Systemsにおけるデ ラウェア州最高裁判所の判断を再確認した。このデラ ウェア州最高裁判所の判断は、株主が過半数の株式を 有していない場合に「デラウェア州法下で株主がコン トロールを及ぼしていたかを判断するために問わなけ ればならない点」は、合併を承認した時点において、 株主が、当該会社の取締役会に対して、優位な影響力 を有していたか、又は、コントロールを及ぼしていた か否かによる、というものである。デラウェア州衡平 法裁判所は、KKR社の関連会社がホールディングス社 の運営と投資戦略を管理していたものの、KKR社が、 ホールディングス社の取締役を指名する権利を有して いたことを示す証拠はなく、また、KKR社が、ホール ディングス社の取締役会の活動に対して命令したり拒 否権を発動したりできたことを示す証拠もない、と判 断した。

さらに、裁判所は、ホールディングス社の取締役会が 注意義務及び忠実義務といった受託者の信認義務に違 反した、という株主らの主張も退けた。裁判所は、原 告らが、ホールディング社の取締役の過半数が本件取 引について利害関係を有していたということを示すた めの十分な事実を主張しなかったとして、経営判断不 介入の法理(ビジネス・ジャッジメント・ルール)を 適用し、取締役会の判断は保護される、と判断した。 また、裁判所は、仮に原告らが取締役会の独立性につ いて争うことに成功したとしても、利害関係を有しな い株主の過半数が、十分に情報提供を受けた上で当該 取引を承認しており、支配株主がこれに関わっていな いことから、やはり同ルールの適用があると判断し た。

本件は、デラウェア州法に基づき、株主によってどの ようなコントロールが行われていた場合に当該支配株 主に対して義務が課されることになるのか(すなわ ち、当該株主が日常業務の運営管理を行っていたかで はなく、当該株主が取締役会における投票をコント ロールする力を有していたか又は事実上取締役会を支 配する力を有していたといえるか)を明らかにしたも のである。また、ブシャール裁判官は、ホールディン グス社株主の「本当の不満」は、ホールディングス社 の構造及び契約による取り決めが制限的な性質なもの であることによる、という点を指摘し、裁判所が、株 主のもつあらゆる不満や悩み、苦痛に対応するための 万能薬として支配株主に対して義務を課すものではな い、ということを示したといえる。