明けましておめでとうございます。2016 年も皆様のご繁栄をお祈り申し上げま す。

年末年始は、飲み食いと剣道に加え、 ある食品商社の競売を無事成功させる ことに明け暮れた。弊社RPCでM& Aを手掛ける同僚たちと話している と、M&A市場は活気に満ち、この季 節にしては進行中の案件数も上々のよ うだ。私の担当する日本企業も多くが 活発に動いている。新年の好調な滑り 出しが、このまま今年度の良い締めく くりにつながることを期待したい。

リサイクル、再利用、ごみ減らし」 は2000年代以降の合言葉だが、今年も 注目のキーワードとなりそうだ。新た にエコブームに乗ろうとしているのが インド。同国は再生可能エネルギー開 発に力を入れており、太陽光発電所の 設置容量を現在の500万キロワットか ら、2022年までに1億キロワットに拡 大する目標を掲げる。実現すれば、イ ンドの太陽光発電容量はドイツや中国 の2倍以上になる。

インドに対しては、昨年2月以降に東 南アジアや欧州から1,000億ドル相当の 投資案件が発表されており、同国への 期待と関心の高さがうかがえる。イン ドでは、これまで太陽光発電事業の足 かせとなってきた太陽電池に対する高 い輸入関税が是正され、この分野への 投資が促されている。また、太陽光発 電の電力買い取りで競争入札制度を維 持し、固定価格での買い取りに移行し なかったことも、事業者にプロジェク トへの責任を持たせている。つまり、 事業の自律性が確保されているという ことで、世界的に規制が強化される 中、歓迎すべきことといえる。

これに対し、英国やドイツの再生可能 エネルギー市場は、支援獲得に苦戦し ている。欧州委員会は先に、英発電大 手ドラックス・グループの石炭火力発 電所の一部をバイオマス燃焼に切り替 える計画をめぐり、英政府の支援に対 する調査を開始。その行方に対する懸 念から、同社の株価は3.3%下落した。 欧州委は、こうした政府支援が競争を 阻害することのないよう、欧州連合( EU)の国家補助ルールに準拠するこ とを求めている。またドイツでは、エ ネルギー貯蔵事業に対するドイツ復興 金融公庫(KfW)の支援が終了する のに伴い、今年はエネルギー貯蔵市場の成長率が13%に減速するとみられて いる。ドイツの送電網を拡充し、再生 可能エネルギー由来の電力を受け入れ られるようにするには、エネルギー貯 蔵システムの確立が不可欠だ。

EUで先行き不透明感に直面している 再生可能エネルギー企業にとって、今 年は他の市場に進出するべき1年とな るかもしれない。

気になった取引を以下に挙げる。

  • 横河電機は、成長性の高い電力分野 の制御システム事業の強化に向け、 同事業のトルコ販売代理店の全株式 を取得した。
  • 大阪ガスはイタリアの都市ガス配給 会社エロガスメット(Erogasmet) が実施する第三者割当増資を引き受 ける。同社が海外でガス配給サービ スに参画するのは初めてとなる。
  • 電力以外の分野では、電通がクリ エーティブエージェンシーの仏セイ ム・セイム(Same Same)を完全 買収。引き続き海外事業の強化を狙 う。セイム・セイムは、ラグジュア リーブランドやプレミアムブランド を展開する企業向けにサービスを提 供する。

私自身は、これから米国につかの間の休 暇旅行に出かける。ピッツバーグでスノ ーモービルを楽しんだ後、ニューヨーク に立ち寄る予定だ。英国に戻った後は、 多くのM&A案件に加え、剣道の英国代 表チームの選手選びも待ち受けており、 一気に忙しくなりそうだ。

<筆者紹介>

ナイジェル・コリンズ(Nigel Collins)

輝かしい実績を持つロンドンの金融街シ ティーの法律事務所RPCに所属。企業 およびM&A専門の上級弁護士として、 ジャパンデスクの責任者を務める。

This article was originally published by NNA Europe.