第7巡回区控訴裁判所は、反トラスト事件の原告に対 する損害賠償につき外国通商を理由に損害額を制限す る判断を出した。Motorola Mobility LLC v. AU Optronics Corp., et al., No. 14-8003, 2015 WL 137907, at *5, (7th Cir. Jan. 12, 2015) (Op.)において、連邦地方裁判所が外国被 告の主張を認める部分的サマリー・ジャッジメントを 出したことに対し、第7巡回区控訴裁判所はこれを維 持し、米国会社である原告の外国子会社が、価格協定 が行われたと主張される製品を購入した場合、これは 外国貿易反トラスト改善法(「FTAIA」)の適用範囲 内ではない、と判示した。

同控訴裁判所は、部分的に、日本の経済産業省の主張 に依拠した。同省は、「日本国政府は、各国の主権に 不合理に干渉することにより国際法の原則を損なうよ うな域外適用に関する議論に対し、強く反対する」と 主張していた。日本国経済産業省主張書面、 2014 WL 5422011 (Oct. 10, 2014.)  裁判所は、「例えば日本の顧客 をどのように保護するかについての日本独自の決定 に、米国法が取って代わるべき理由はない」と述べ て、これに同意した。

1.   LCD反トラスト訴訟についての事実に関する背景

In re: TFT-LCD (Flat Panel) Antitrust Litigation, MDL No. 18271において、原告らは、外国の製造業者のグルー プが、液晶ディスプレイ(LCD)の価格協定を共謀し てシャーマン法第1条に違反し、原告らは当該LCDを 購入した、と主張した。本件における原告かつ控訴人 であるモトローラ社、及び、その外国子会社10社 は、LCDパネルを購入して、自社が製造する携帯電話 に組み込んだ。AUオプトロニックス社、サムソン 社、サンヨー等のLCDパネル製造業者が本件の被告で あった。

控訴審は、価格協定が行われたとされるLCDパネルの 一部にのみ関するものであった。「被告らがモトロー ラ社及びその子会社に販売したパネルのうち約1%分 が、米国での組み立てに利用される目的で米国のモト ローラ社に販売・納入された」。しかし、残り の99%は、モトローラ社の外国子会社(主に中国及び シンガポール)に販売・納入されていた。当該パネル のうち57%が、モトローラ社の子会社に販売され、外 国の携帯電話に組み込まれた後、外国で販売された。 これらは、部品も携帯電話も米国内には輸入されな かったことから、この販売分は米国の国内産業の一部 とはならなかった。残りの42%は、モトローラ社の子 会社に販売され、外国の携帯電話に組み込まれた後、 米国内での再販売のためにモトローラ社に販売・納入 された。控訴審は、この最後のカテゴリーに注目し た。

2.     7巡回区控訴裁判所による、モトローラー・モビ リティー判決

第7巡回区控訴裁判所は、問題となっている外国購入 がFTAIAにおける「国内効果」の例外を満たすか否か につき、検討した。FTAIAによると、「(1)そのような 行為により、直接、重要、かつ、合理的に予測可能な (国内通商に対する)影響が存在する場合、又 は、(2)そのような影響により」反トラスト法上の「請 求が成り立つ場合を除き、反トラスト法は、外国国家 との貿易又は通商(輸入貿易又は輸入通商を除く)に 関する行動には適用されない」。同控訴裁判所は、国 内販売に対する影響は、直接、重要、かつ、合理的に 予測可能であると推測した。そして、「反競争的行為 による米国国内通商への影響により反トラスト法上の 請求が成り立つ」ことを必要とする2つ目の要件に依 拠した。

同控訴裁判所は、モトローラ社の被告らに対する請求 は、Illinois  Brick判決での法理により禁止される間接購 入者の請求を構成するか、又は、認められない派生的 請求に過ぎないため、モトローラ社の外国での購入は 国内影響に関する2つ目の要件を満たさない、と判示 した。本件カルテルの直接的被害者は、モトローラ社 の外国子会社である、とされた。外国購入に関する外 国子会社が有する請求は、「当該外国の法律により決 定される」とされた。