関税撤廃や投資家と国の間の紛争解決(ISDS)のための手続に加え、環太平洋経済連携協定(TPP)の自由貿易協定のもとでベトナムの注目部分は、経済的ニーズ考査(ENT)の廃止、電気通信業などの規制分野において外資出資比率の緩和、また関税手続の改良が含まれている点です。

TPPの正式文はまだ公表されていません(最終版はまだできていないと思われるため)が、日本政府は最近協定の鍵となるいくつかの要素を明らかにしました。面白いことに、政府はまだ全ての詳細が含まれた最終版ではない「包括的合意」として2015年10月5日にアトランタで合意した条約について言及しています。以下の情報は他国のニュースではそれほど報道されていなく、以下のプレゼンテーションを含む日本政府の情報源を基にしています。

http://www.cas.go.jp/jp/tpp/pdf/2015/12/151020_tpp_setsumeikai_siryou01-1.pdf

1.取引品目の95%関税撤廃

TPPは非常に高レベルの自由化となります。多くの農産物や99.9%の工業製品(例えば、自動車、自動車部品、電子機器、化学製品など)に対する関税が撤廃されます。多くの品目(例えば、ぶどう、キウイフルーツ、ニシン、海老、蟹、キハダマグロ、哺乳豚、小豆、卵のような農産物)に対する関税はTPPが施行されると直ちに廃止されます。一方、いくつかの品目(例えば、オレンジジュース、たばこ、ワインやベニヤ板など)に対する関税はそのままとなり協定発行の3年目から16年目の間にそれぞれ関税撤廃されます。

特定の品目に対して加盟国は輸入割当(例えば日本の米など)を定めることができ、国は国内製品を保護する為に一時緊急措置(いわゆる「セーフガード措置」)を施行することが可能です。

2.一般的取引また投資促進

TPPは他の加盟国でのビジネスや競争また投資をし易くする共通の規則を提供しています。いくつかの一般的な規制には以下が含まれます。

  • 迅速通関(通常通関は48時間以内にそして急送貨物用の「6時間以内」のルール)
  • 知的財産(偽造品)に対する厳格な規律とロイヤリティ率規制の禁止
  • 技術移転、ローカルコンテンツ、投資家のソースコードへのアクセスの要求禁止
  • 短期出張者やその家族へのビザ免除(アメリカとシンガポールを除く)
  • 加盟国入札者へ国内一般調達の公開
  • デジタルコンテンツへの輸入課税禁止と電子商取引に関する一般的な規則
  • TPPにより利益を得る為の中小企業の支援
  • 環境及び乱獲保護措置

3.ベトナムに適用される規則の例

(a) ベトナムはENTを廃止

ベトナムはTPP協定の発行日から5年後にENTの廃止を約束しています。(発行のためには、全ての初期加盟国のGDPの最低85%を占める少なくても6カ国の加盟国がその協定の署名後2年以内に協定を国内法上で承認しなければなりません。)外国の小売業者は、新興中流階級や可処分所得の急増しているベトナムに市場に対し非常に興味を示しています。

ENTは現在、外資系小売事業者(スーパーマーケット、モール、コンビニを含む)に対し2店舗目以降の新店舗開設のためにはライセンス手続きを受けることを必要としています。これが長い間に市場介入への障害とみられています。

(b) ベトナムの電気通信業、地場銀行や娯楽サービスへの外資出資比率規制の緩和

電子通信事業の外資出資比率は最大65%までに規制されていましたが、TPPのもとで外国人投資家は75%までの出資が可能となります。また、地場銀行や映画館、ライブハウス等の娯楽サービスへの外資出資比率も上昇することが予定されています。

(c) 輸出税の禁止及び通関手続きの透明性

ベトナムでは原則として鉱物資源等の項目で新たな輸出関税を新設すること、または維持することが禁じられています。ベトナムは、新しい関税規則を施行する最低60日前にそれを公表し、同様に60日以内に加盟国からの合理的な質問に返答する努力する必要があります。

さらに、TPPは原則としてに全てのTPP加盟国の原産地規則の商品別に統一しています。生産者、輸出者または輸入者が自ら現地証明書を作成する制度を導入します。電子的手続が奨励されます。

4.投資家と国との間の紛争解決メカニズム

加盟国の投資家はベトナム国外での国際仲裁手続を利用し、ベトナム政府に対し法的措置を要請できることになります。

投資紛争解決国際センター(ICSID)、国連国際商取引法委員会(UNCITRAL)、国際商業会議所(ICC)または他の仲裁規則を適応することができますが、TPPのISDS規定には以下の基本的規則が置かれています。

  • 仲裁廷は事例の判断を下す前に、まず訴えが仲裁廷の管轄内であるか決定し、また被申立国による異議等に返答しなければならない。
  • 非公開手続が好まれる民間仲裁とは異なり、原則として全てのISDS仲裁判断内容は公開されなければならない。
  • ISDS申立て期間を一定の期間に制限する。

しかし、TPPは正当な公共目的を主張し、国家の規制措置の採用を妨げられない様子です。過去に、ベトナムの裁判所はよく公共目的に類似した「ベトナム法の基本的な原則」に相違するとして外国仲裁判断の承認及び執行を拒否しました。従って、ベトナムに対するTPPのISDS判断が今後ベトナムでどのくらい執行されるかは未だ不明です。

上記の情報はTPPの正式文ではなく政府の二次情報源をもとにしております。正式な法的文書の確認後に相違点が現れる可能性もございます。今後も情報を更新するように努力いたします。ご質問等ございましたらお気軽にご連絡ください。