C&J Energy Services Inc. v. City of Miami (デラウェア 州、2014年12月19日)(大法廷 )において、デラウェ ア州最高裁判所は、取締役会は柔軟に独自の売却手続 を定めることができ、裁判所は、交渉に基づく合併契 約書で定められた(売却手続に関する)条件を書き換 えることについては消極的であるべき、という考えを 強く是認する、という重要な判決を出した。

本件は、C&J社と、競合会社であるネイバーズ社の一 部門との合併に関するものである。米国企業であ るC&J社は、バミューダを本拠地とするネイバーズ社 の子会社を買収しようとしていたが、合併後、ネイ バーズ社が、存続会社の過半数の株式を保有すること となっていた。そこで、より有利な税率を適用するた め、存続会社であるC&J社は、バミューダを拠点と し、より低い法人税率の適用を受けることが予定され ていた。

デラウェア州衡平法裁判所は、C&J社の取締役会には 利益相反行為を行う意図はなく、また、自社の企業価 値について十分な情報提供を受けていた、と判示した が、裁判所は、ネイバーズ社と契約を締結する前後に おいて、取締役会が積極的に他の買い手を探さなかっ たことから、取締役会がRevlon事件により取締役に求 められる義務に違反したと判断するのが「妥当」であ る、と判断した。これを根拠に、裁判所は、株主投票 を行うことを30日間禁止し、他の入札を勧誘すること を禁止するC&J社とネイバーズ社間の合併契約に違反 しても、C&J社は他の買い手を探さなければならな い、と判示した。また、裁判所は、C&Jが他の入札を 勧誘しようとしたことをもって、ネイバーズ社が取引 から離脱することはできない、と判示した。

上訴において、デラウェア州最高裁判所は、全員一致 で、Revlon事件により取締役に求められる義務によ り、オークションや、積極的なマーケット・チェック といった特定の行為を行うことが求められる、とする 考え方を否定し、原審を覆した。反対に、裁判所 は、Revlon判決及びその後の判決により、取締役が信 認義務を履行するための特定のルートが打ち出された ものではなく、独立した取締役は、取引が効率的な マーケット・チェックにさらされ、別の買い手がより 良い条件を提示することができる限り、「大きな利益 を約束する戦略的取引に参加するか否かを決めるため に、自分自身で経営判断を行うことができる」と判示 した。よって、取締役会は、新たな買い手が、さらに 高い価格を付けることを提案して合意済みの取引条件 に挑戦できる限り、単一の潜在的な買い手とのみ交渉 することを選ぶこともできる、と判示した。また、裁 判所は、「Revlon事件や、QVC事件等のその後の事件 では、当初、取締役会が、より高額の別の取引が出現 するのを妨げる恐れのあるチェンジ・オブ・コント ロール条項に同意した後に、取締役会が競合する入札 に対して抵抗した事実が関係していた、ということが 忘れられがちである」と述べた。本件において、類似 の「防御的な介入の意図」があったと認める証拠はな かった。

C&J判決は、Revlon判決及びその後の判決が、信認義 務を履行するための特定の売却手続を求めるものでは ないことを確認する点で、実務的な指針を提供するも のといえる。C&J判決は、株主の価値を最大化するた めの取締役会の裁量の重要性を認識する判決であると いえる。