政府による調査を受けた会社の代理人弁護士は、会社 の代理と同時に役員や従業員を代理することが弁護士 倫理上可能か否かという問題に度々直面する。In re Conduct of Ellis, 344 P.3d 425 (Or. 2015) (OSB No. 09-54)に おいて、オレゴン州弁護士会は、法律事務所の2人の パートナーが、そのような共同代理を行ったことで利 益相反に関する倫理規則に違反したと認定し、懲罰理 事会もこれに同意した。しかし、オレゴン州最高裁判 所は、これを覆した。本件は、公開会社の証拠開示に より、収益認識原則が不適切に適用され、これにより 誤った会計上の届出がなされていたことが判明して、 再度の届出が行われたことに端を発するものであっ た。株主がクラスアクションを提起し、その後SCE及 びDOJによる調査がそれぞれ行われた。ある法律事務 所の2人のパートナーは、クラスアクション訴訟で会 社を代理し、かつ、役員個人も代理していた。役員の うち1人は共同代理を受けることを拒否し、また、別 の1人は独自の代理人も選任したものの、会社を代理 する法律事務所の当該パートナー2人も共同代理人と して残っていた。共同代理を受けていた役員は、共同 代理に同意すると記載された委任契約書に署名してい た。当該委任契約書では、共同代理に同意する前に独 自の弁護士に相談することが勧められていた。SECが 本件調査を開始した際も、当該2人のパートナーは、 会社とともに様々な役員の代理を継続し、新たな委任 契約書が締結された。SECは、その後、当該会社と特 定の役員に対し、民事執行手続を行う旨の通知を出し た。この時点で、当該2人のパートナーは、別の代理 人がいない役員に対して別途代理人を選任するようア ドバイスし、当該役員はこれに従った。しかし、当 該2人のパートナーは、共同代理人という形で役員個 人の代理も継続した。その後DOJが調査を開始した際 には、会社は他の法律事務所の弁護士を主任代理人弁 護士として指名し、当該2人のパートナーは会社を代 理するにあたり限定的な役割しか果たしていなかっ た。役員個人又はその代理人弁護士は、弁護士会に対 して苦情を申し立てなかったものの、弁護士会は利益 相反を指摘して苦情を申し立てた。オレゴン州最高裁 判所は、本件代理の経緯を詳細に検討し、依頼人には 実際の利益相反を有していなかったことから、倫理規 則に違反しない、と判断した。当該2人のパートナー が会社を代理して取ったアプローチは、会計上の届出 が発覚した際に取られた改善措置を強調するものであ り、かつ、当該問題について「詐欺」ではなく「誤 り」であったと繰り返し述べていることから、役員個 人による意図的な行為ではなかったことが示唆されて いたとし、これにより、利益相反は発生していない、 と判示した。