SECは、最近、「分離」ルールとして広く知られている証券取引法規則第14a-4(a)(3)に関する新たなガ イドラインを発表した。これは、SECによる2004年ガイドラインを変更するものであり、M&A取引案 を株主が承認する際の投票における新たな手続要件を創設するものである。SECは、株主を保護すべ く、対象会社の組織関連文書に対する変更については対象会社の株主が投票で承認しなければならな い、との変更を加えた。そして、このような変更は、対象会社の株主が個々の重要な変更について承 認又は拒否の判断をし得るように、個別に委任状の記載において分割又は「分離」されていなければ ならない。

この分離要件は、対象会社の株主が取引を全体として承認するか拒否するかのみであった伝統的 なM&A取引とは異なるものである。SECが「株主の権利に重要な影響を与える」と考え、そのため個 別の投票が必要と考える規定の例は、(1)期差取締役会・任期別取締役会、(2)取締役の解任に対する制 限、(3)圧倒的多数による投票、(4)年次総会を1年以上遅らせること、(5)同意書面による行動制 限、(6)裁定定足数の変更、である。SECは、名称変更、定款変更、技術的変更等は、対象会社の取締 役会による分離投票が必要なレベルには至らない可能性が高い、と指摘した。

三角合併のように、新たに設立された買収手段となる企業を利用する形で取引が構成される場合につ いて、本ガイドラインは、取引完了後に新設立企業の株式の最大数を有することになる株主を保有す る当事者を買収会社とすることが検討されなければならない、としている。よって、対象会社の株主 は、買収会社の組織関連文書とは大きく異なる、買収手段となる企業の組織関連文書における重要な 変更それぞれについて、投票を行う機会を与えられることになる。このような変更は、買収会社自身 の組織関連文書に直接変更が加えられたかの如く、買収会社の株主による承認が必要となる。

SECによるこの新しいガイドラインは、期差取締役会・任期別取締役会のような組織関連文書におけ る大きな変更について買収会社が開示することを手続的に求めるものとなる一方、対象会社の株主が 承認せずに拒否した場合の効果については依然として不明である。SECは、取引の当事者は対象会社 株主による承認を取引完了の条件とし得る、としている。そのような条件が付される場合には、その 点につき委任状の記載で明確に開示する必要がある。