米国刑事法執行

Holder司法長官、米国法曹協会の反トラスト法会議において反トラスト法執行について講演

当時の司法長官であるEric    Holderは、4月17日にワシントンDCで開催された、米国法曹 協会の反トラスト法スプリングミーティングにおいて、基調講演を行いました。Holder氏 は、米国司法省(以下「DOJ」)が、彼の監督下で成し遂げたことを賞賛し、過去6年間、「反 トラスト法が約束する、健全な市場および公正な競争の実現のために粘り強く取り組ん できた」と述べました。Holder氏は、その約束に対する脅威が存在したとき、また違反が 発見されたとき、「それがどれほど複雑な事案であっても、全力で訴訟する用意があった」 と述べました。Holder氏は、「それがコンピューターの部品における価格協定であろうと 不動産の競売における入札談合であろうと、我々はあらゆる類型の犯罪行為―地方の不 正行為から国際犯罪までの全ての領域―を追及してきた」と詳述しました。

Holder氏は、反トラスト法の積極的な執行に対するそのような確約は、2007年に、当時上 院議員だったBarack    Obamaが、もし大統領に選ばれれば、「競争による利益は全て消費 者に帰するということを確実にする」ために、法の執行を総合的に強化するだろうと公約 した時点にまで遡る、と述べました。Holder氏は、DOJの活動は、反競争的行為が許容さ れないという「明確かつ一貫したメッセージ」を伝えてきた、と強調しました。

自動車部品関連企業の反トラスト法における捜査および民事訴訟の最新情報

  • 日立の幹部、自動車部品の価格協定の共謀について有罪答弁を行う

4月23日、DOJは、日立オートモティブシステムズ株式会社(以下「日立」)の日本人幹部 が、OEM数社に販売された様々な自動車部品の価格操作の共謀における自己の役割 について、有罪答弁を行うことに合意したと公表しました。トヨクニ タカシは、以前、ミ シガン州東部地区の連邦大陪審において、セルモーター、オルタネーター、エアフロ ーメーター、バルブタイミングコントロール装置、燃料噴射装置、電子制御スロットル 装置、イグニッションコイル、インバーターやモータージェネレーターの入札談合およ び価格操作の共謀における自己の役割に関して、2014年9月に起訴されました。対象 となったOEMは、フォード、GM、日産、トヨタ、ホンダおよびそれらの特定の子会社で あったとされています。

司法取引は、トヨクニ氏が2000年1月から2010年2月に、申し立てられた共謀に参加し た責任を追及するものです。トヨクニ氏は、刑務所で15ヶ月間服役し、2万ドルの罰金 を支払うことに合意しました。

日立は、様々な自動車部品の価格操作の共謀における自 己の役割に関して、2013年11月6日に有罪答弁を行い、1億 9500万ドルの罰金を支払いました。日立の他の3名の個人 は、2014年9月に同様に起訴されましたが、現時点ではトヨ クニ氏のみが有罪答弁に合意しています。

トヨクニ氏を含め、これまでに52名の個人が司法省によっ て起訴され、うち30名が有罪答弁を行い、罰金を支払い、 少なくとも1年以上の禁固刑に服することに合意していま す。35の会社が、自動車部品業界における価格操作につい て、有罪答弁を行ったか行うことに合意しました。

  • 山田製作所、マニュアルステアリングコラムの販売に関す る自動車部品カルテルの共謀について有罪答弁を行う

株式会社山田製作所は、手動調整式(非電動式または非 油圧式)のステアリングコラム(以下「マニュアルステアリン グコラム」)の価格操作および入札談合に参加したことに ついて、有罪答弁を行うことに合意しました。山田製作所 は、250万ドルの罰金を支払うことに合意しました。4月28 日、DOJは、オハイオ州東部地区連邦地方裁判所に、山田 製作所に対する一罪の略式起訴の申立てを行いました。 当該略式起訴状によれば、山田製作所は、ホンダおよびホ ンダの特定の子会社のみに対して、2007年から2012年に 販売された、マニュアルステアリングコラムの価格操作を 共謀したとされています。現時点で、自動車部品反トラスト 訴訟の中に、電動式パワーステアリングシステムを含む訴 訟はありますが、マニュアルステアリングコラムの自動車 部品訴訟はありません。

  •  ボッシュ、特定の自動車部品に関するカルテルの共謀につ いて有罪答弁を行う

4月1日、DOJは、自動車部品メーカーのRobert  Bosch GmbHが、自動車メーカーおよび内燃機関の製造業者に 対し、自動車およびエンジンへの搭載用に販売した、スパ ークプラグ、酸素センサー、およびスターターモーターの入 札談合および価格操作の共謀における自己の役割につい て、有罪答弁を行うことに合意したと公表しました。ドイツ のメーカーであるボッシュは、5780万ドルの罰金を支払い ます。ミシガン州東部地区連邦地方裁判所に申し立てられ た略式起訴状によれば、当該スパークプラグおよび酸素セ ンサーは、DaimlerChrysler AG、Ford、General Motors、お よびAndreas Stihl AG & Co.に販売されました。当該スター ターモーターは、Volkswagen   AGおよび同社の特定の米 国子会社に販売されたとされています。

カルテルの共謀へのボッシュの参加は、スパークプラグお よび酸素センサーについては、2000年1月には開始し少な くとも2011年7月まで、スターターモーターについては、少  なくとも2009年1月には開始し2010年6月まで、継続したと されています。

  •   ティラドの元幹部、ラジエーターの価格カルテルに関与し たとして起訴される

5月14日、ミシガン州東部地区の連邦大陪審は、株式会社 ティラドの元幹部について、ホンダおよびトヨタに販売さ れたラジエーターの価格操作の共謀において果たしたと される役割に関し、起訴を決定しました。起訴状によれば、 サクマ ミチタカおよび氏名の明らかでない複数の共謀者 は、少なくとも2003年10月から、ラジエーターの価格操作 を共謀したとされています。さらに起訴状では、ティラドお よび複数の共謀者は、ラジエーターを製造し、米国内で販 売し、米国内で組み立てられる自動車に搭載するための米 国への輸出向けに日本国内で販売し、および日本国内で 組み立てられ米国へ輸出される自動車向けに日本国内で 販売したとされています。2013年、ティラドは、ラジエータ ーおよびATFウォーマーの販売に関わる反トラスト法違反 について有罪答弁を行いました。

ドイツ銀行、LIBORの不正操作に関し有罪答弁を行い、25億ド ルを支払う

2015年4月、Deutsche Bank AG(以下「ドイツ銀行」)は、同社の トレーダーが、ロンドン銀行間取引金利(以下「LIBOR」)を操作 したとする、米国および英国の当局の主張について解決する ため、起訴猶予の合意、独立した監視体制、および25億ドルの 罰金の支払に合意しました。LIBORは、世界中の金融商品や取 引に利用される主要なベンチマーク利率となっています。ドイ ツ銀行は、LIBORに関連する不正行為を認めた6番目の大手の 金融機関であり、25億ドルの罰金は、LIBOR不正の捜査におい て、現時点で最高額です。

ドイツ銀行は、起訴猶予の合意を行い、シャーマン法に違反し て、日本円のLIBORの申告を他の銀行とともに不正に操作する ことによって、LIBORを操作したことおよび価格操作の共謀に 参加したことに関する自己の役割を認めました。当該合意は、 同銀行が、DOJの継続中の捜査への協力を継続すること、DB Group Service (UK) Limitedに科された罰金を超える、6億 2500万ドルの制裁金を支払うこと、および当該合意の期間で ある3年間、社内の監視人を選任すること、を要求しています。 また、ドイツ銀行の完全子会社であるDB Group Service (UK) Limitedは、LIBOR操作における自己の役割に関し、通信詐欺 一罪について有罪答弁を行い、追加して1億5000万ドル支払う ことに合意しました。

DOJは、既に、Barclays Bank PLC、UBS AG、The Royal Bank of Scotland plc、Coöperatieve Centrale Raiffeisen- Boerenleenbank B.A. (Rabobank) 、Lloyds Banking Group plcを含む他の5銀行への捜査の完了を公表しています。また、 当該捜査の結果、12名の個人が起訴され、うち3名が有罪答弁 を行いました。

海運業者の幹部、反トラスト法事件の陪審で無罪を言い渡さ れる

5月8日、プエルトリコの陪審は、プエルトリコへの海運サービ スを対象とする反トラスト法違反に関して起訴されていたフロ リダ州の会社幹部に、無罪を言い渡しました。Crowley   Liner Services  Inc.の運賃および収益管理担当の元副社長である Thomas  Farmerは、特定の産品のプエルトリコへの輸送に関 して、運賃およびサーチャージを不正に操作するために、競合 他社と協働したとされ、100万ドル以下の罰金および10年以下 の禁固の可能性がありました。

他の海運および輸送業者の���の5名の幹部は、当該不正操作 の共謀または証拠の隠匿における自己の役割について有罪 答弁を行っており、2013年1月、プエルトリコの陪審は、当該不 正操作に関与したとして、別の幹部である、Frank   Peakeに有 罪を言い渡しました。12月に、Peake氏は禁固5年を言い渡さ れました。これは、当時としては、反トラスト法違反で科された 最長の期間だったとDOJは指摘しています。さらに、当該不正 操作に関連して、3社が合計で4600万ドルの罰金を支払って います。

トラック用パーキングヒーターに関するクラスアクション、トラッ クディーラーがメーカーを提訴

2015年3月、ミシガン州に本拠を置く、取り外し可能なカーヒー ターの製造業者であるEspar  Inc.は、パーキングヒーターとし て知られるカーヒーター装置の価格操作に関して、シャーマン 法違反の一罪について有罪答弁を行いました。トラックのキャ ビンで睡眠を取るトラックドライバーは、多くのガソリンを使 用せず、またトラックをアイドリングさせることなく暖かさを保 つために、この装置を使用します。

Esparが価格操作に関して有罪答弁を行った直後、一個のク ラスと想定されている商用トラックディーラーらが、Esparに 対して、ニューヨークの連邦裁判所にクラスアクションを提起 しました。このクラスアクションの訴状によれば、Esparは、通 常は800ドルから1500ドルの当該装置の価格操作を、類似の 製造業者と共謀したとされています。同訴状によれば、Espar は、1500万ドルの罰金を支払うことに合意したが、当該司法取 引は、同社に対して、当該共謀によって被害を受けたトラックデ ィーラーらへの原状回復の支払いを要求していなかった、とさ れています。

国際的な動向

欧州連合司法裁判所、情報交換に関するバナナ販売業者3社 への罰金を支持

2015年3月19日に公表された判決において、欧州連合司法裁 判所(以下「ECJ」)は、ビジネス上センシティブな情報を共有し た会社は、欧州委員会(以下「EC」)による反競争的効果の立証 を必要とすることなしに、カルテルの責任を負うと明言しまし た。むしろ、市場での行為の「時期、範囲および詳細」に影響を 与える競合他社との情報交換は、反競争的な目的を有してい ます。

そのように判示して、ECJは、バナナカルテルに参加したとす る判決および科された罰金に対するDole    Foodの上訴を棄却 しました。ECは、2002年から2003年に、Dole、Weichertおよび Chiquitaが、価格を決定する直前に、各社の価格に関する希望 を、日常的に協議および開示していたと認定しました。

プレスリリースにおいて、ECは、「これ(情報交換)は、共謀の協 定なしに、通常の市場の状態とは一致しない競争状態を創出 するという目的を有しており、したがって、競争を制限する目的 で、会社間の関連した行為を生み出した」と指摘しました。

結果として、Doleは4560万ユーロおよび費用を支払わなけ ればなりません。Chiquitaは、共謀についてECに申告したた め、8320万ユーロの罰金を免除されました。Dole、Weichertお よびDel  Monte(Weichertのパートナー)は、依然として6030 万ユーロを支払っていませんでした。Del    Monteは、判決に対 して別の上訴を提起していますが、親会社の責任に関する判 断について争っています。

韓国公正取引委員会、自動車部品業者5社に罰金

韓国公正取引委員会(以下「KFTC」)は、価格操作を行ったとし て、自動車部品メーカー5社に対し、損害賠償に加えて、合わせ て310万ドルの罰金を科しました。株式会社デンソー、Denso Korea Automotive、NGK、Yura TechおよびWoojin Industry は、イグニッションコイル、スパークプラグおよび排気温度計(EGTS)の価格操作を行ったとされています。

申し立てられている価格操作は、少なくとも2008年から2011 年のHyundai  Kia  Motorへの入札を対象としています。デンソ ーおよびNGKは、EGTSの供給に関して提出された入札におい て共謀し、Denso Korea AutomotiveおよびYura Techは、イグ ニッションコイルの価格協定を行い、Woojin  Industryおよび Yura   Techは、スパークプラグの入札談合を行ったと認定され ました。

報告書によれば、KFTCの当局者は、競争当局はカルテルの厳 格な捜査を継続するであろうと述べました。

韓国公正取引委員会、上訴後の罰金返還額の最高記録に直面

過去5年間で、韓国公正取引委員会(以下「KFTC」)は、上訴審 で勝訴判決が覆ることにより、徴収した罰金の3億500万ドル 以上を返還しました。報告書によれば、KFTCは、2010年から 2014年までに、43億6000万ドルの罰金を科してきましたが、 そのうちほぼ7%を返還しました。KFTCは、罰金3億500万ドル に加えて、対象会社が上訴した後、罰金を認めた判決が覆るま での利息3360万ドルを支払っています.


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