現行の中華民国「意匠登録侵害鑑定要点」(「設計専利侵害鑑定要点」)によれば、ある物品が意匠登録を侵害しているか否かを判断する手順は大まかに以下のとおりである。

  1. 意匠登録請求範囲の解釈。
  2. 解釈後の意匠登録請求範囲と権利侵害被疑物を比較して、物品とデザインが全体的な視覚において同一又は類似しているか否かを判断。
  3. 物品に新規な特徴が含まれているか否かを判断。

また、「意匠登録侵害鑑定要点」及び最近の裁判所の実務見解(知的財産裁判所の102年(西暦2013年)民専上55号)によれば、「鑑定対象物品(即ち権利侵害被疑物)と解釈後の意匠権範囲中の視覚的な外観全体とが同一又は類似である場合でも、当該鑑定対象物品が当該意匠の権利範囲に含まれると認定するには不十分であり、鑑定対象物品が当該意匠登録の『新規な特徴』を利用しているか否かについても判断する必要がある」。何を意匠登録の新規な特徴と判断するのかについて、知的財産裁判所の102年(西暦2013年)民専上55号判決は、主に当該「意匠登録明細書」中の特に「文字」で図面が開示するデザイン特徴に対し行っている描写を「新規な特徴」としており、さらに「権利侵害被疑物はこれらの新規な特徴を備えているのみならず、消費者に権利侵害被疑製品の外観全体が係争意匠であると誤認せしめている」と認定し、これを理由に「権利侵害被疑物は当該意匠登録の権利範囲に含まれる」と判示している。言い換えると、意匠登録明細書中の、デザイン特徵に対する「文字」描写が仔細であればあるほど、意匠登録請求範囲にこれらの文字描写の特徴を含まなければならないと解釈され、その結果、意匠登録請求範囲がより狭まる可能性がある。

知的財産裁判所は103年(西暦2014年)民専訴字73号でさらに一歩踏み込んで、「新規な特徴とは、意匠登録出願に係るデザインが 出願前の先行技芸に照らして、客観的に、それに新規性、創作性などの意匠登録要件を備えさせる創造的革新的な内容を指し、それは視覚に訴える視覚的デザインでなければならず、機能性デザインであってはならない」、「意匠登録出願に係る意匠範囲を解釈するとき、まず創作の説明に記載されている文字内容に基づいて、登録出願された意匠と出願前の先行技芸とを比較して、初めて、創造的革新的な内容を備えた新規な特徴であると客観的に認定することができる。これに準ずれば、係争意匠登録は意匠登録出願段階において、『専利公報』上の参考文献を上記説明により『意匠登録出願されたデザインと出願前の先行技芸とを』比較する依拠とすることができる」と指摘している。この判決によれば、意匠登録の「文字」で説明されたデザイン特徴を考慮する以外にも、当該デザインと既知の「先行技術」(とりわけ出願段階で智慧財産局(※台湾の知的財産主務官庁。日本の特許庁に相当)が引用した参考文献)の異なる点を考慮する必要があり、そのうえで初めて、何が当該デザインの「新規な特徵」であるのか決定することができる。また、たとえ権利侵害被疑物が当該意匠登録明細書の文字描写されたすべての特徴を備えているとしても、当該デザインの新規な特徴を備えていなければ、依然として、当該意匠権を侵害すると認定されることはない。