華為中央研究所のワット実験室から、リチウムイオン電池分野で重大な研究の進展が実現されたことが宣言され、業界初の高温で長寿命のグラフェン基リチウムイオン電池がお目見えした。

ゲラフェンを基とした新型の耐高温技術では、リチウムイオン電池の使用上限温度が10℃引き上げられ、使用寿命が通常のリチウムイオン電池の2倍となっていることが実験結果から明らかになっている。

華為の創業者・任正非氏は、早くも2年前、網易科技などのメディアの取材を受けたとき、将来10~20年以内に技術革命が起こり、グラフェンの時代がシリコンの時代に取って代わることがこの時代に起こる将来最大の革命的事件となると語っていたことがあった。なぜこのようにグラフェンが有望視されるかについて、任正非氏は、現在のチップには限界幅があって、シリコンの限界は7ナノメートルであるが、既に限界に近くなっており、グラフェンが技術革命の最前線に立ち始めていると話している。

現在のリチウムイオン電池では既にスマートフォンのニーズを満たすことができなくなっており、持続力の上でも大きな向上が強く求められている一方で、テスラをはじめとする電気自動車によって、リチウム電池へのニーズは常に拡大し続けている。

華為では、マンチェスター大学とグラフェンの応用について共同研究し、ICT分野の次世代高性能技術を共同開発すると早くも2015年に外部に宣言していたが、この共同プロジェクトの期間は最初2年とされ、グラフェン分野の重大な成果を大衆消費電子製品とモバイル通信機器にどのように応用するかが研究されている。

そして、今回、華為中央研究所のワット実験室では、グラフェン基高温リチウムイオン電池の技術において大きな進展が実現された。華為・ワット実験室の首席科学者・李陽興博士は、この成果が主に①電解液に特殊な添加剤を加えて微量な水を除去し、電解液が高温分解しないようにすることと、②電池の陽極として、変性された大単結晶の三元系材料を選択し、材料の熱安定性を高めることと、③新しい材料であるグラフェンを用い、リチウムイオン電池と環境の間の効率的な散熱が実現されるようにしたこと、との3点によるものと明らかにしている。

また、「高温環境下での充放電試験で示されたところでは、同等のワーキングパラメータで、このグラフェン基高温リチウムイオン電池の温度上昇は、通常のリチウムイオン電池より5℃低くなっていて、60℃での高温循環を2000回して容量保持率はなお70%を超えており、60℃での高温保存を200日して容量損失は13%未満であった」と李陽興博士は話している。

この研究成果は、通信基地局の電力貯蔵業務に革新をもたらすものである。炎暑地でこの高温リチウムイオン電池を使用する外部基地局の稼動寿命は、4年以上にもなり、また、グラフェン基高温リチウムイオン電池によって、電機自動車が高温環境下でも長く走り続けられ、無人航空機が高温に発熱しても安全に飛行できるよう助けられる。

昨年、華為・ワット実験室は、日本の第56回電池討論会(The 56th Battery Symposium in Japan)で、5分間で3000mAh電池の電気量の48%を充電できる急速充電技術の成果について発表し、業界の幅広い注目を受けている。李陽興博士が明らかにしたところによると、華為は、既に急速充電電池を商品化しており、今年12月末にもスーパー急速充電携帯電話を正式に一般公開するとのことである。