Delaware County Employees Retirement Fund, et al. v. Sanchez, et al., No. 702, 2014 (Del. Oct. 2, 2015)におい て、デラウェア州最高裁判所は、デラウェア州衡平法裁判所は取締役の利害関係当事者に対する個人 的な関係に適切な比重をおかなかったとして、株主代表訴訟を却下した原審の判断を覆した。

本件訴訟は、A・R・サンチェス・ジュニア氏の家族株式の大半を保有するサンチェス・エナジー社 と、同氏の家族が100%を保有する会社とサンチェス・エナジー社のマネージメント・サービス会社で あるサンチェス・リソース社の間の取引に起因するものであった。当該取引により、サンチェス・エ ナジー社は、財産の持分購入に関連して、サンチェス・リソース社に対し、7800万ドルを支払う義務 を負った。サンチェス・エナジー社の株主の一部は、当該取引は過度の支払いを含むものであり不公 平であると主張して、株主代表訴訟を提起した。

株主代表訴訟では、原告がまず取締役会に対して訴訟提起を要求しない場合、そのような取締役会へ の訴訟提起要求が無駄なものであることを立証しなければならない。すなわち、取締役会が、訴訟が 会社の利益となるものか否かについて公平に決定するための独立性を有しないことを推定するだけの 特定の事実を主張しなければならない。原告は取締役のうちの1人であるアラン・ジャクソン氏は、利 害関係を有する取締役であるA・R・サンチェス・ジュニア氏及びA・R・サンチェス・サード氏から独 立していないため、原告が取締役会に対して訴訟提起を要求しなかったことには理由がある、と主張 した。

裁判所は、以下のように指摘して、原告はジャクソン氏が「独立」していないとの推定が及ぶに足り るだけの十分な事実を主張した、と判示した。すなわち、ジャクソン氏及びその兄弟は、保険ブロー カーサービスをサンチェス・エナジー社及びその他のサンチェス関連企業にIBCインシュランス・エー ジェンシーの重役として主に雇用されている点;IBCはサンチェス氏が筆頭株主及び取締役を務める会 社が100%を所有する会社である点;ジャクソン氏はその収入の約30%から40%をサンチェス・エナ ジー社の取締役として受領していた点を指摘した。裁判所の判断は、部分的に、サンチェス氏及び ジャクソン氏の事業上の利害関係の相互関連性に依拠したものである一方、50年以上に渡る密接な個 人的友人関係は決定的であった可能性が高い。裁判所は、長期間に渡る個人的友人関係の重要性を強 調した。裁判所は、密接な個人的友人関係は、「社交的な関係」とは異なり、「価値が高く」「まれ で」「貴重なものと考えられており」、ジャクソン氏は「サンチェス氏にとって個人的に重要な経済 的事項において公平に行動する」ことはできないとの推定が働くものであった、とした。また、裁判 所は、ジャクソン氏の会社での立場は、サンチェス氏との密接な個人的友人関係から発生したものと 推定される点を指摘し、ジャクソン氏とサンチェス氏の間の関係はそのように評価されるべきであ る、と述べた。

Sanchez判決のもと、独立取締役の検討は、利害関係を有する当事者に対する取締役の関係に関する事 実を全て総合的に考慮して、取締役の独立性が損なわれ得るか否かを検討するものと見受けられる。 原告が数十年に及ぶ密接な個人的友人関係を立証する事実を主張した場合には、却下申立てに耐え得 るのに十分なほどの独立性に関する合理的な疑いが生じ得る。そのため、証拠開示に要する高額な費 用と本訴(トライアル)の可能性を回避するためには、被告側において、密接な個人的友人関係が存 在しなかったことか、又は、少なくても、会社における立場が密接な個人的友人関係によるものでな いことを立証することが必要となる。