日本の公正取引委員会と台湾の公平交易委員会の間の協力について「競争法適用に関する了解覚書」が日本の公益財団法人交流協会と台湾の亜東関係協会の間で2015年11月26日に締結され、同日発効しました。台湾は既にオーストラリア、ニュージーランド、フランス、モンゴル、カナダ、ハンガリー、パナマ、コロンビア等との間で同様の合意をしており、日本は10カ国目となります。本ニュースレターでは、この覚書の概要を紹介します。

一 適用対象

 本覚書は「反競争的行為」を対象としており、日本については独占禁止法に反する行為が、台湾については公正取引法(中国語:公平交易法)に違反する行為がその対象となります。双方の当局(日本は公正取引委員会、台湾は公平交易委員会)が反競争行為に対する執行活動を実施する際の相互協力が定められています。

二 協力の内容

 本覚書で規定されている相互協力には、通報、情報交換、執行調整等があります。

 まず、通報については、一方の当局が行っている反競争行為に関する執行活動が、他方の当局の重大な利益に影響する可能性がある場合、他方に通報するものとされました。通報の時期については、通報する側の法令や重大な利益に反しない限り、自らの執行活動が他方の当局の重大な利益に影響する可能性があることを認識したら速やかに行うとされています。

 また、執行活動については、それぞれの法令及び重大な利益に反しない範囲において、かつ、それぞれの当局のリソースの範囲内で、お互いに執行活動について協力する旨規定されています。さらに、情報交換については、それぞれの法令及び重大な利益に反しない範囲において、以下の努めるものとされています。

  •   他方の地域における競争に対しても悪影響を与える可能性のある反競争的行為に対する執行活動を他方に伝えること、
  •   自己が保有し、かつ気づくに至った反競争行為に関する重大な情報で、他方の当局による執行活動に関連し、又はかかる執行活動を正当化する可能性があると考えるものを提供すること、
  •   他方からの要請があった場合、本覚書に従い、他方の当局の執行活動に関連する情報を提供すること

 執行活動の調整については、同一又は関連する事件について双方が執行活動を行う場合、可能かつ適切であれば、双方は執行活動を調整するよう努めるとされました。但し、それぞれの当局の判断の独立性を尊重するものとされ、また、調整は他方への通知によって制限し、または終了させることができるとされています。

さらに、執行活動の要請についての規定も設けられました。他方の領域における反競争的活動が自らの重大な利益に悪影響を与えると考える場合、執行活動によるコンフリクトを避けること及びより効果的に執行活動を行うことの重要性を考慮した上で、他方に対して適切な執行活動を行うことを要請することができるとされました。要請を受けた側は、実務的に可能な範囲内でできるだけ速やかに検討結果を通知することし、また、執行活動が開始された場合、要請を受けた側は他方にその結果を伝えるとともに、可能な範囲において重大な進捗を伝えるものとされました。ただ、これらは各当局の裁量権行使を制限するものではなく、また、要請をした当局は要請を取り下げることができるとされています。

 さらに、一方の当局の執行活動が他方の当局の重大な利益に悪影響を及ぼす可能性がある場合の調整についても規定されました。

三 守秘義務等

 本覚書は、それぞれの法令において開示が禁止されている情報について、他方に情報提供をすることを義務付けるものではありません。

 また、本覚書に従い提供された情報については、それぞれの法令に反しない範囲で守秘義務を負い、また原則として情報の提供を受けた当局による執行活動以外の目的に用いることはできません。さらに、公知である情報を除き、本覚書により提供を受けた情報は刑事手続きのために用いることはできないとされました。

四 その他

 本覚書には特に有効期間は規定されていませんが、一方からの30日前の通知によって本覚書を解除することができるとされています。

 本覚書は、全体としてそれぞれの法令の範囲内で実施されるものであり、法令の例外を規定することを意図するものではありませんが、双方の当局間の情報交換等の根拠が明確化されました。

なお、本覚書の本文については、以下のウェブサイトで入手可能ですので必要に応じてご参照ください。

http://www.jftc.go.jp/kokusai/kokusaikyoutei/index.html