商標法が採用・実施する登録商標の保護に係る立法規範との均衡を図り、「公平交易法」(※日本の「不正競争防止法」及び「独占禁止法」に相当。)と商標法の規範に矛盾又は重複が生じ、ひいては互いの立法規範が均衡を失うことのないようにするため、2015年2月4日に総統によって公布され、同年2月6日に発効した、新たに改正された「公平交易法」では、商標法により商標登録を受けた商標は保護されなくなる。登録済みの商標は商標法によってのみ保護を受けることができる。さらに注意すべきは、新「公平交易法」が、商標法により登録されていない著名商標又はその他表徴のみを保護するにとどまらず、著名商標又はその他表徴の保護範囲又は方式も大幅に縮減されている点であり、今回の法改正のポイントは以下のとおりである。

  1. 著名な氏名、商号若しくは会社の名称、商標、商品容器、包装、外観、又は他人の商品若しくは役務を示すその他の表徴はいずれも「公平交易法」による保護の対象であるが、新「公平交易法」では、商標法により登録され商標権を取得した商標の保護を排除することが明文化されており、かかる登録商標は商標法によってのみ保護を受けることができ、重複して「公平交易法」の保護を受けることはなくなる。即ち、新「公平交易法」では、未登録の商標又はその他表徴のみが保護される。
  2. 旧「公平交易法」で区分される「関連事業者又は消費者に一般的に認識されている」又は「著名」な表徴につき、両者をどのように区別するのか論争が生じやすいため、新「公平交易法」では商標法の用語を参酌し、規範用語を「著名」に統一した。また、「内外人平等の原則」に反することのないよう、著名商標の保護は国内外の著名商標を区分せず、新「公平交易法」では、旧法における外国の著名商標についての特別規範は削除されている。しかし、現在の実務見解又は新「公平交易法」の法改正についての説明によると、国内外の商標を問わず、商標が著名であるか否かは国内の消費者の認知度を基準としなければならない。
  3. 商標法における登録済み商標に対する保護との均衡を欠くことのないよう、新「公平交易法」の未登録の商標又はその他表徴の保護は、同一又は類似の商品又は役務に限定される。参考までに、旧「公平交易法」における保護範囲は比較的広く、同一又は類似する商品又は役務に限定されておらず、混同誤認のおそれがありさえすれば、保護を受けることができた。
  4. 商標法の規定によれば、商標権侵害の責任には、民事及び刑事責任が含まれる。新「公平交易法」の未登録の著名商標又はその他表徴に対する保護は、裁判所の民事訴訟 にのみ提供される救済手段であり、旧法でもともと規範されていた「先行政後司法」(※「先に行政指導、司法手段は後」という処理原則)に係る裁判所の刑事責任が削除されたばかりでなく、行政責任も併せて削除されている。言い換えると、未登録の著名商標又はその他の表徴が侵害された場合、「公平交易法」により裁判所に民事訴訟を提起して侵害排除又は損害賠償を請求することしかできず、旧法時の規範のように公平交易委員会(※日本の公正取引委員会に相当)に告発することはできなくなり、公平交易委員会は原則として著名商標又はその他表徴の権利侵害事件を受理しない。

新「公平交易法」では、著名商標又は表徴に対する保護につき、明らかにその範囲又は方式が大幅に縮減されており、勢い、権利者の保護にかなりの影響を生じることになるだろう。したがって、如何に商標又はその他表徴の保護を事前に計画しておくかが、いっそう重要となる。