2015年2月9日、第11巡回区控訴裁判所は、ハイチにお ける州保有通信企業の取締役であった際に賄賂を受領 したことに関する、ジーン・リーン・デュペーバル氏 に対する有罪判決及び9年間の懲役刑を維持した。こ の判断は、賄賂を受領した公務員に対する米国司法省 (「DOJ」)による最近の厳格な執行傾向を示すもの である。

外国政府に対する訴追手段である連邦海外腐敗行為防 止法(「FCPA」)は、賄賂の提供を求めて受領した 外国公務員に対する起訴にまで及ぶものではないた め、歴史的にDOJは、賄賂受領者をターゲットにはし ていなかった。しかし、DOJは、最近、FCPAからやや 横に外れて、マネーローンダリング・コントロール法 (「MLCA」)や関連共謀法等の他の法に基づき、外 国公務員を起訴してきている。

ジェナー&ブロックは、DOJによるMCLAに基づく賄賂 受領公務員の起訴がFCPAの限界を回避するための違 法なものでないかにつき、この論文を発表している。 この論文ではFCPAの管轄、及び、賄賂受領公務員 がFCPAの対象外であることを明確にしたUnited States v. Castle における第5巡回区控訴裁判所の判断につ き、検討している。

また、この論文では、タイの観光局局長時に賄賂を受 領したことについてDOJがMLCAでタイ公務員のジュ サマス・サリワン氏を起訴した事件についても検討し ている。当該起訴の当初の段階で、カリフォルニア州 中部連邦地方裁判所のジョージ・ウー裁判官 は、FCPA策定時には賄賂を受領した外国公務員を除 外することを意図していたことから、MLCAによる外 国公務員の起訴は議会の意図に反する可能性があるこ とを示唆した。米国におけるサリワン氏の起訴は、タ イでの起訴の結果が出るまで中断することになり、そ の間、DOJは、ウー裁判官が表明した司法懸念につい て問題視することなく、賄賂を受領した数多くの公務 員をMLCAに基づき起訴し有罪とすることに成功し た。ジーン・リーン・デュペーバル氏の有罪判決 は、DOJによるMLCA利用からの撤退を示唆している 可能性もあるが、ウー裁判官の提起した懸念について 公式に検討した裁判所はなく、このような懸念によ り、DOJによる将来の訴追が法的に困難なものとなる 可能性がある。

論文全文(現時点では英文のみ)については、こち らを参照されたい。