我が国の「専利」(※発明特許、実用新案登録、意匠登録を含む)の出願は、「専利出願権」を有する者が行わなければならない。「専利出願権者」とは、「専利法」(※日本の特許法、実用新案法、意匠法に相当)第5条第2号の規定によれば、原則として、発明者、実用新案考案者、設計者(以下「真の創作人」と総称する。)又はその譲受人若しくは相続人に限定される。しかし、専利法の別の規定(たとえば、第7条における雇用者又は出資者に係る規定)又は契約の別の約定において、専利出願が「真の創作人」又はその譲受人若しくは相続人ではない者によって行われる可能性がある。

知的財産裁判所は、2014年10月31日に作成した103年(西暦2014年)度民専訴字第3号判決のなかで次のように判示している。「真の創作人」は専利出願権につき他人と「名義借用登録契約」を結び、他人(以下「名義貸出人」という)の名義を借りて専利を出願し、専利権を取得することができる。当事者間の信頼関係が揺らいだor不確かになった場合、双方は民法の委任に係る規定を適用して、隨時、委任関係を終了することができる。また、双方が互いに原状回復義務を負う旨の民法の規定により、名義貸出人は原登録に係る専利権を「真の創作人」に移転登録しなければならない。

この事案の背景となる事実は次のとおりである。原告甲は、原告乙と被告丙の父親である。原告甲は、係争専利が自身(原告甲。以下同)と原告乙が共同で創作したものであり、自身はもう若くなく、原告乙も業界に入って日が浅いため、被告丙との間で「名義借用登録」の取決めを成立させ、丙の名義を借りて係争専利を出願したが、自身と被告丙との間の信頼関係が失われたため、当該名義借用登録契約を終了するとともに、被告丙に係争専利を自身と乙の名義に移転登録するよう請求した、と主張した。

これに対し被告丙は、「専利出願権の帰属に係る紛争は、民事訴訟を提起するのではなく、無効審判請求を経るべきである」、「係争専利は自ら(被告丙)が創作したものであり、原告は名義借用登録契約の事実についても挙証していない」、「専利の公示外観には被告が創作人及び専利権者であると明示されている」、「専利公報には、専利授権、信託などの注記がない」、「係争専利出願に必要な手数料及び年会費はすべて自身(被告丙)が負担した」など、数々の抗弁を行ったが、それらの抗弁はいずれも裁判所に採用されなかった。

まず、裁判所は、専利出願権は私法上の権利に属するため、関連する帰属紛争は民事の私権紛争事項であり、民事裁判所の認定を経て、確定判決を以て専利主務官庁にこれを申請しなければならず、行政訴訟手続きを通じて私権の帰属を確定できるわけではないことを明らかにした。また、本事案の名義借用登録契約紛争に関しては、当該契約は家族の口頭による取決めにすぎず、双方が提出した証拠に基づいて推論することしかできないが、原告の提出した証拠(たとえば、甲が長年にわたって当該分野に従事してきた職歴、創作人を原告乙とする係争専利出願書の記載、原告乙がかつて創作に参与していたとする証人の証言など)、及び係争専利が自らの構想によるものであることを示す証明を被告丙が提出することができなかったことなどから、双方の間に名義借用登録契約が存在していたと認めることができるとして、最高裁判所の名義借用登録契約についての実務見解に基づいて、民法の委任関連規定が適用されると判示した。

裁判所は、最終的に、本事案の名義借用登記契約は原告の訴状の謄本が被告に送達された日に既に終了しており、双方はそれぞれ、法により原状回復の義務を負うため、被告丙は係争専利を原告甲及び乙に移転しなければならない、と判示した。