デラウェア州衡平法裁判所は、過去数か月の間に、株 主が合併取引について争う場合、当該株主は支配株主 とみなされない、ということを示す2件の却下判決を 出した。

In re Crimson Exploration Inc. Stockholder Litigation, 2014 WL 5449419 (Del. Ch. Oct. 24, 2014)において、デラウェア州 衡平法裁判所は、クリムゾン・エクスプロレーション 社の少数株主であるオークツリー・キャピタル・マ ネージメント社(「オークツリー社」)は、オークツ リー社が、本件で問題となった合併に関する取締役会 の判断を実際には支配していなかったことから、デラ ウェア州法のもと支配株主とはみなされない、と判示 した。オークツリー社は、クリムゾン社のシニア・マ ネージャーの大部分及び取締役を選出しており、クリ ムゾン社の重要な債権者であり、かつ、クリムゾン社 の議決権株式のうち33%を所有していた。しかし、こ れらの事実にもかかわらず、裁判所は、合併取引の間 にクリムゾン社の取締役会がオークツリー社によって 支配されていたことが訴状で具体的に主張されていな  い、と指摘した。また、なぜオークツリー社が数百万 もの株式を低い価格で販売したかについての妥当な理 由も主張されていない、と指摘した。そして、裁判所 は、オークツリー社は利益相反のある取引に関与して いたものではないことを理由に、完全な公平性の基準 は適用せず、本件を却下した。

In re KKR Financial Holdings LLC Shareholder Litigation, 101 A.3d 980 (Del. Ch. 2014)において、デラウェア州衡平法 裁判所は、KKR社がKKRファイナンシャル・ホール ディングス社(「KFN社」)の1%以下を保有してい るところ、KKR社は、KFN社の取締役会を支配する権 限を有していなかったことから、KKR社の株主は支配 株主ではない、と判示した。原告は、KKR社の関連会 社がKFN社の日々の業務を担当していたこと、及 び、KFN社はKKR社の取引に資金提供をしていたこと を主張した。しかし、裁判所は、KFN社の取締役会が 合併取引を承認するとの判断を出すことをKKR社が妨 げたり、KKR社がKFN社の取締役会に対して具体的な 行動を取るように指示したり、KKR社がKFN社の取締 役会のメンバーを任命する権限を有していたりした、 ということは一切主張されていない、と指摘した。こ れにより、裁判所は、本件を却下した。本件の詳細に ついては、201412月版のジェナー&ブロックレポー トを参照されたい

以上をまとめると、上記2件は、支配株主であるとい える程度に株主が取締役会に影響力を行使したか否か を検討する上で、非常に役立つ事例といえる。上 記2件が示すように、ある株主が、日々の業務を担当 し、会社の取引の資金調達を行い、会社の取締役会の メンバーを選出していたとしても、取締役会が支配さ れていた点を具体的に特定する事実が存在しない限 り、直ちに支配株主となるものではない。